”巨人軍は紳士たれ”の副作用 逆境に弱いおとなしい選手たち

ジャイアンツの設立は1934年で、現在存続するプロ野球球団のうち、最も早く設立された球団です。現在のペナントレースが始まったのが1936年ですので、設立時には今後のことがどうなるかも不透明な中、野球で食べていくことを夢見ていた人たちの集まりだったと思います。当然戦争前の出来事なので、確たる保証もなく正力オーナーの元に人材が集まり発足したのが始まりでしょう。

今の有望選手たちはドラフトされて契約金をもらい、数年間は身分が保証され、寮にも入れるのですから、当時の人たちとは境遇が全く違います。

巨人軍憲章

巨人には巨人軍憲章が定められており、それとは別に正力オーナーの遺訓があります。それが

「巨人軍は常に強くあれ
巨人軍は常に紳士たれ
巨人軍はアメリカ野球に追いつけそして追い越せ」

です。

現代では至極当たり前のことであり、一般人から見ればピンボケのような訓示です。しかし、当時はこういった遺訓が必要になるほどの状態、もしくは発足時の状況があったのでしょう。

最近は球団や選手が問題を起こすたびに、“巨人軍は常に紳士たれ”がクローズアップされ揶揄されることがあります。しかし、当時から比べれば今の選手達は十分紳士です。時折罪を犯したり、暴挙を働いたりするような選手もいますが、それは一般社会においても同じでしょう。

マスコミという媒体

人気球団でマスコミ球団ということで、ジャイアンツは良きにつけ悪しきにつけ、取り上げられ方が大きくなります。未だに坂本勇人選手は写真誌に狙われることが多く、大変気の毒に思います。若い世代の方たちはマスコミに対する免疫があるようですが、シニア世代には、未だにテレビや新聞の言うことを信じ切っている人たちがいます。

欧米では各放送媒体は政治的な立場などを明らかにしているため、報道が偏向していることを視聴者は予め理解しています。しかし日本のマスメディアは公平であることを装っている部分があり、それに気が付かない視聴者がシニア世代には多いようです。

読売グループのジャイアンツの選手は、他のメデイアから見ればライバル会社の選手であり、少し複雑な立場に置かれています。

ジャイアンツという看板

また、ジャイアンツという看板は以前ほどではないにしても、叩くことで注目を浴びやすいという傾向にあることは間違いないでしょう。

地上波の放送はなくなりましたが、それ以上に今は選手の一挙手一投足を、一般人のスマホが記録しており、スキを見せることは出来ません。少しでも問題になるような動きをすれば、ネット上に動画が配信されて、回収することは不可能です。攻守交代の時の選手の様子や、プレー中のベンチの中まで誰かのスマホが狙っており、その動画は垂れ流しされている状況です。

負けているときにベンチが暗いなどと批判もあるようですが、最近の選手はいろいろな面で抑圧されていて、気の毒でなりません。いつも人から見られているとなれば、誰だって萎縮してしまうものです。本当は心の底から賢明にプレーに打ち込んでほしいものですが、批判的なレンズが狙っていると思うと、無邪気になれないのではないでしょうか。

ファンも紳士たれ

今の時代は、野球選手は殆どの人がスポーツを通して良い教育を受けており、紳士であると思います。試合中の不用意な姿の選手を動画に収めて拡散するなどは、選手にとっては嬉しいものではありません。

最近の選手たちは皆大人しく、紳士と言えば紳士です。デッドボールを当てられて睨んだぐらいで、批判する向きもあるようですが、大怪我になりかねない硬球をぶつけられたとあれば、睨みつけるぐらいは感情の現れであって、許してほしいものです。プロ野球選手も人間ですので、”子供に影響する“だとか”子供の見本になってもらいたい“だとか言う人もいますが、親がきちんとしつければ良いことだと思います。闘争心が湧き上がれば多少はエキサイトすることもあり、そのあたりは周りの大人が、きちんと子供と向き合えば良いと思うのです。”睨みつけたら、「よく感情を抑えたね。」くらい周りの大人は、教えてあげればいいと思います。あまり度を過ぎたものは、もちろん慎むべきであることは、言うまでもありません。

ジャイアンツの選手たちはいろいろな批判を無意識に恐れてしまい、本来の明るさが出せないでいるのではないでしょうか。首脳陣もそのあたり、選手を守ることを意識してほしいと思います。

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