スポーツは選手も指導者も新時代へ 数値化データ化に対応が絶対条件

スポーツの世界が急激に変わっています。甲子園で慶応対仙台育英の決勝戦が行われ、新たな時代の幕開けが現実のものとなりました。両校の監督は、まさに令和の時代の新しいタイプの指導者で、今後この流れは間違いなく加速していくものだと思われます。

プロ野球の指導者も新時代へ

新しいタイプの指導者が、アマチュア球界で増えていけば、プロ野球に入る選手たちも常識が変わってきます。今のプロ野球の指導者たちは、昭和の時代の指導を受けている人が殆どで、令和の時代の指導者のように選手との関係性を築くことができません。令和の時代の選手たちも、古い時代の指導者と新しい時代の指導者とのギャップに苦しむこととなるでしょう。そしてやがては新しい時代の選手たちがマジョリティーとなり、古い時代の指導者たちが淘汰されていくのは、当然の流れでしょう。

プロ野球の場合はむしろ指導者においては新陳代謝が遅れており、古い時代の指導者はパワハラなどの問題から、経験上持っているスキルを発揮できないジレンマに陥っていると思います。そのため選手とのコミュニケーションに四苦八苦して、満足な指導ができない指導者も存在するのではないかと思います。

データの活用ができない指導者

最近はどのスポーツでも動作解析などが進み、全てが数値化されています。練習中や試合中でもデータは次々と提供されて、指導者と選手は常に数字と向き合わなければなりません。

例えば試合中であれば、アナリストから提供されるデータを即座に分析して対策を打たなければなりませんが、次々と提供されるデータに対応できない指導者は、新しい時代についていけない事が明らかです。

先日バレーボール女子日本代表監督の真鍋さんが、データの活用についてコメントしていました。試合中から練習中までアナリストから送られてくるデータに、即座に対応している真鍋さんは、素晴らしい実績を残しています。真鍋さんが素晴らしいのは、データに不慣れなベテラン選手よりも年上の真鍋さんが、積極的にデータを活用したことだと思います。データに裏付けされた真鍋さんの指導や作戦の立案は、今の若い選手には信頼できるものであることは間違いありません。

練習中でも同様の事が、言えるでしょう。例えば野球の投手の場合、トラックマンなどによりボールの回転数や回転軸が瞬時にわかるようになっています。ダルビッシュ投手などは、一球ごとにデータを確認して次の投球に活かしています。しかし、今の古い時代のプロ野球の指導者は、こういった事を自ら試した経験がありません。今までのコーチは選手時代やコーチでの経験で指導を行ってきましたので、データの活かし方が選手以上には理解できません。そうなると技術的な指導が、将来的にほぼできなくなります。むしろダルビッシュ投手のようにデータを活かすことを体験している現役投手のほうが、技術指導にはノウハウが有ることになります。

コンディション作りも変わってしまった

かつては中4日や中5日の時代があり、今の投手コーチは殆どがその時代に活躍してきています。つまり今の中6日のコンディション作りを選手としては体験していません。本当のところを古い時代の投手コーチは理解できていないことになります。古い時代の解説者は、自分たちの現役時代と比べて、中6日100球は甘いとコメントしますが、個人的には疑問が残ると思います。今の時代はアマチュアでも150Kmが出せるほど、出力が上がっています。選手も大型化しており、指の長さや腕の長さも違うでしょう。またマウンドの硬さも全く違っており、ボールのコンディションも違います。変化球も種類が増えており、肩肘に掛かる負担は違うのではないでしょうか。

これだけ環境が変わっているのにも関わらず、単純に投球数や休養日数を比較することは無理があると思います。もし今のコーチがそんな考えを押し付ければ、現役の投手からは絶対に受け入れられないでしょう。今の選手達は大人なので、首脳陣に反旗を翻すようなことはしませんが、チームの成績が振るわなくなるのは当然の流れだと思います。

大谷翔平選手の出現で選手も新時代へ

「遊びたい、飲みたい、いろいろやりたい。そんなんで優勝できるわけないですからね。勝ちたいんだったら野球やるしかないんです」

これは日本ハム時代に大谷選手が選手に対して発した言葉です。当然対象には先輩選手たちも含まれています。今の現役選手の殆どが、耳の痛い話ではないでしょうか。

それほど大谷選手は努力をしており、超人的な実績を残しています。WBCで侍ジャパンに選ばれた選手たちも、彼我の違いに愕然としたのではないでしょうか。その侍たちが所属チームに帰り、チームメイトの努力を見て何を感じたでしょうか?侍ジャパンに選ばれるぐらいならば、所属チームでは間違いなく主力の選手です。

所属チームに帰った侍たちが、何を持って帰ったかによって、チーム力が大きく変わるのは当然でしょう。

古い時代の選手たちは、遊んだり、飲んだりするのが当然でした。しかし、時代は変わっていきます。

指導者も遊んだり飲んだりは時代遅れ

選手でも監督でも実績を残した工藤公康さんは、監督時代に試合後は必ず自宅や宿舎で試合のビデオを見ながら食事をしたそうです。24時間野球漬けの毎日は、楽しくて仕方がなかったようで、何処か大谷選手と共通するものがあります。それだけの努力を重ねている工藤監督だったからこそ、監督として抜群の成績を残したのではないでしょうか。今の指導者にこれだけ野球に打ち込めている指導者は、どれだけいるのでしょうか?古い時代の指導者は、

「遊びたい、飲みたい、いろいろやりたい。そんなんで優勝できるわけないですからね。勝ちたいんだったら野球やるしかないんです」

と選手に言われたら、なんと返すのでしょうか?

それだけ打ち込めないならば、プロの指導者として失格の時代がもう来ているのかもしれません。

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