野球選手にも知性が必要 フィジカル+インテリジェンス 努力と判断

野球界も今、大きな曲がり角に来ています。これは野球界だけではなく、スポーツ界全体と言ってもいいでしょう。昭和に象徴されるスポーツ=根性モノという図式は、もはや過去のものと言っていい時代が、かなり前から来ています。野球界は指導者の老齢化が重しになっているのか、改革が遅れている感が否めません。

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安樂智大投手のパワハラ

名前を出して申し訳ありませんが、この件に代表されるように、野球界の改革は一般社会とは大きく乖離して遅れていると言っていいでしょう。この件は安楽投手だけの問題ではなく、野球界全体の問題と言って間違いないと思います。そういう状況にあるからこそ、今回の件が長い間見過ごされてきたと言えると思います。楽天球団でこの件が発覚し取り沙汰されていますが、もう一度プロ野球界全体で、もっと言えばアマチュアも含めた野球界全体で考えていかなければならない問題だと思います。

指導者の立ち位置の変化

以前であれば指導者の言うことは絶対で、パワハラまがいの猛練習は普通にあったことだと思います。その時代を経験した古いタイプの指導者は、今の時代を自らの経験と重ね合わせて、かなり苦労しているでしょう。良かれと思ってやった指導や練習が、誤解された形で受け取られることは、今の時代では決して珍しいことではないはずです。

アメリカの管理職

2000年代にアメリカの日系企業でお話を伺った時に、日本人の駐在員は決してアメリカ人の従業員に対して指導することは無いと言っていました。そこは営業部門であり、成績の上がらない従業員がいれば、日本では上司が指導するものですが、そこでは上司の直接指導は禁止されていました。成績不振の従業員に対しての指導は人事部が行い、簡単に解雇につながるという文化でした。

メジャーのコーチも聞かれれば指導するというスタイルが多いようで、かつての日本のような指導は皆無と言っていいでしょう。

逆に言えば従業員自身の自主性と判断力が必要で、ただ闇雲に働く従業員は淘汰されていきました。

坂本勇人選手のコメントの重さ

スカパーのサヨナラ賞の年間大賞の授賞式で、坂本勇人選手は門脇誠選手について、「ルーキーなのによく考えている。」とコメントし、「プロでも考えないで野球やっている選手もいっぱいいる。」と発言していました。門脇選手が1年目から坂本選手や阿部監督に認められていることは喜ばしいことです。しかし同時に、考えないで野球をやっている人が一杯いるという部分に、ファンとしては引っかかってしまいました。

坂本選手の言うところの考えない選手は、普通に考えればジャイアンツにいっぱいいるということでしょう。昭和の時代は積極的にコーチしてくれた時代ですが、今は自分で考えてコーチにアドバイスを求めなければ、正しい方向へ改善が進まないということになると思います。そんな時代に考えもなしに闇雲に努力しているだけでは、アマチュア時代は素質とフィジカルだけで活躍できても、フィジカルモンスターの集まりであるプロ野球で活躍できるはずがありません。

フィジカル+インテリジェンスが必要な時代

お仕着せの指導がない代わりに、自ら考えて判断をしてアドバイスを求める知性が無ければ、インテリジェンスのある選手とは差が開く一方でしょう。

特に3年という縛りが有る育成選手は、迷っている時間や、判断を誤って修正する時間は無いと言ってもいいでしょう。短い時間で判断を謝れば、3年はあっという間に過ぎてしまいます。正しい方向を判断しなければ、ドラフト1位と言えども待ってくれはしません。それは各球団のドラフト1位の選手に対する見切りの早さを、見るまでもないと思います。

アマチュア時代は天性の素質とフィジカルで、インテリジェンスなしに抜きん出た成績を収めることが出来ても、プロは甘くないということを、坂本選手のコメントは表していると思います。

ただ速い球を投げる時代は終わり

150kmは当たり前で、160kmも珍しくない時代に、150km程度のスピードに拘っているようではレベルは低いと言わざるを得ません。キレと制球だと言ってフィジカルから逃げているようでも、活躍できるのは一握りの天才だけでしょう。現在の投手の水準は、本当に上がっています。

You Tube等をを見ていると、過去のレジェンドたちがいかに細かい所まで工夫しているかが解ります。今の時代は更に細かい分析が可能であり、より細部まで拘ること、考えること、試すことが必要になると思います。現在の分析する機械などを前にしたレジェンドたちが、”あーすればよかった、こーすればよかった。”というのを聞いていると、いつの時代でもトップになれるインテリジェンスを持ち合わせている人達だと感心させられます。

心技体だけでは足りない時代

いろいろなスポーツ界で様々な不祥事が噴出していますが、残念ながら当事者や周囲の想像力が足りない案件が多いと思います。そこにインテリジェンスの欠如があったことは、間違いのない事実でしょう。時代は進み、スポーツ界も求められるものは高度になりました。フィジカルだけを鍛えても通用しない時代だと言えるでしょう。

心技体だけでは足りない時代、インテリジェンスが足りない選手はトップには成れない時代が、やっと認識される昨今ではないでしょうか?

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