巨人の投手崩壊~髙橋優貴投手緊急降板~

西武との交流戦の初戦で、打線は西武投手陣を打ち込めず、クローザーのデラロサ投手が9回に2本塁打を浴びて、引き分けに持ち込まれた。巨人は恒例となった小刻みなリレーで全力の采配をふるったが、問題は采配以前のゲーム前にあるのではないか。

原辰徳監督の投手に対する認識

原監督はローテーション投手に中5日や4日での登板を強要する。できないとは言えない雰囲気を作ってしまうのである。まだ高校を卒業して3年目の体ができあがっていない戸郷翔征投手には、中4日で登板させている。ロッテが佐々木朗希投手を、大切に育てているのとは対照的だ。中5日でローテーションが廻っていた頃のことが忘れられないのだろうが、環境は大きく代わっている。

以前とは違う投手の疲労

今は多くの投手が、150Km以上の速球を投げることができる。トレーニング方法が向上し、投手の筋力は格段にアップしている。また投球フォームなどの解析によって、効率よく体を使うことによって、球速はアップしている。当然筋肉に対するケアーも以前よりは向上しており、筋肉の疲労を効率よく取り除くことができるようになっている。筋肉を効率良く鍛えることで球速を上げて、効率よく疲労回復することが可能となっているが、関節や靭帯は筋肉のように鍛えることができない。以前は140kmそこそこしか投げられなかった投手が、今は殆どの投手が150kmを投げる。当然関節や靭帯に負担がかかる。ましてや最近の球場はマウンドを固くしているところが多い。これでは投手の故障が増えていくのは致し方ない。以前の投手よりももっと疲労を取り除くことを考えなければ、投手の故障は続出する。以前の中5日のローテーションは難しいのである。そのことを唯一理解できていないのが、巨人なのではないかと疑ってしまう。

投手受難の時代

よく言われているのが打者は2000本安打を達成する選手が増えているが、投手の200勝は打者の2000本安打ほど増えていかないという事実だ。多くの投手は勤続疲労による手術を経験するが、打者はその数は少ない。巨人の若手投手は入団前や入団直後に、手術に踏み切る投手が非常に多い。ドラフトやスカウティングの問題は今回は言及しないが、入団後の使い方にも問題があるのではないかと思う。巨人の内部にこの事が理解できている人材が、いないとは思えない。しかし全権監督である原監督に進言できる人材がいないのではないか。原監督に進言できる投手のOBも少ない。堀内恒夫さんや江川卓さんなどが数少ない人材なのだが、原監督と同じ認識なのかもしれない。

次の監督の受難

シーズンも前半で特攻ローテーションやリリーフ投手の酷使を繰り返せば、今シーズンどころか来シーズンにも悪い影響を残しかねない。

3年契約の原監督が退いた後、次の監督が引き受けた時に故障者だらけの投手陣になっていなければいいのだが。若手の育成の成果が、今年は殆ど見られていないのも残念だ。

こういった批判が結果が出る前にされなければ、悲劇は繰り返される。既存の大手マスコミは原監督を批判できない。週刊誌はこういった本業ネタで批判して、その存在意義を発揮してほしい。(女性問題などのゴシップは、全くスポーツファンには響かないのである。)

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