プロ野球のコミッショナーが機能不全に陥っており、球界改革が進まない現状を度々憂えて考えてきました。DH制の導入やFA制度、育成契約や支配下枠の問題など、改革しなければならない問題は山積みでありながら、全く議論が進まない現状は、プロスポーツとしては普通ではない状況だと思います。
ポルテベースボールスクール」の無料体験会へ参加高木豊さんが原監督に要望
同級生でもある高木豊さんが、自身のYou Tubeチャンネルの動画の中で、原監督に”コミッショナーになって欲しい”と発言しています。 原監督と高木豊さんの動画はこちら
高木豊さんは中央大学から大洋ホエールズに入団した三拍子揃った選手で、コメントも野球評論家の中では、視野の広い方だと思います。現状の体制を批判する事にも取られかねない考えを、十分に常識を備えた高木さんがする発言は、私個人的にはとても嬉しいものでした。
動画の中での原監督は、現状の監督業に専念するとコメントしましたが、未来については否定をしませんでした。巨人の原監督といえば名将と言われ、監督としても選手としても成功した人物であり、そのキャリアはコミッショナーとして十分だと思います。おそらく原監督を取り巻く人達の間では、原監督の次のステップとして、コミッショナー就任を願う人達は多いのではないでしょうか。
現状のコミッショナー
日本プロフェッショナル野球協約2022では、第8条でコミッショナーは日本プロフェッショナル野球機構の代表であり、3項で”コミッショナーが下す指令、裁定、裁決及び裁定は、最終決定であって、この組織に属するすべての団体及び関係する個人は、これに従う。”とされています。実際に十分機能していれば、大きな権限を有する事になりますが。しかし、実務は実行委員会で合議されるようで、実行委員は各球団から1名ずつ指名された人物で構成されています。さらにコミッショナーは第19条によってオーナー会議によって選任されます。そして、第18条には”オーナー会議は、この組織の最高の合議・議決機関である。”と明記されていますので、コミッショナーは機構を代表するが、オーナー会議の決定には従うこととなりますので、言葉は悪いですが重要事項についての実権は殆どないと言っていいでしょう。
つまり、今のコミッショナーは、オーナー会議には逆らえないということになるのです。
今のコミッショナーが能力がないわけではなく、初めから球界を改革できる立場になく、重要問題を裁く権限が与えられていないのです。 野球協約のご確認はこちら
原監督の微妙なコメントと読売巨人軍
かねてから球界の発展を願う立場から、DH制の導入などを唱えている原監督ですが、球界を変革できない現状が一番わかっている人物でしょう。高木豊さんにコミッショナー就任について言及されても、現状のコミッショナーに実権がないことがわかっていますので、はぐらかすような回答しかできないのだと思います。球界改革については、なかなか進まない現状に”うちのオーナーは前向きですけど”と、暗に一部の他のオーナーが改革に後ろ向きであることを匂わせていることも、興味深い印象でした。
自浄能力がない日本プロフェッショナル野球機構
現状は日米の球界の経済格差が開く一方であり、日本の野球の競技人口は急速に減っています。しかし、日本の経済と同様で、ギリギリまで追い込まれなければ変革に踏み出せない状況のようです。
放映権一つ取ってみても、全く議論が進んでいないのはそのためでしょう。
今のままでは存続の危機にでもならない限りは、機構が自己変革していくことは出来ない仕組みになっているようです。
ファンも声を上げよう
動画内で”DH制ができれば高校野球に1000人のレギュラーが増える。”、
”野球にもサッカーの天皇杯のようなものがほしい”等、原監督は球界の発展を願って発言しているのですが、一部のマスコミは、原監督がDH制を望むのは”日本シリーズで8連敗したためだ”などと、正面から発言を受け止めていません。
このままではNPBとMLBの経済格差は広がるばかりです。日米の経済は競争にさらされていますが、それでも格差は広がっています。
今のNPBは黒船が来ることに気がついていな人たちの集まりのようで、(本当は気がついている人も多いと思うのですが)MLBに選手を取られたり、マスコミの報道が大谷翔平選手に偏ってしまっていることに、危機感を感じることが出来ないようです。
プロスポーツの最高の意思決定者は、究極的には我々ファンです。ファンがいなくなってしまえば、プロ野球は存続できません。日米の差がこれ以上開かないために、日本のプロ野球の衰退を止めるためにも、オーナー会議の低い目線ではなく、ファン目線で物事が決まるように、プロ野球を変えなければならないのではないでしょうか。
政治に興味がなく、議員の疑惑追求で国会の予算会議が終始しているような日本では、プロ野球の改革にファンの興味が行く可能性は、とても低いのかもしれません。
読売は非上場ですが、上場している球団のオーナー会社が外資に経営を左右されるようになった時、あっという間に外資に日本プロ野球がコントロールされるようになり、MLBのマイナー組織に変わる未来が来てしまうかもしれません。
まずはオーナー会議のあり方を、考える必要があるのではないでしょうか。