大里桃子選手が2年9ヶ月ぶりの2勝目を挙げた。天候不良のため36ホールに短縮された大会で、ささきしょうこ選手とのプレーオフ3ホール目で決着をつけた。プレーオフの末上田桃子選手に敗れるなど、善戦が続いている中で悔しい思いを募らせてきたのか、涙の優勝劇だった。
スカパー!プロ野球セット勝つべくして勝った大里選手
最近の好成績から実力と調子の良さは実証されている中で、なかなか勝てずに勝負弱い面も覗かせていたかもしれない。
今回は海外に有力選手が出ていること、36ホールに短縮されたことなどが有利に働いたかもしれないが、自力は抜けていた感がある。特にプレーオフでは飛距離の差が歴然で、勝つべくして勝った勝利と言える。
競り合いに弱い面が17番18番で顔を覗かせ、ミスを重ねてしまったが相手のミスにも助けられなんとか勝ちきった。これで精神的に吹っ切ることができれば、もともとの実力を発揮して勝ちを重ねることができるかもしれない。
パットのイップスに悩んだ経験を乗り越えた勝利で、
「ゴルフの神様が導いてくれたのかな。」
と、コメントしているようだが、
「いいえ、貴女の実力です。自信を持って次に望んでください!」とファンの皆さんはきっと思っていますよ。
実力十分の吉田優利選手
この人のゴルフは格好いい。技術も素晴らしいが、攻めのゴルフは見ていて気持ちがいい。小柄なのに飛距離も出るし曲がらない。アプローチも技が多才で、上げたり転がしたり見ていてワクワクする。パットも勝負所で強めに入れてくるので、スッキリする。難しいバンカーショットやアプローチなどリズム良く打つので、せっかちの私にはファンにならざるを得ないゴルファーだ。おまけにインタビューなどを聞いていても、ハキハキと知性の感じられる受け答えで、メディアの事も考えてコメントしてあげているように感じられる。自分のゴルフに自信があるので、強気の攻めのゴルフを徹底している。
今日も技術に裏打ちされた、攻めのゴルフを貫いた。
17番では1打差首位の大里選手がティーショットを右の林に打ち込んだ後に、同じ様にドライバーで攻めて同じ様に林に打ち込んだ。解説でも言及されていたが、3Wで安全に行くことはできなかったのだろうか。ドライバーを打たないことで後悔したく無いという気持ちがあったのかもしれないが、刻むのも勇気では無いだろうかと思ってしまった。
その直後のセカンドでは絶対に横に出すだろうと思ったが、前方の狭い林を抜いていった。思わずやめてくれと画面の前で叫んでしまったが、危なげなく林を抜いていった。素晴らしい技術としか言いようがない。
16番17番の微妙なパーパットも見事に決めて、大里選手にプレッシャーを掛けていった。大里選手は17番のパーパットを外し、ロングヒッター有利の18番の2打目をオーバーさせた。このあたりは吉田選手の強気な攻めが効いていたのかもしれない。
しかし吉田選手も最後に乱れてしまった。18番の2打目はフォローの風を読み間違えたのか飛距離が思いの外出てしまったのではないだろうか。砲台グリーンの奥のピンを攻めるのに、フルショットではなくスリークォーターのショットを選択している。持ち前の攻めのゴルフで奥のピンを攻めて行ったが、奥のバンカーに入れてしまった。そのバンカーショットも難しいところから、あわやチップインかと思わせる魅せるショットだ。
こんな素晴らしいゴルフを展開する吉田選手だが、3日間や4日間のゴルフで攻めきることができるかが今後の鍵となると思う。長いシーズンを戦う上で色々なことをこれから学び、守ることも覚えていくのだろう。まだ21歳でスケールの大きいゴルフを目指しているのだから、攻めきるまでいくというのであれば、それも良いのだろう。
とにかくどの様なゴルフを目指し、どの様な成長曲線を描いていくのか、ファンにはたまらない選手なのである。