若手打者の台頭がない巨人 ドラフト戦略に変化は見られるか

開幕と同時に今年のジャイアンツは若手投手陣が力を発揮しています。開幕ローテーションには堀田賢慎投手、山﨑伊織投手、赤星優志投手が組み込まれ、守護神に翁田大勢投手が定着しそうです。昨年とは大きく違うメンバーでローテーションを組んでおり、球団の育成とドラフト戦略が噛み合った成果と言って良いかもしれません。昨年までは指名した投手が尽く故障してしまい、ドラフト戦略に大きな疑問符がついていましたが、水野雄仁さんをスカウト部長に就任させて一定の結果を出せているといっていいでしょう。

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投手の駒不足のため投手偏重の指名に

菅野智之投手のMLB入が予定されていた頃から、投手陣の窮乏は目に見えていました。そのため近年は投手偏重の指名をしていましたが、尽く指名・育成に失敗してしまいました。昨シーズンは投手陣のコマが揃わず、中5日のローテーションで凌ごうとするなど、苦しい台所事情となってしまいました。手術後の堀田投手、山﨑投手と新人の大勢投手、赤星投手が戦力となったので、やや投手力に余裕が見えてきましたが、まだ十分であるとはいえず、ファームでの育成力が問われるところです。

打者の駒不足は深刻

投手はある程度の成果が見えてきましたが、打者は若手の成長が殆ど見られません。投手偏重の指名を続けていたため、最近5年間の1位指名はすべて投手で、2位も2017年の岸田行倫捕手と2018年の増田陸選手だけです。2020年のドラフトで超目玉の佐藤輝明選手をはずしてしまい、2017年にはハズレ1位で村上宗隆選手をはずしてしまった不運はありますが、あまりにも投手偏重で現在は若手野手の駒不足が深刻です。2020年の高卒3位の中山礼都選手と5位の秋広優人選手は紅白戦、オープン戦とチャンスを与えられましたがまだまだ力不足だったようです。本来であれば高卒5年目や大卒2年目ぐらいに有望株が出てこなければなりませんが、現状で1軍に登録されている若手は3年目の山瀬慎之介捕手と7年目の廣岡大志選手だけで寂しい限りです。(廣岡選手は既に中堅と言ってもいい年齢です。)

今年のドラフトでは野手の指名を

くじ運に恵まれない不運はありますが、2020年のドラフトでは牧秀悟選手の指名を見送っています。牧選手は強化が必要な2塁手が可能で、ジャイアンツとは縁の深い中央大学出身だったため、指名は十分に考えられました。結局佐藤選手をはずした後に平内龍太投手を指名したために牧選手をDeNAに取られてしまいました。投手が必要との戦略であったのでしょうが、佐藤選手を指名したのであれば、牧選手指名はできたはずです。

今年どれだけ野手の有望株が出てくるのかはわかりませんが、内野手を中心に補強をしないと1軍は非常にバランスの悪い構成になっています。

長距離打者の育成は非常に難しいと思いますので、そういった素材があれば積極的に指名するべきだと思います。また長距離砲に限らずトリプルスリータイプの野手も、上位で指名するべきではないでしょうか。特に甲子園や大学野球のスターは球団も腰を据えて育成するので、リスクを恐れずに指名するべきだと思います。

興行的に見ても野手は毎日出場できますので、スーパースターは打者でしか有りえません。また毎年投手は好素材が出てきますが、打者の好素材は数が少ないのが現状です。特に高校生は金属バットを使っているので、プロでまったく通用しないケースが出てきます。そのためプロ入り後に猛練習に耐えうる頑健な体を持った素材を、積極的に高順位で取る必要があると思います。高順位での指名でないと、球団の育成に今ひとつ力が入らないように見える傾向があるからです。

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