巨人の大城卓三捕手はなぜ低評価か 時代の流れが理解できないOB達

ジャイアンツの大城卓三捕手が、今季年俸8000万円から5000万円増の1億3000万円で契約更改しました。今季134試合に出場し、打率.281、16本塁打、55打点をマークして強打の捕手として、セ・リーグのベストナインまで獲得している割には、低評価ではないかというのが個人的な感想です。何故これほど低評価なのでしょうか。

2023年の最高年俸は2億1000万円

推定ではありますが、ホークスの甲斐拓也捕手とオリックスの森友哉捕手がプロ野球の最高年俸とされています。森友哉捕手はFAで移籍していますので、年俸が高騰しているのは理解できますが、甲斐捕手は守備型の捕手で、打率は2割前後、長打力もそれほどないのになかなかの高評価です。ホークスの黄金期を支えて優勝経験もあるのでという見方もあるかもしれませんが、大城捕手も2020年にはレギュラー捕手として優勝を経験しています。明らかに捕手としての総合力は大城捕手のほうが上と見ていいと思いますが、1億3000万円は低すぎると思います。2023年の年俸上位をみると、大城捕手の低評価ぶりは明らかだと思います。

選手名年齢チーム2023年の年俸
1位甲斐 拓也31歳ソフトバンク2億1000万円
2位森 友哉28歳オリックス2億1000万円
3位中村 悠平33歳ヤクルト1億7000万円
4位梅野 隆太郎32歳阪神1億6000万円
5位會澤 翼35歳広島1億4000万円
6位伊藤 光34歳DeNA1億1000万円
7位炭谷 銀仁朗36歳楽天1億円
8位小林 誠司34歳巨人1億円

リードに対する酷評

ファンの間で大城捕手のリードを酷評する人達がいます。このあたりは人によって評価が変わります。数字に表れない評価なので、誰が正解かはわかりません。大城捕手は盗塁阻止率は常にセ・リーグでは上位ですし、チームでの捕手別の防御率は常にトップです。投手陣の防御率は巨人は確かに良くないですが、本拠地が東京ドームであることを考えれば、かなり割り引かなければいけないでしょう。

甲子園と東京ドームでリードの難しさを比較した時に、全然難易度が違うことは、阪神の矢野燿大さん他多くの解説者が証言しています。

また、リードについて酷評するOBはいますが、里崎智也さんのようにリードは結果論、レギュラーになりたければ打てと、はっきり言い切ってくれるOBもいます。両論が存在する中で、リードだけを持って低評価にすることは、理不尽としか言いようがありません。数字で評価できる部分では、出場試合数、打率、盗塁阻止率と両リーグでトップレベルであることは間違いないと思います。

勝つことが捕手の評価

優勝しなければ捕手は評価が上がらないという考え方も、現実には存在します。しかし最近の流れで行くと、個人の評価とチームの成績は切り離して考えるほうが、最近の傾向だと思います。優勝しなければ評価が上がらないというのは、球団が年俸の高騰を抑えるための言い訳に過ぎないと考えることもできます。でなければ、阪神梅野隆太郎捕手の2023年の年俸は辻褄が合いません。(FAの絡みはあると思いますが。)

捕手の実力が数字的に証明されているのに、リードの巧拙や勝てないことを理由に年俸を抑えるのは、理不尽と言っていいでしょう。

大城捕手の性格の問題

これは悪い意味ではありません。来年FAの権利を取得する可能性もある大城捕手に対して、複数年契約を提示しなかったのは、大城捕手の性格を考えてのことのようで、傍から見ると球団の誠実さが欠けているように見えます。もし大城捕手が結婚していてお子様でもいれば、こんなにあっさりと更改はできないはずです。沖縄県出身のおおらかさを逆手に取るような更改交渉であるならば、ファンとしてもあまり良い気はしません。ジャイアンツ一筋に努力を重ねている選手に、もう少し思いやりのある更改をして欲しいと思います。

打てる捕手の評価が低すぎる

最近打てる捕手というのは本当に貴重になりました。かつては城島健司さんや、阿部慎之助さん、古田敦也さんがいました。歴史的に見て故・野村克也さんも含めた中で、大城捕手は現役の森友哉捕手とともに、5指に入る捕手に将来的に記録を残すかもしれない捕手です。それだけのポテンシャルと実績を残している捕手に対して、しかもFA権利取得前年の選手に対して、あまりに低評価なのではと思ってしまいます。

捕手のリードを頼りにする野球は無くなりつつある

遅かれ早かれピッチクロックが導入されることになる野球界で、ピッチコムによるサイン交換は、捕手のリードの必要性を大幅に少なくします。阿部監督が既にジャイアンツの投手陣に通達しているように、投手が自分でピッチングを組み立てる時代が日本にも来ます。ピッチクロックは次回のWBCには必ず導入されると見て良いはずで、そこに対応するためには、NPBでも導入が必要になることは間違いないでしょう。

そんな時代の捕手としては、大城捕手は最強に近いのではないでしょうか。流行の最先端とは言いませんが、リードをもって大城捕手の評価を低く見るのは、時代遅れとなるときが必ず来ると思います。

ガラパゴスの日本野球は衰退のピンチ

ピッチコムを間がなくなるからと否定するOBには、早く気がついてほしいものですし、DH制も早くなくさないと、セ・リーグを拒否する投手が多く出かねないと思います。

現状でもメジャーからくる投手たちは、打撃練習やバント練習などしていないので、セ・リーグは良い投手を取れなくなる可能性がどんどん高くなっていくと思います。

いろいろな革新にプロ野球OBの意見を聞くのは、参考程度にしたほうが良いと思います。自分の過去の体験に縛られているだけで、物事を俯瞰してみることができないOBの意見は、害にしかならないと思います。ビジネスとしてのプロ野球は、メジャーにどんどん置いていかれてしまっています。

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