オールスターの薄れる意義 オリックス中嶋監督の判断 WBCの影響

オールスターの監督推薦で、パ・リーグの中嶋聡監督はWBCに出場した選手を選びませんでした。この選択については賛否両論あるようで、当然のことでしょう。私は個人的にはこの判断を支持する考えです。

ビジネス英語

既に実力で選ばれていないオールスター

オールスターは実力で選ばれる側面よりも、人気で選ばれる側面が強くなっています。その事はオールスターの方向性としては間違っていないでしょう。ファンが見たい選手を選ぶファン投票は、オールスターの存在を裏付けるものであり、ファン投票なしでは成立しないと言ってもいい試合です。仮に調子の出ない選手や、実力がない選手が選ばれても、それはプロ野球選手として大切な人気のバロメーターです。実力がない選手が人気で選ばれるのは、歴史的に見ても繰り返し起こっています。ファンの夢を実現させるという意味では、まったく試合の意義に沿ったものだと思います。

中嶋聡監督の判断

今回中嶋監督は監督推薦で、WBC侍戦士を選出しませんでした。これはパ・リーグの選手について平等に行われています。WBCに出場した選手は、殆どの選手が不調に陥っています。メジャーリーガーを別とすれば(トラウト選手は怪我で離脱しましたが・・・)、調子を落としていないのは岡本和真選手や中野拓夢選手など数えるほどで、WBCの影響が大きかったことが窺えます。

最たるものは村上宗隆選手でしょう。昨年の三冠王ですが、今年はWBCでも調子が出ずに、最後に帳尻を合わせるような状況でした。本来であればじっくりと調整をしなければいけない時期に、結果を出すために調整と緊張の連続の実践を繰り返していたことが無関係ではないでしょう。

投手には、もっと影響があったかもしれません。特にリリーフ陣は影響が顕著に出ている傾向にあり、栗林 良吏投手、大勢投手、湯浅 京己投手は守護神の地位を奪われてしまっています。いずれも2022年シーズンで大車輪の活躍をした選手ですが、現在は調整に入っています。故障が発生しているという噂もあり、WBCでの登板と故障発生の間に、相関関係があることは否定できません。

前のシーズンの疲れが取り切れていない段階でピークに持っていったことが、影響があったと考えるほうが自然でしょう。

問題はリリーバーだけではなく、先発陣にも同様の影響があったと推測できることです。実際に中嶋監督のもとには、山本由伸投手や宮城大弥投手の調子が上がりきらない情報が入っている場合もあり、今回の決断に至った可能性は高いと思います。

WBCの悪い影響を発信しにくい現状

シーズン前の調整がいかに難しいかは、今回のWBCで解ったことではありません。開催時期については非常に難しい問題で、度々議論されてきています。しかし、WBCを仕切るMLBの意向がすべてと言ってもいい状況の中で、一参加国である日本が決められる状況ではありません。

MLBのライバルは日本球界でもドミニカ球界でもなく、NFLやNBAです。決勝戦の実況が”今夜のウイナーはベースボールだ。”と絶叫していたことがその現れでしょう。WBCはMLBにとってとても大きな役割を、今回演じました。最後の対決であった大谷投手対トラウト選手が、”The best against the best”(最強対決)と実況されて話題になりましたが、試合前に両国の旗手だった演出が見事にハマったのは、出来すぎでした。

このフィナーレは、日本でも感動的な場面でした。しかし、一方でこの時期の開催については、問題を提起することも難しくなってしまったことも事実でしょう。次回の開催も同時期だった場合、調整の難しさから辞退することは難しい雰囲気になってしまったのではないでしょうか。

中嶋監督の投げた問いかけ

中嶋監督の今回の選考は、忘れかけていた問題を改めて浮き彫りにしてくれたと思います。中嶋監督は自軍の選手を守りたい気持ちが強かったのかもしれませんが、いずれにしろ強い問題提起になりました。

それと同時にオールスターのあり方も、議論の余地があると思います。日本は米国と違い、交流戦で総当たりが実現してしまっています。交流戦導入時以前の高まりが、今のオールスターには感じられないのは、当然の反応ではないでしょうか。

あの江夏投手を、あの江川投手をパ・リーグの猛者たちが打ち崩せるのかどうか。イチロー選手はどれだけ凄いのか。そんな興味を持てる対決や選手が、残念ながらいまのNPBには有りません。

そんな状況下で、選ばれる選手たちのモチベーションも以前よりは低いように感じられます。以前のパ・リーグの選手は、全国放送に載る唯一のチャンスだったのですから、当たり前のことでしょう。

色々と動きの遅い日本社会で、その最たるものがプロ野球でしょう。常にMLBのあとを追いかけながら、そのスピードも極めて緩慢です。何も考えず変わることをできるだけ拒否し続ける姿勢は、一般社会の既得権者と重なるものがあります。

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