ジャイアンツの新エース 戸郷翔征投手はどこまで成長できるのか

WBCでも活躍した戸郷翔征投手ですが、ペナントでも5連敗と苦しむジャイアンツを7回無失点の好投で救いました。

これでペナントでは13回で自責点0と、抜群の成績を残しています。シーズン前のWBCで調整が十分ではなかったと思われますが、それを上回る成長度で、首脳陣やファンの期待を上回るパフォーマンスを見せてくれています。

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ドラフト6位の期待度

戸郷投手は2018年ドラフト6位で、期待度はそれほど高い投手ではありませんでした。高校日本選抜の壮行試合で宮崎選抜として対戦し、当時のスター根尾昂選手や藤原恭大選手をきりきり舞いさせたという評判が流れ、指名に至ったと記憶しています。187cmの上背からのストレートが特徴でしたが、アーム式の投げ方が故障につながるとの見方から、評価を下げていたと思います。

しかし今回のWBCでは、ダルビッシュ投手から理にかなったフォームであることを告げられて自信を深めたようです。以前は否定する意見が多かったアーム式ですが、最近は山本由伸投手などの成功者が現れるようになりました。アーム式の投球フォームでは成功者があまり出なかった中で、山本由伸投手や戸郷投手の成功はこれからのスカウティングや育成を変えるかもしれません。

巨人のレジェンドエース上原浩治投手との共通点

上原さんと戸郷投手は共通点がかなりあります。

投球フォーム

肩の回転は違いがあるとしても、ステップの狭い重心の高いフォームは、かなり似ていると思います。またフィニッシュを左足で伸び上がるように取るところも、共通点ではないでしょうか。

ストレートの質

戸郷投手のストレートは球速も出ますが、以前よりも伸びが出てきていてフライアウトを取ることができるようになってきています。上原投手もストレートの質の良さは評価が高く、球速が出なくても空振りを取れるストレートでした。メジャーで活躍している時も、スピードガンの表示が90マイル(144km)に届かないのに、空振りを多く取れるストレートが評判になっていました。TVでの実況でアナウンサーがーしきりに不思議だと訴えていた事が、思い出されます。当時はスピン量などの報道があまりされていませんでしたが、きっと良い数値が出ていたのではないでしょうか。

ホップする回転の良いストレートと言えば、江川卓投手が代表格ですが、江川投手も左足で伸び上がるフィニッシュが特徴的でした。

フォークボールの精度

上原投手と戸郷投手の決め球は、フォークボールです。似たようなフォームから似たようなストレートを投げるので、フォークボールも決まりやすいのかもしれません。決め球としてだけではなくカウント球としてストライクも自在に取れるフォークボールの使い手は、メジャーではまず見られないので、上原投手同様に戸郷投手もメジャーで成功する可能性は高いのではと推測します。

スライダーが曲がらなくなった

上原投手はプロに入る前はスライダーピッチャーだったのですが、フォークボールを多投するようになり、スライダーが曲がらなくなったようです。そのため晩年はほとんどスライダーを投げていませんでした。戸郷投手もスライダーよりもフォークの印象が、年々強くなってきていました。しかし戸郷投手はWBCでダルビッシュ投手からアドバイスを受けて、スライダーも決め球として使うことができるようになったようです。また、高目のストレートも効果的に使うことをアドバイスされたようで、早速効果が実証されました。

テンポの良さ

江川投手、上原投手、戸郷投手に共通するのは投球テンポの良さもあります。球種が多彩ではないことも原因としてあると思いますが、テンポの良い投手は味方の援護も得られやすいので、勝ち星が伸びる傾向にあります。

以前は試合後に遊びに出る選手が多かったため、江川投手の登板日を待ち望む野手は多かったようです。

また、夏バテで苦しい時期に、仁志敏久選手と清水隆行選手は、車の中で次の上原投手の登板日を待ちわびて、確認していたとの話もあります。

戸郷投手がかつてのエースのような投球ができれば、野手陣のパフォーマンスも上がるかもしれません。

故障は肩よりも下半身が心配

上原投手は投手にありがちな肩肘の故障よりも、下半身、特にハムストリングや膝に故障を抱えていました。細身で重心の高いフォームから投げ込むフォームは、意外にも下半身に負担のかかるフォームなのかもしれません。戸郷投手もここまで懸念されていた肩肘の故障を発症していませんが、これからは体のケアが重要になると思われます。

上原投手同様に下半身の故障を発生させないように、ケアを怠らないように願いたいものです。

今年の成績

WBCの疲れがうまく抜けているならば、防御率と奪三振のタイトルは取れる可能性が高いと思います。ただ、ジャイアンツのリリーバーの状況を見ると、最多勝は厳しいかもしれません。打たせて取るピッチングで8回まで投げきれれば大勢投手に直接つなぐことができると思うのですが、もともと三振を取る投手は球数が多くなる傾向があるので、どうでしょうか。

上原投手はルーキーイヤーに20勝を収めました。上原投手は浪人経験があるので、戸郷投手の来年にあたりますが、今年戸郷投手が大飛躍をする可能性は十分にあると思います。急激な成長を見せる戸郷投手の今年のパフォーマンスには、十分期待ができると思います。

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