キャッチャーの育成は時間が掛かるは嘘 若手捕手が起用される理由

かつてキャッチャーは経験が必要で、プロ野球でレギュラーを取るには時間がかかると言われていました。しかし今年はロッテの松川虎生捕手が、高卒1年目で数多く起用されています。また、ヤクルトの内山壮真捕手も高卒2年目ながら、一軍で先発の機会をもらっており、中村悠平捕手に次ぐ第2捕手の座をものにした感があります。過去の名捕手を見ていると、入団後に即レギュラーで使われる捕手は少なくありません。本当に捕手の育成には時間がかかるのでしょうか。

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元祖名捕手の野村克也さん

捕手の価値を上げたと言われる野村克也さんは、高卒3年目でレギュラーの座を掴み129試合に出場しています。しかも1年目の秋季キャンプに弱肩のため一塁手にコンバートされており、2年目の秋季キャンプで捕手に再コンバートされているため、捕手としての育成期間は1年程しかありません。最近の捕手の必須条件である強肩ではなかったことを考えると、当時の捕手はあまり重要視されていなかったのかもしれません。野村さんは捕手の重要性を説いた人として有名であり、そのあたりとも符合する出来事と言えると思います。

野村克也さんの愛弟子古田敦也捕手

立命館大学からトヨタ自動車を経てヤクルトに入団した古田さんは、プロ入りが少し遅かったとはいえ、入団一年目から当時の野村監督に才能を見抜かれてレギュラーとなりました。2年目には首位打者に輝くなど、三冠王を獲得した野村監督の直系としては十分な活躍をします。通算でも2097安打を放ち、野村監督と同様に兼任監督も経験するなど、素晴らしい現役生活を送っています。

高卒1年目で開幕一軍の谷繁元信捕手

1988年のドラフト1位で江の川高等学校から大洋ホエールズに入団した谷繁元信捕手は、1年目から開幕1軍に選ばれて、80試合に出場しました。その後大矢明彦コーチに薫陶を受けて、主戦捕手へと成長していきます。大矢さんから捕手としての基本をすべて教わったと谷繁さんはコメントしており、指導者としての大矢さんの存在の大きさを、認めています。レギュラー獲得には時間が少しかかりましたが、80,75,82,74,114と出場試合数を順調に伸ばしており、捕手として戦力となるのに時間がかかったということはありません。

高卒1年目で開幕スタメンの炭谷銀仁朗捕手

2005年に高校生ドラフト1位で西武ライオンズに入団した炭谷捕手は、開幕スタメンを勝ち取っています。打力に恵まれないためか出場機会を増やすことができずに、西武~巨人~楽天を渡り歩いていますが、17年目でその守備力は貴重であり、まだまだ現役生活は続きそうです。打力を期待されていたわけではないので、高卒と同時に開幕スタメンを勝ち取る守備力を有していたと言っていいでしょう。

決して珍しくない高卒捕手の早期起用

その他にも西武の黄金期を支えた伊東勤捕手や、ダイエーからMLBに渡った城島健司捕手など、高卒から時間を掛けずに起用された捕手は数多くいます。捕手の育成に時間がかかるというのは、育成能力が足りない首脳陣の、言い訳なのではないでしょうか。

早期に若手捕手を起用できる条件

最近はコリジョンルールにより、体を大きく作り上げる必要がなくなりました。また一番時間がかかると思われるバッティングは、多くを求められない時代になっています。更に、分業制により先発完投を考える必要がなく、球威で抑える投手が増えているため、リードもそれほど複雑ではないでしょう。データ整理などはチームが特別班を作ってやっているので、配球について自分で考える必要が少なくなっているようです。谷繁さんなどはそのあたりが少し物足りないと、自身のYou Tubeなどでコメントしています。

特にMLBからの流れでビッグデータの利用により、守備位置なども指示が明確になり、捕手の勘や経験に依存することがこれからは益々少なくなるでしょう。捕手に求められるものが、今後は更に大きく変わっていくかもしれません。

もしかしたら若手捕手を起用できるチームほど、現代の野球に対応ができているチームなのかもしれません。

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