西武の森捕手が5000万円増の、2億1千万円で契約更改をした。現時点では広島の會澤捕手を抜いて、NPB最高年俸の捕手ということになった。プロ野球選手の評価の一番のバロメーターは年俸であり、球界最高峰捕手になった理由を見ていきたい。
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ポジション | 捕手 |
投打 | 右投左打 |
身長/体重 | 170cm/85kg |
生年月日 | 1995年8月8日 |
経歴 | 大阪桐蔭高 |
ドラフト | 2013年ドラフト1位 |
森捕手は2013年のドラフト1位で、26歳の8年目の選手。高卒2年目から頭角を現し、3~4年目に72試合で外野を守っているが、ほぼ捕手とDHで現在は起用されている。打力が魅力の選手で、1軍での起用はDHや外野が多かったが、捕手の能力も向上され、2018年、2019年、2021年は捕手でベストナインに選出されている。守備面での捕手としての能力に疑問符をつけられることも多く、ゴールデングラブ賞の受賞は無い。しかし2017年~2021年は守備型捕手の代表格である、ソフトバンク甲斐拓也捕手が5年連続で受賞しており、決して守備が悪いわけではないと思う。
年度 | 試合 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 犠打 | 犠飛 | 四球 | 敬遠 | 死球 | 三振 | 併殺打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
2014 | 41 | 92 | 80 | 14 | 22 | 6 | 0 | 6 | 46 | 15 | 0 | 0 | 0 | 0 | 12 | 0 | 0 | 22 | 1 | 0.275 | 0.37 | 0.575 | 0.945 |
2015 | 138 | 531 | 474 | 51 | 136 | 33 | 1 | 17 | 222 | 68 | 0 | 4 | 0 | 3 | 44 | 3 | 9 | 143 | 5 | 0.287 | 0.357 | 0.468 | 0.825 |
2016 | 107 | 392 | 349 | 43 | 102 | 20 | 0 | 10 | 152 | 46 | 1 | 1 | 0 | 1 | 42 | 0 | 0 | 96 | 3 | 0.292 | 0.367 | 0.436 | 0.803 |
2017 | 38 | 145 | 124 | 16 | 42 | 8 | 3 | 2 | 62 | 18 | 3 | 1 | 0 | 0 | 21 | 0 | 0 | 24 | 4 | 0.339 | 0.434 | 0.5 | 0.934 |
2018 | 136 | 552 | 473 | 67 | 130 | 34 | 2 | 16 | 216 | 80 | 7 | 2 | 0 | 7 | 70 | 2 | 2 | 105 | 3 | 0.275 | 0.366 | 0.457 | 0.823 |
2019 | 135 | 573 | 492 | 96 | 162 | 34 | 2 | 23 | 269 | 105 | 3 | 2 | 1 | 6 | 72 | 3 | 2 | 89 | 9 | 0.329 | 0.413 | 0.547 | 0.959 |
2020 | 104 | 405 | 358 | 46 | 90 | 15 | 2 | 9 | 136 | 38 | 4 | 2 | 2 | 4 | 38 | 0 | 3 | 67 | 7 | 0.251 | 0.325 | 0.38 | 0.705 |
2021 | 125 | 520 | 431 | 70 | 133 | 32 | 2 | 11 | 202 | 41 | 5 | 2 | 1 | 3 | 79 | 3 | 6 | 65 | 4 | 0.309 | 0.42 | 0.469 | 0.889 |
通算 | 824 | 3210 | 2781 | 403 | 817 | 182 | 12 | 94 | 1305 | 411 | 23 | 14 | 4 | 24 | 278 | 11 | 22 | 611 | 36 | 0.294 | 0.38 | 0.469 | 0.849 |
年俸も捕手として実績を上げだした2018年から急激に伸びており、今年も大幅アップを勝ち取っている。
年度 | 年俸(円) |
2014 | 1,300 |
2015 | 1,900 |
2016 | 4,000 |
2017 | 4,500 |
2018 | 4,000 |
2019 | 8,000 |
2020 | 20,000 |
2021 | 16,000 |
2022 | 21,000 |
リード・配球での評価
まだ森捕手はプロでの捕手経験が浅い。経験が殆どと言われる捕手のリードの能力は、数値化できない。そのため若い捕手は批判の的になりやすく、後に守備面が評価される歴代の名捕手も、若い頃は苦労している。最近では巨人の阿部慎之助捕手は新人からレギュラーを任されて、首脳陣や先輩投手、OBやマスコミ、ファンに至るまで酷評された時期があった。今年評価が急上昇したヤクルトの中村悠平捕手も、少し前まではそれほどリードや配球を評価されてはいなかった。古くは巨人のV9を支えた森 祇晶さんも、よく川上監督に叱られていたようだ。
谷繁元信さんは35歳から、自身のリードのランクが上がったとコメントしており、26歳の森捕手が発展途上であることは間違いがないだろう。
阿部捕手や城島捕手などは打てる捕手として、周囲を黙らしていた部分もあり、森捕手は同じ系統で球界を代表する捕手となったと行っていいだろう。これから年齢を重ね、経験値が上がれば、阿部・城島の域まで評価が上がっていく可能性は十分にある。
優勝することで評価されるキャッチャー
よく言われるのが、優勝を経験したキャッチャーが、評価を上げるということだ。今年のヤクルトの中村捕手が何処まで評価をしてもらえるか興味深いところだが、今回の森捕手の評価を見ると疑問符が残る。守備型のキャッチャーの代表格で優勝経験も有る谷繁さんの最高年俸は、2005年~2006年の2億5千万と言われている。総合力も高く優勝も多かった古田敦也さんも、監督兼任時を除くと2005年の3億円にとどまる。
キャッチャーのバッティングの評価
打撃型の城島さんは2005年に5億円と推定された後、MLBへ移籍している。もう一人の攻撃型捕手の阿部さんは、2014年に6億円といわれていた。こうして比べてみると、やはり打てない捕手は評価が低くなりやすいということだろう。現在は、森捕手以外は殆どが守備型の捕手で、年俸2億円に届いているのは現時点では森捕手だけだ
打てる捕手の育成の難しさ
打てる捕手を育成するのは極めて難しい。バッティングが素晴らしければ、時間のかかる捕手よりも他のポジションで、チームに貢献させたいのが首脳陣の優先順位だろう。森捕手も外野とDHでの起用が最初だ。特にDHのないセ・リーグでは、打てる捕手が重用されるはずだが、実際はコンバートされることが多い。走力の有る村上宗隆選手は、捕手では一度も起用されていない。古くはヤクルトの飯田哲也さんも、守備力と走力を評価されて外野にコンバートされている。どちらかと言えば捕手しか出来ない走力の人が、じっくりと捕手として育てられるのではないだろうか。バッティングがよく走力もあれば、2軍に寝かしておくことは難しいだろう。森捕手の場合は守備力との兼ね合いから、捕手で起用され続けることになるだろう。森捕手ならば、阿部慎之助さんの6億を抜く日が来るかもしれない。 良いキャッチャーとは ~リードって誰が教えるの?~
まだまだ、成長が期待できる森捕手!
西武の逆襲が来年は楽しみですね。