連日の熱戦が続く全国高校野球ですが、別の意味の熱が甲子園で球児や応援席を襲っています。今年から5回終了時に10分間のクーリングタイムが設けられましたが、極めて不十分な対処療法に過ぎず、抜本的な解決には程遠い状況です。
グラウンドで暑さのため、事故が起こった場合の責任者は誰か?
実際に球児がグラウンドで倒れた場合、また暑さのために気を失い、他の選手との接触や、デッドボールなどで重大な事故が発生した場合、誰が責任を取るのでしょうか?球児達に自己責任を押し付けるのは論外であるとしても、現場の指導者であるチームの監督や野球部の部長に管理責任を問うのは無理があると思います。いくら現場の監督が無理をしないように指導をしても、無理して限界まで頑張ってしまうのが高校生でしょう。限界を越えることを目標として指導するにもかかわらず、球児に限界線を引くことを求めるのは、完全に矛盾しており、教育の現場として高校野球があるのならば、教育側の管理責任というほかありません。
また、応援席で演奏し続けるブラスバンドも、危険な状況だと思います。重い楽器を持ったまま、観客席を転がり落ちれば、大事故にもなりかねません。
主催者側の責任
各校は大会の規定に則って粛々とゲームを進行していくしかありませんので、何らかの対策を打つのであれば、大会主催者が規定を変えていくしかありません。
夏の甲子園の主催者は日本高等学校野球連盟と朝日新聞であり、最終的な責任がどちらにあるか定かではなく、それだけに改革が進まないのかもしれません。歴史的な経緯はあると思いますが、一企業である朝日新聞社が共同主催者となっているのは、営利部分が見え隠れして、あまり健全とは個人的には思えません。改革の声が上がらないのも、日本高等学校野球連盟の単独主催ではないところに、既得権益にしがみつく人たちの思惑があるような気がするのは私だけではないと思います。
試合時間の柔軟化と球場の選定
試合時間を早朝やナイターにすることは、十分に可能な状況であるにも拘わらずできない理由は何なのでしょうか?大会運営には多くのボランティアが関わっていると思いますが、ボランティア以外の商業ベースで関わっている人たちの既得権益が改革を妨げているのでしょうか。現状の試合時間でも第1試合と第4試合は、比較的体力の消耗が少なくてすみますが、第2試合と第3試合は事故が起こりかねない状況です。これだけのハンデがあるにも拘わらず、各チームから批判の声が上がらないのは、主催者側がそういった意見を聞く耳を持っていないと推測され、実際に改革は進みません。クーリングタイムという中途半端な対策を打つだけで責任回避を試みるのは、批判の対象になるべきだと思いますが、まったく主催者側には届いていないようです。
球場についても屋外の甲子園にこだわる必要性が見えません。伝統の甲子園と言いますが、球児たちは甲子園から京セラドームに変わっても、全国大会の価値は何ら変わることがありません。甲子園というブランドに価値を抱いているのは、過去の経験を忘れられない大人たちのエゴと言ってもいいと思います。
また、全国甲子園大会で受益を得る人たちも少なくはなく、甲子園から京セラドームや東京ドームに試合が移されれば、利益が減る人たちは抵抗するでしょう。しかし、高校野球はビジネスの道具ではなく、高校生のためのスポーツ大会です。大人たちの都合で球児たちの健康が害されたり、十分なプレーができないようでは本末転倒です。
文部省はこういう時こそ、上部機関として高い目線で大会を本来の方向へ導いてほしいと思います。
今の高野連と朝日新聞では既得権益にまみれてしまっていて、適切な判断ができない可能性があります。その証左が何年にもわたって改革されない、現在の夏の全国高校野球選手権の現状だと思います。
日本はここでも海外からの外圧が必要なのか
今の状況は海外から見れば、異常な状況だと言えるでしょう。ドーム球場など代替施設があるのに、わざわざ灼熱地獄の中で試合を行い、未成年者を苦しめることは、欧米では絶対に許されないと思います。こんな事もまともに判断できないのは、日本独特の風習と言ってもいいのでしょうか。政治家も現在の甲子園大会の開催方法について意見できないのは、朝日新聞が怖いからなのではと疑ってしまいます。
芸能事務所の不祥事もマスコミは忖度して報道できず、海外からの圧力でやっと明るみに出ました。夏の甲子園大会の問題についても、朝日新聞に忖度して他のマスメディアは批判できないのでしょうか?
今の状況を国連にでも訴えなければ、改革できないとするならば、マスコミは先の芸能事務所の事件から全く何も学んでいないことになります。また、日本の大衆は、改革が進まない高校野球を批判しないマスメディアを再び許してしまい、いつまで立ってもマスメディアに踊らされてしまう事になります。マスメディアは今の状況が、美味しくてたまらないのでしょう・・・
SNSで個人を叩くよりも、変わらない組織をもっと叩いてほしいものです。