大きな動きが予想されるNFLのQB　大型トレードの予感

毎年話題になるNFLのQB事情ですが、今年は大きな動きがありそうです。バッカニアーズのG.O.A.Tトム・ブレイディとスティーラーズのベン・ロスリスバーガー引退を決めたことが大きな引き金ですが、その他にも移籍が噂されるエリートQBが数多くいます。

移籍が噂される3人のエリートクォーターバック
不作と言われる今年のドラフト

移籍が噂される3人のエリートクォーターバック

デショーン・ワトソン　（ヒューストン・テキサンズ）

2021年はプレーを全くしませんでした。2020年のシーズン後にチームにトレードを要求し、チームも答えようとしましたが、成立しませんでした。ワトソンはマッサージ中の行為により22件の民事訴訟を抱えていることが、トレードの障害になっているようです。

	GP	CMP	ATT	CMP%	YDS	TD	INT	SACK	RTG
2017	7	126	204	61.8	1,699	19	8	19	103
2018	16	345	505	68.3	4,165	26	9	62	103.1
2019	15	333	495	67.3	3,852	26	12	44	98
2020	16	382	544	70.2	4,823	33	7	49	112.4
Career	54	1186	1748	67.8	14,539	104	36	174	104.5

2018～2020年にプロボウルに選ばれているワトソンの実力は折り紙付きで、特に2020年は4823ヤードを獲得して、レイティングは112.4と申し分有りません。26歳と若いことからトレードの条件が厳しく、ドラフト1巡指名権を複数要求するようで、なかなか踏み切るチームがなかったようです。チームは4勝13敗と再建期になっており、なんとかトレードをまとめてドラフトで大量指名をしたいところで、注目が集まります。スティーラーズやバッカニアーズは喉から手が出るほど欲しいQBではないでしょうか。

ラッセル・ウィルソン　（シアトル・シーホークス）

2013年にスーパーボウルを制し、プロボウルに8回選出されているウィルソンは、勝負強い勝てるQBといわれています。今年は怪我の影響なども有り、チームは7勝10敗と2011年以来の負け越しとなってしまいました。ウィルソンのデビューは2012年なので初めての負け越しです。これだけの勝てるQBを放出することなど通常であれば考えられませんが、チームとウィルソンの間にはすきま風が吹いているようです。オフェンスに投資をせずにウィルソンの能力に頼ったオフェンスは、ウィルソンに大きな負担をかけています。33歳とベテランの域に入りかけ、体の負担も厳しくなったウィルソンが、チームに自分を守る投資をしてほしいと望むのは、エリートQBとしては当然の流れでしょう。その顕れか、機動力の有るウィルソンにしては、毎年のサック数が多いと感じます。そんな中でも通算のレイティングが101.8と素晴らしく、多少の出血は覚悟で取りに来るチームは少なくないはずです。

	GP	CMP	ATT	CMP%	YDS	TD	INT	SACK	RTG
2012	16	252	393	64.1	3,118	26	10	33	100
2013	16	257	407	63.1	3,357	26	9	44	101.2
2014	16	285	452	63.1	3,475	20	7	42	95
2015	16	329	483	68.1	4,024	34	8	45	110.1
2016	16	353	546	64.7	4,219	21	11	41	92.6
2017	16	339	553	61.3	3,983	34	11	43	95.4
2018	16	280	427	65.6	3,448	35	7	51	110.9
2019	16	341	516	66.1	4,110	31	5	48	106.3
2020	16	384	558	68.8	4,212	40	13	47	105.1
2021	14	259	400	64.8	3,113	25	6	33	103.1
Career	158	3079	4735	65	37,059	292	87	427	101.8

アーロン・ロジャース　（グリーンベイ・パッカーズ）

2年連続4回目のシーズンMVPを受賞したロジャースは、38歳にして今なおNFL最高のQBの一人です。昨年のオフにはチームの強化方針と意見が合わず、チームを離れることが噂されましたが、チームが折れるような形で収まりました。今年の去就も注目されますが、昨年ほどの危険度はないようです。そうなると2020年にドラフト1巡で指名したQBジョーダン・ラブの方に注目が集まります。もともとロジャースがチームに不平を漏らしたのは、ラブの１巡指名からだったようで、このままではロジャースが引退するまでラブの出番がないということになります。2023年まではルーキー契約が残っていますので、来オフにはチームの方向性を決めなければなりません。ラブは2021年の6ゲームしか出場経験がなく、ルーキー契約の更改まで自らの能力を示せない事もありえるので、ラブとしては活躍の場を求めるほうが当然と言えるのではないでしょうか。