プロ野球の世代間格差 進化している選手と退化している首脳陣

一般社会で常に話題になる、世代間格差の問題。パワハラやセクハラ等の諸問題がある環境下で、管理職の在りかたが急速に変わりました。パワハラなどが問題にならなかった世代の管理職と、パワハラ問題に常に脅かされている現在の管理職とでは、指導の仕方にも大きな差が生まれてしまいます。これはプロ野球にも全く同じことが当てはまります。かつてプロ野球に限らずスポーツの世界では、パワハラまがいのことは常識のように満ち溢れていました。鉄拳制裁などは今の世の中ではすぐに解雇、もしくは訴訟問題にまでなってしまいますが、昭和の時代は普通にあった話で、それはプロ野球から高校野球まで普通にあった話だと思います。

現在の指導者たちのあり方

古くから指導をして成果を出してきた指導者は、パワハラ問題について適応することが非常に難しいと思います。高校野球の世界では名将と言われた強豪校の監督たちが次々に勇退されて、新時代の指導者が台頭してきています。プロ野球でも阿部慎之介さんが2軍監督時代に罰走を選手に課したとして、時代遅れのパワハラだと報道されていましたが、罰走レベルでパワハラならば、昭和の指導者は殆どがクロになってしまうでしょう。

仙台育英と慶応の監督

今回の甲子園が特徴的だと思いますが、決勝に進んだ仙台育英と慶応の監督は、まさに令和の時代の指導者として持ち上げられています。

仙台育英の須江航監督は40歳で、指導者としてはとても若い部類に入ると思います。慶応の森林貴彦監督は50歳ですが、NTTのサラリーマンをしていた経歴などがあり、慶応の監督に就任したのは2012年なので、新しい時代の監督と言えるでしょう。

2人に共通しているのは、中学以下の子どもたちの指導経験が豊富であるということです。須江監督は中学校の野球部の指導経験が長く、森林監督は慶応の幼稚舎の教諭を兼任しているので、今の高校生の気持ちは手に取るようにわかるのではないでしょうか。

「最近の若い奴らは理解不能・・・」なんて言葉は、全く2人には必要ないのではと思います。新時代の指導法で優勝まで駆け上がった指導法は、決して積極的にそれまでの指導法を否定するものではありません。しかし、これから甲子園を目指す中学生や小学生が、古い指導法を積極的に選ぶとは思えません。時代は大きな転換期を迎えたと言えるでしょう。

プロ野球の指導者の悩み

今のプロ野球の指導者の状況を見ると、深刻な状況と言えるでしょう。セ・リーグの監督で一番若いのは広島の新井監督で45歳です。新井監督は兄貴的な立ち位置で結果を出しつつありますが、その他の監督はパワハラなど無い世界で育ってきています。阪神の岡田監督や巨人の原監督は、一般社会で言えばパワハラなどの研修を受けたこともない、逃げ切り世代と言えます。しかし、この2人は今も指導者として活躍していますので、パワハラ問題には一定の順応を見せています。原監督はかつては東海大の後輩の投手にベンチでケリを入れて報道され、それが大きく足りあげられなかった時代から指導歴があるので、かなり適応するのに苦労しているのではないでしょうか。肌感覚では許される範囲のことが、今の時代に適応しないことが多く、指導や表情に厳しさが見えなくなってしまったのは、このあたりに原因があるのかもしれません。今までの指導の経験が通用しなくなっている部分もあり、何処か選手に阿るような雰囲気が見えるのは、考えすぎでしょうか。

いずれにしても、選手の年齢は18歳から35歳までが中心なので、一般社会では課長職がコーチ、監督が部長職であるとすると、コーチは40代前半、監督は50代前半が適正年齢です。これに当てはめると、原監督と岡田監督は、役員級の年齢なので、若い選手は萎縮して、コミュニケーションが取りにくいことは間違いないでしょう。高卒の新入社員が役員の指導を受けても、何を言われているのか理解できないのが普通だと思います。逆に役員は新入社員が何を考え、どう言葉を受け止めているのかを想像することも難しいのではないでしょうか。

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若者の指導はとても難しい

子育てもすっかり終わってしまっている60歳以上の指導者は、今の子どもたちの気持ちを想像することは難しいでしょう。世の中すべての考え方が、昭和の時代とは大きく変わってしまいました。若者の指導は、時代と共に大きく変わっていくものです。特に昭和から令和までの変化の流れは、とても速く大きなものでした。鉄拳制裁は愚か、罰走も許されない時代は、昭和のそれとは大きく違います。当然指導者は今の若者を指導した経験がとても重要になります。今回の甲子園の決勝で、のびのびとプレーしていた選手たちは、間違いなく指導者の方針のおかげだと思います。いくら監督がのびのびとプレーしなさいと指導をしても、環境作りができなければ、のびのびプレーできるはずがありません。

コーチもスキルがなければ信頼を得られない

コーチの指導も確かなスキルがない場合は、選手からの信頼を得られないでしょう。今は色々な情報を選手たちは入手することができます。コーチよりも優秀なスキルを持った現役選手は、いくらでも存在する状況で、スキルのないコーチは存在意義がありません。WBCなどで超一流選手のコーチングを受けた選手は、自チームのコーチの指導をフラットな気持ちで受けることができるのでしょうか。データを駆使した指導法を体験した選手が、前近代的な練習を受け入れられるとは思えません。

監督もコーチも新しい時代に適応できなければ、退場しなければならないのは当然のことでしょう。

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