ヤクルト首脳陣の手腕がわかる強い理由　戦力の整備と若手の成長

交流戦が終わり、リーグ戦が再スタートするプロ野球です。セはヤクルトが2位のジャイアンツに7ゲーム差をつけて独走状態、パは楽天とソフトバンクのマッチレースになってきました。

際立つヤクルトの首脳陣の手腕

昨年優勝したヤクルトが、更に実力を増してペナントレースを独走しています。

チーム防御率は2.73でセ・リーグ2位、チーム打率は.241で3位、本塁打は64本で2位、糖類は39個で2位とバランスの良いスタッツが残っています。

投手陣の整備

昨年のチーム防御率を月別に見ていくと、8月以降に大幅に改善されたことが判ります。今年も徐々に改善されてきており、高津監督の手腕が際立つ結果になっています。2020年の監督1年目にチーム防御率が4.61で苦しんでいたところから、長期的に改善されてきたことは、球団と首脳陣の戦略の成果といえます。今年はエース格の奥川恭伸投手をシーズン序盤のわずか1試合で欠いた中での成績なので、リスクコントロールもできています。今後調子を落とす投手や、故障を発生する投手は出てくると思いますが、そのあたりのケアーも十分にされていると予想され、大きな失速は起こりそうもありません。

夏場に強い打撃陣

昨年も7月8月に高打率をマークした打線ですが、今年も調子を徐々に上げてきているようです。開幕当初絶好調だったサンタナ選手を欠く中で、徐々に調子を上げてきていることに価値があると思います。山田哲人選手と村上宗隆選手を中心とする打線は、今年も迫力満点で凄みを増していると思います。

今年も若手が成長中

昨年は塩見泰隆選手が大ブレイクをして注目を集めました。特に高卒3年目の長岡秀樹選手は20歳でありながら、全62試合にショートで出場しています。打率.240はショートとしては十分であり、守備も6つの失策を犯していますが、6月は無失策で安定してきているようです。投手を除けばレギュラーポジションは8つであり、年に一人生え抜きのレギュラー候補が現れることで、チームは格段に安定します。ヤクルトの場合はベテランの数が比較的少なく、若手が経験をできるチーム構成ができているので、好循環を生んでいます。また主軸の選手の安定度が高いことも、チームが若手を起用できる余裕を作っているのかもしれません。

やはり大きい中村悠平捕手の存在

開幕に間に合わなかった中村捕手ですが、5月に復帰以来、打率.306と好調を続けています。そして守備面での貢献が大きく、復帰以来防御率は急上昇し、貯金も大きく増えました。背番号も27となり、名捕手の雰囲気さえ出てきています。

FAで評価されるかキャッチャーの価値　中村悠平捕手　MVPの余波

ヤクルトの日本一で終わった今シーズン。日本シリーズMVPは中村悠平捕手に決まった。シリーズの打率.318で打撃面の評価もあったが、MVPの決め手になったのは守備面での貢献だろう。

black-raider.com

2021.11.30

捕手の育成に怠りなし

中村捕手が不在の間に、内山壮真捕手も存在感を見せつけました。高卒2年目での活躍は目を見張る物があり、中村捕手が32歳であることを考えると、丁度いい年齢差かもしれません。捕手は大切なポジションであり、中村捕手の出遅れを好機として若手を成長させた、ヤクルト首脳陣の育成力は素晴らしいものがあるといえます。

高津臣吾監督の存在感

ここまでヤクルトはアクシデントもある中で、着実に戦力を整備して強化した結果が出ているようです。結果を出し続けることは難しいですが、高津監督にはメジャーや独立リーグなど様々な経験があり、人物に幅があることは間違いないでしょう。指導者としても投手コーチから2軍コーチへとヤクルトのことを知り尽くしており、チームを俯瞰してみることが出来る立ち位置にあると思います。昨年の優勝で実績も残し、選手からの信頼感は益々厚くなっており、球団の協力度も高いのではないでしょうか。野村ID野球時代に黄金期を迎えたヤクルトの、第2次黄金期が来るのかもしれません。

古田敦也さんと宮本慎也さん

いずれもヤクルトの大切なOBですが、そろそろ現場復帰してほしい人材です。しかし古田さんは、監督以外は引き受けないでしょうし、宮本さんもヘッドコーチか監督しか受けないのではないでしょうか。昨年オフに宮本さんが中日のヘッドコーチが受けられなかったのは、ヤクルトでの復帰が予定されていたからかもしれません。OBをとても大切にするヤクルトなので、その去就が注目されます。