プロ野球の監督選び 各球団の戦略はあるのか 現場任せは危険すぎる

プロ野球ペナントレースの成績を、最終的に取らされるのはいつも監督だ。今年も多くの監督が責任をとったり、気力が続かなかったりして辞任している。今年両リーグで優勝した高津臣吾監督や中嶋聡監督も、この成績が長く続く可能性は低く辞任を近未来にする可能性は少なくない。6年に1回優勝すれば及第点と言える確率だが、6年間続けられる監督はほんの一握りだ。しかし勇退となる監督はとても少なく、大抵は成績の責任をとって辞任という形を取らされている。

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球団のバックアップ

プレーは選手がするもので、良い選手が集まらなければ指揮官が良くても成績は伴わない。GMを始めとする編成部門が良い仕事をしなければ、選手が集まらず指揮官は力を発揮できない。育てながら勝つことを日本のファンは1軍監督に求めがちだが、育てるのはファームの仕事で、1軍監督に育成まで責任をもたせる事は難しいと思う。今年ヤクルトが優勝することが出来たのは、ファームの責任者から持ち上がってきた高津監督が、その経験を活かした事やファームの情報が十分にあったことが勝因の一つと言える。しかし、それ以前にFA流出が当然のように囁かれた、山田哲人選手を引き止めることが出来た編成部門の貢献は大きかった。エース級の小川泰弘投手やリリーバーの石山泰稚投手の流出も防いだ球団の姿勢は、流出を覚悟していた選手たちの士気を大きく上げたことは間違いない。これには親会社のバックアップがあったことも、大きな要因と推測できる。新外国人の補強も今年は十分に機能し、高津監督のバックアップに成功したことは、優勝の大きな要因だ。

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原監督の責任

今年巨人の原監督が全権監督として采配を振るい、若手の突き上げや外国人補強が機能せずに失速し、責任を問われる形となった。しかし1軍監督としての原監督の采配には大きな落ち度はなく、むしろ育成部門や外国人の補強、ドラフトの失敗がチームの力不足となって顕れ、終盤の失速に繋がったと考えるほうが自然だ。批判の的となった中5日のローテーションだが、ドラフトでの新戦力が一人、ファームから一人ローテーションに加わることができていれば、十分中6日で終盤まで回せたはずだ。他チームを見ていても、新人や若手のローテーションへの加入は当たり前のように起こっている。オリックスの宮城大弥投手やヤクルトの奥川恭伸投手など、優勝を逃したチームでも若手の台頭は当たり前のように起こっている。対照的に巨人は若手の台頭は全く無く、ドラフトでも失敗していてはチームの士気も上がらないだろう。

育成システムの問題 巨人の育成選手は40人超 プログラムは十分?

いかに原監督の1軍監督としての経験値が高くても、編成部門やファームの育成にまで目が届かないのはあたり前のことだ。全権監督とは聞こえが良いが、むしろ責任を取るべきポジションの人が原監督に責任を押し付けているようにしか見えない。フロントに今回の失速の責任を取る人がいないのは、極めて日本的な責任回避の手法に見えて仕方がない。原監督も育成部門に目が届かず、信頼できる人材である川相昌弘さんをファームの責任者として据えたのは、反省の顕れだろう。川相さんにはコーチの育成も使命の一つとして与えられているようで、ここにも原監督の反省が顕れていると言える。来季の巨人の首脳陣 原監督の理想の監督とは

大切な親会社のバックアップ

編成部門を支えるのは親会社のバックアップだ。ヤクルトもオリックスも球団に対するバックアップは十分に行われている。巨人やソフトバンクなども資金力は十分だろう。しかし、球団の中には親会社が積極的にバックアップしていない様に見えるケースも有る。中には親会社の業績自体が、悪化傾向にみえるところがあるのも、心配なところだ。

立浪監督を支えられるか中日新聞

中日新聞は、全国紙の毎日新聞と発行部数では肩を並べることができるブロック紙だ。しかも発行部数の減少が大きい全国紙よりも、健闘していると言えるだろう。しかし2020年も前年比で-4%と緩やかな減少は続いており、その傾向は続いていくだろう。そのため球団をバックアップする資金力が不足気味であることは、間違いないと推測される。

中日の場合は広いナゴヤドームの影響から投手力は十分だが、攻撃力が不足している。当然現場は現状の問題点を理解している。今年も投手出身の与田監督が万全の投手陣を作り上げたが、得点力不足で下位に沈んでいる。

長打力の不足は通常であれば外国人の補強で賄うことが多いが、コロナの影響で各チーム苦戦している。また、外国人の補強は資金力が大きく物を言うので、現在の中日にはあまり多くを望めない。今年立浪監督は、ドラフトで6人中5人の野手を指名した。立浪監督の危機感を表したと思うが、成功する確率は極めて低いのではないだろうか。長打を期待できる日本人野手の発掘はとても難しく、また育成にも時間がかかる。そのため各球団は、長打力を新外国人の補強で賄うのである。今回の中日のドラフトは、ある意味苦肉の策なのではないかと感じる。

日本人長距離打者の育成が困難な原因

中日球団や中日ファンにとって立浪新監督は絶対に泥をかぶせてはいけない、待ちに待った希望の星だ。

野球ファンとして、立浪監督は絶対に成功して欲しい監督ですね。

監督に責任をかぶせがちな雰囲気

中には監督の能力が不足して、勝てない場合もあるかもしれない。しかしその様なケースは、実際には少ないのではないだろうか。組織論についてプロ野球選手は持ち合わせていないし、教育も受けていない。一般の社会人として教育を受けてきたフロントとは、意見が合わないことも多いだろう。しかしプロ野球が発展し、各球団の組織も大きくなってきた現状では、かつてのプロ野球の常識は通用しなくなってきている。現場の指揮官はもちろん1軍監督ではあるが、編成やファームの育成については分業制を取り、組織をまとめるのはそういった経験を十分に持ち合わせている、組織のプロに任せるほうが上手くいくのでは無いだろうか。

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