プロ野球はオフも深まり、ストーブリーグは終わりを告げようとしています。各チームの選手の入れ替わりや世代交代が見えてきた中で、首脳陣や選手の役割も変わってきました。
ジャイアンツでは坂本勇人選手に代わって、岡本和真選手がキャプテンとなりました。プロ野球界では背中で引っ張るリーダーとよく言われますが、一般社会ではそれだけではリーダーは務まりません。
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以前に坂本選手は、後輩との食事の中で、”言葉で引っ張るリーダーって?”という疑問を発していました。どうやら坂本選手の中では、背中で引っ張る以外にどういう事を求められているのだろうという疑問があったのだと思います。坂本選手も20代後半でキャプテンなどと言われて、戸惑っていたのかもしれません。その後年数を重ねて、坂本選手はキャプテンという役割について理解を含めていったので、結果が出なかったオフに自ら延長を申し入れるというところまで成長できたのだと思います。ただ坂本キャプテンは日本一に辿り着くことができず、無念の交代だったとは思います。
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岡本和真選手は阿部慎之助コーチや坂本勇人選手とは、キャラクター的に大きく違います。
原監督もそのあたりを十分に理解しており、岡本流の新しいリーダー像を期待しているかのようにコメントしています。しかし、キャプテンに必要な素養は共通のものがあり、岡本選手がそのあたりを理解しているか原監督は心配なのかもしれません。実際、”チームを引っ張って一つにして。個の力が10だったらチーム力は12、13にならなきゃいけないよ。”と声をかけたと報道されています。
そんな事はリーダーとしての初歩の初歩で、そのような事をあらためて言わなければならないところに、原監督の心情が表れていると思います。
”背中で引っ張るリーダー”、ただ黙々と猛練習を積み重ねているだけでは、リーダーとしては全く機能していないと思います。
マスコミの弊害
ただ黙々と猛練習とルーティンを繰り返すベテラン選手を、”背中で引っ張るリーダー”と称してマスコミは度々持ち上げます。しかし一般社会ではリーダーの地位に有りながら自分のことしかやらない人材は、ただただ自分のことしかできない一匹狼として評価は上がりません。そんなことで役割を果たしていると思える人材は、一般社会では全く通用しません。おそらく、プロ野球でも大半のリーダーは背中で引っ張ることで十分だとは思っていないでしょう。マスコミは一部の”背中で引っ張るリーダー”を美談のように持ち上げますが、短期決戦ならともかく、長いペナントでそんなリーダーは役割を果たしているとは思えません。
もし”背中で引っ張るリーダー”がカッコよく若い世代に映ってしまえば、それはマスコミの罪とも言えると思います。
本当のリーダー像
原監督は坂本キャプテンの重荷を、下ろしてあげたかった旨の発言をしています。逆に言えば色々な面で、坂本選手がキャプテンの責務が重くなり、力の衰えつつある坂本選手に自分のプレーに全力を傾けてもらいたいと思ったからでしょう。当然、坂本選手は岡本選手の事も気にかけてサポートを続けてくれると思います。しかし、キャプテンとしての責務が、年々坂本選手の人間的な成長と伴に、重くなってきたことは間違いないでしょう。
リーダーは常にチーム全体を見ていなければなりません。今のチームがどういう状況にあり、各選手がどういった状況にあるのか把握していなければ、リーダーとしての責務は何一つ果たせないでしょう。背中に目でもついていない限り、”背中で引っ張るリーダー”は何もしていないのと一緒でしょう。
ポジションによるリーダーの違い
阿部慎之助コーチは常にチーム全体を見ていました。それはキャッチャーというポジションのため、当たり前にできました。ゲーム中は他の8人を常に見ることができ、投手とのコミュニケーションはキャッチャーの特権です。ベンチとの意思疎通もピンチになれば一球ごとにされることもあるでしょう。それだけキャッチャーというポジションは、リーダーとなるに相応しいポジションだということです。
坂本勇人選手はショートでしたが、キャッチャーほどではないにしてもゲーム中はチーム全体を見ています。バッテリーのサインも見ていますし、時には投手に”これ投げろ”とサインをだすというほどです。キャッチャー程ではないにしても、チームリーダーとして試合に入っていきやすいポジションだと思います。
新しいキャプテンの岡本和真選手はサードです。外野手よりは試合に入りやすいですが、キャッチャーやショートと比べると、全体を見渡すポジションとしては情報量が少なくなります。バッテリーのサインや投手の球筋が見えないので、投手に対するアドバイスも少なくなりがちです。最近の岡本選手はピンチのケースでマウンドに行くことが増えたような感がありますが、阿部コーチや坂本選手ほどには具体的なアドバイスは出来ないでしょう。
副キャプテンの吉川尚輝選手
副キャプテンに就任した吉川選手はセカンドなので、ショートと同じような役割ができます。歳も岡本選手より上で、実績は岡本選手には及びませんが、試合中はむしろ吉川選手にキャプテンとしての役割を期待されているのかもしれません。大卒のドラフト1位であれば、当然キャプテンとして期待されてもおかしく有りません。原監督は吉川選手の性格なども考慮して岡本選手をキャプテンに任命したようですが、吉川選手に求められるものは小さくないと思います。
大城卓三捕手と小林誠司捕手
残念でならないのは、捕手の二人が結局キャプテンにも副キャプテンにも指名されなかったことです。首脳陣が指名しなかった原因は、実力や性格など色々あるのだとは思いますが、少なくとも副キャプテンには就任できるような選手に成長して欲しいところでした。正捕手として絶対的な評価がされることのなかった二人の物足りない部分が、首脳陣がキャプテンに指名しなかった理由と重なっているのではないでしょうか。
キャプテンや副キャプテンを務めることができる正捕手が誕生した時が、ジャイアンツが常勝軍団に返り咲けるときかもしれません。
昨年のドラフトでは捕手を指名しませんでしたが、今の捕手陣で本当のチームリーダーになれる素材はいるのでしょうか。捕手としてキャプテンを長らく務めていた阿部コーチが、その重要性を一番に理解しているはずです。
2023年ドラフト
スカウト陣が実力を発揮し始めているジャイアンツですが、昨年捕手を足らなかったことで、今年は見定めている捕手がアマチュア界にいるのかもしれません。FAでは思うような補強ができないことが明らかになってきていますので、リーダーとなれるキャラクターを持ち合わせた捕手のプロスペクトの重要性を、阿部コーチに主張してもらいたいと思います。