巨人復活の最大の課題は阿部監督の野球を貫けるか マスコミとファン

ジャイアンツのスプリングキャンプが賑わっています。阿部新監督になり新鮮味があることが大きな要因だと思います。さらに今年の新戦力が新鮮味をさらに増していることは、間違いないでしょう。これからオープン戦が始まり、新戦力の実力が試されていきますが、本番はまだまだ先です。これから注目したいのは、阿部監督がどれだけ自分の目指す野球を貫けるかだと思います。

原監督の野球と対極の阿部監督の野球

阿部監督は就任直後のインタビューで、どんな野球を目指すかを質問されて、まだ決まっていないと回答しています。この時は原辰徳前監督が同席していたので、あまり前監督と違う方針をその場では言い出せなかったのだと推測できます。実際就任後から打ち出された方針は、原監督時代とは異なる事項が並びました。

大方針は守りの野球

攻撃野球の原監督と対照的に、阿部監督は守りの野球を掲げています。2021年シーズンにライトにポランコ、レフトにウォーカーを配置したことに象徴されるように、原監督は外野手の守備力を重視しませんでした。狭い東京ドームを本拠地にしているため、外野手には長打力をもとめ少々の拙守には目をつぶっていたと思います。それはそれで1つの考え方ではあると思いますが、実際には2年連続のBクラスに沈んでいます。特に甲子園やマツダなどで大きく負け越したのは、その辺りに原因があったのではないかと個人的には推測します。

原監督は守備力の衰えた丸佳浩選手をライトにコンバートしましたが、阿部監督は丸選手をレフトにコンバートしています。また、センターには守備力の高い日本人選手を置きたいとして、キャッチャー目線での考えを示しています。

脚を使った野球

また、昨年は盗塁などの脚を使った作戦は殆ど取らずに、一発狙いの荒い野球を続けました。コーチが脚を使った野球を否定していたので、相手チームはやりやすかったと思います。しかし、阿部監督はホームラン頼みで勝てないことは昨シーズンではっきりしたと明言しています。”理想はノーヒットで1点を取る野球”とコメントしており、180度の方針転換と言っていいと思います。この辺りのコメントからは昨年のただ打つだけの退屈な野球から、相手に考えさせる変幻自在の野球が想像され、ファンの受けも今のところは良いと思います。

投手リレーも大改革

マシンガン継投などと結果の出なかった原野球は、たびたび非難されましたが、阿部監督はリリーバーについてもローテーション制を考慮するなど、方針転換をここでもしています。監督としての経験は原監督には大きく劣りますが、キャッチャーとしてゲームを動かし、投球を受けていた経験は原監督には無いものです。ジャイアンツ初のキャッチャー出身の監督は、間違いなくジャイアンツを変えてくれると思います。

ファンから支持される野球

ここまで阿部監督が打ち出す野球は、概ねファンが望んでいるものとズレてはいないと思います。この辺りは、4年間2軍監督として経験を積んだことが、無駄にはなっていないようです。脚力を使い隙のない野球をする事は、強かった頃のジャイアンツの特徴でした。いつの間にか大味な野球をする弱いチームに変貌をしてしまったチームですが、ジャイアンツの良き伝統を取り戻してくれるかもしれません。

ただ守りの野球は派手さはなく、負けが先行すれば観客動員や視聴率に影響が出る可能性もあり、マスコミ球団であるジャイアンツは原監督に攻撃野球を求めていた可能性もあります。

阿部監督は自分の野球を貫けるか

問題はシーズンが始まり、負けが混んだときに、阿部監督がブレずにいられるかどうかです。ジャイアンツはマスコミ球団であり、外野が煩いことが珍しくありません。更にマスコミ球団でもあり、お客を呼べる派手な野球を球団が望むこともあるでしょう。守りの野球で地味な試合が続き、負けが混んだときに、”打たなければ勝てない”などと色々な方面から批判が出ることも予想されます。ついつい頼りになるリリーバーだけを連投させたくなるかもしれません。原監督のように、危ないとなれば早めの継投になってしまう可能性もあります。そんな時阿部監督が自身の野球を貫けるかが、ジャイアンツ復活の岐路となるのではと思います。最低でも夏場までは自分野球を信じて、ブレずにいて欲しいものです。また、少なくとも身内のマスコミは根拠のないポジティブ情報だけではなく、地に足の付いた報道をファンに届けてほしいと願います。

復活の鍵を握るのは二岡ヘッド

阿部監督が一番信頼をおいているのは、年上の二岡ヘッドコーチでしょう。苦しくなった時に阿部監督を支える役目を二岡ヘッドがどれだけやってくれるかが、阿部野球の継続性を支えてくれるものだと思います。二岡ヘッドはショート出身で、阿部監督が大切にするセンターラインの選手です。方向は違いますが、同じような目線で野球をして、野球観が大きく違いがないのでヘッドとして起用しているのだと思います。

窮地に立たされた時にこそ、二岡ヘッドの役割はとても大きくなるのではないかと思います。

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