アニメは日本の数少ない世界に誇れる文化と言われています。
昭和の時代はアニメを見ていると、親に怒られました。アニメばかりを見ていると、頭が悪くなるとも言われていました。しかし、今は大人も積極的にアニメを見る時代です。昭和の時代からはすべての面で、そのクォリティはかけ離れて素晴らしいですが、同時に難解なアニメも増えてきました。
勧善懲悪の世界からの脱皮
昭和の時代のアニメは、勧善懲悪が殆でした。なかには愛すべき悪役の登場するアニメもありました。ブラック魔王やドロンジョ様はその魁だったと思います。そして宇宙戦艦ヤマトでデスラー総統が登場し、ガンダムで勧善懲悪がほぼ無くなったと言って良いかもしれません。
敵役がいなくなり物語が難解に
どちらかが悪役ということがなくなると、登場人物がどっち側かということが分かりづらくなってきます。物語が進むにつれて寝返る人物が出てくると、もう訳がわかりません。ガンダムもファーストはまだわかりやすいですが、Ζになると三竦み状態のようになり理解が進みませんでした。
ストーリーも時系列化されて複雑
ストーリーも非常にプロットが練られていて、先の先まで考えられており、以前のアニメのように矛盾が生じにくくなっています。ヒットしなければ打ち切りになるはずですが、ヒットを見越したように、物語の伏線が各所に散りばめられていて、何度見ても飽きません。
呪術廻戦は一度見ただけでは解らない
最近ハマっている呪術廻戦は、一度見ただけでは理解が進みません。特にいま放送中のシリーズは、過去に遡っているので、先に放送したシリーズや映画の謎や伏線、人物関係が紐解かれていきます。そのため今シリーズの放送を見るたびに、過去のシリーズを見返すことが多くなり、どんどんハマっていってしまいます。
そしてその複雑な人間関係を知るたびに、キャラクターへの思い入れが強くなり、沼の深度が上がっていくのです。育成ゲームが流行るように、虎杖悠仁が成長する過程を見るのは楽しむ王道ですが、現在最強の五条悟の不完全だった頃を紐解くのは、違った楽しみがあります。
コミックが読みたくなる呪術廻戦
呪術廻戦を見ていると、難解なワードが多く何度も見直してしまいます。昭和の時代では考えられないくらい、その難易度は上がっていると言えるでしょう。そして何度見ても漢字が浮かばない場合があります。そんなときはコミックで漢字を確認したくなります。
私は呪術廻戦も鬼滅の刃もアニメ派で、コミックを全く見ていないのですが、今回は禁を破ってしまいそうです。それほど呪術廻戦で出てくるワードは理解が難しいと思います。特に五条悟の術式反転の件は何度見ても理解が進まず、物理的にあり得るのかどうかも判断が付きません。昭和の時代のかめはめ波くらいならば、現実に可能かどうかは脇において理解はできます。かめはめ波も波動砲もなんとなくですが同類だと理解できます。しかし、青と赤が混ざって紫で・・・五条悟恐るべし・・・
ビデオ時代のアニメの在り方
今の時代はアニメを何度も見返すことがスタンダードなんでしょう。鬼滅の刃の興行成績がとてつもなく伸びたのも、このあたりが原因でしょう。
画面の美しさ、音響の素晴らしさ、声優さんの表現力。すべてを一度で捉えきることが難しく、何度も見返してしまいます。
お気に入りのキャラクターの何気ない一言さえ、繰り返して見てしまう場合さえあります。
このあたりは何度も見返すことに耐えられる、現代のアニメのクォリティーの高さに依るのでしょう。
生成AIと共存できるアニメの世界
ハリウッドで俳優さんたちが、自分たちの将来を案じてストライキを起こしています。しかし、ことアニメに関してはAIとの共存は容易になり、よりクオリティーの高いものが作られるのではないでしょうか。勿論声優さんたちの価値は下がってしまうかもしれません。しかし、本物の表現力を持った声優さんたちには、更に高い価値がつけられるのではないでしょうか。ハリウッドも一部のスターの価値は上がり、エキストラレベルの人達の価値が下がるという、二極化が進むのではと勝手に予想しています。
これからもアニメはより進化していくでしょう。その過程でいつかは私自身がついていけなくなってしまう時が来るかもしれません。それほどアニメはすべての面で進化しています。かつて名画を何度も見返していたように、今はアニメを何度も見返して楽しんでいます。これほどのコンテンツが、無料で見られる時代に感謝しなければならないと思います。
今の若者達はこのクォリティーがスタートラインであり、それは本当に羨ましいと思います。昭和の時代はチープな画像でも楽しめていましたが、今は再放送に耐えられるものが殆どないと思います。
若者たちには時代を恨むのではなく、時代を楽しんでいってほしいと思います。
考え方一つで変わりますから・・・