共に4勝1敗で迎えた第6週。ポストシーズンで激突する、いや高い確率でチャンピオンシップで相まみえる両チームが、チーフスの本拠地アローヘッドスタジアムで対戦しました。最後にビルズがタッチダウンを奪うワンポゼッションゲームは、敵地での不利を乗り越えて、ビルズが勝利を収めました。
1 | 2 | 3 | 4 | OT | ||
Bills | 0 | 10 | 7 | 7 | 0 | 24 |
Chiefs | 0 | 10 | 7 | 3 | 0 | 20 |
落とせない一戦
2チームとも今年は激戦地区に所属しているので、厳しい戦いが続いています。同地区のライバルチームが今年は戦略を充実させており、地区優勝は簡単ではありません。しかし、今日の戦いぶりを見ていると、やはりこの2チームの地力はリーグを代表するものと言って良いと思います。おそらくこのまま両チームがともに、地区優勝をものにすると思いますが、問題はシード順位だと思います。今はまだ陽気も良く、フットボールには最適のコンディションだと思います。しかしポストシーズンは真冬であり、バッファローもカンサス・シティもアウェイのチームには厳しい条件が揃っています。両チームとも寒さには慣れていると思いますが、ホームグラウンドは共に屋外で、ホームのアドバンテージは今日の対戦の比では無いと思います。そのため今日の一戦は重要な一戦であり、シーズン半ばとはいえ、本気度の高い試合となっていたと思います。
リーグを代表する若手エリートQB対決
両QB共にドロップバックパサーの技量を持ちながら、スクランブル能力にも長けたQBです。パスのスタッツを見ると、インターセプト以外はほぼ互角という状況で、見ごたえのある試合でした。
Player | CP/ATT | YDS | TD | INT | QBR |
J. Allen | 27/40 | 329 | 3 | 0 | 60.5 |
P. Mahomes | 25/40 | 338 | 2 | 2 | 54.5 |
チーフスはエースWRのタイリーク・ヒルが抜けた穴を、WRスミス・シュースターがある程度埋めることができており、相変わらず素晴らしいTEトラヴィス・ケルシーとのホットラインは、ビルズといえども抑えきる事は難しかったようです。ただ先週レイダース相手に4TDを挙げたTEケルシーを1TDに抑え、全体でも2TDに抑えたビルズディフェンスは、流石に試合運びの良さが光ったと思います。
最近のエリートQBの傾向
若手QBが続々と出てくるNFLですが、活躍できるQBの傾向が変わってきたようです。伝統的なドロップバックパサーは数が少なくなり、機動力を兼ね備えたドロップバックパサーが増えてきました。モバイルQBは怪我のリスクが高く、年齢とともに失速していく傾向が強いと思いますが、機動力を兼ね備えたドロップバックパサーは、年齢とともに凄みを増していく例が多いように思います。
グリーンベイのQBアーロン・ロジャースは大ベテランとなった今でも、脚力は健在です。ゲーム終盤でのスクランブルや、プレイが壊れてから動きながらターゲットを探す動きは、年齢など感じさせません。
今日の両QBや、QBカイラー・マレー、QBジャスティン・ハーバート等もプレイが壊れた後の動きが勝負強く、簡単にはダウンしません。
逆に残念ながらレイダースのQBカーは、脚力が少し衰えたようにも見え、簡単にサックされたり、壊れたプレーでの打開力が足りないように思えます。QBマット・ライアンが失速しているのも、同じ様な理由ではないかと思います。
機動力を備えたQBを防ぐためのディフェンスでは、QBの動きを封じるためにスパイをつけたり、ディフェンスラインのラッシュもコンテインを確実にしたりするなど制約が多くなります。そのデイフェンスが機動力の無いQBを相手にすることになれば、ディフェンスが一人余るような状況に近くなり、かなり楽な対応ができるようになります。
QBトム・ブレイディの域まで達すればまた違うのかもしれませんが、、半端な能力では機動力のないドロップバックパサーは抑え込まれてしまうでしょう。
最近不調に陥っているQBには、そのあたりの問題があるのかもしれません。
ラン攻撃が試合を左右した
ランの獲得ヤードが125ヤードと68ヤードで、大きく差ができました。QBジョシュ・アレンが12回32ヤードと、4回21ヤードのQBマホームズよりもかなり積極的に走っています。ファーストダウンのためぶつかっていくようなランもあり、今日はQBアレンのほうが本気度が高かった様です。アウェイの不利を跳ね返すために、リスクを取ったのではないでしょうか。この勝利がポストシーズンで大きく効いてくるかもしれず、今から再戦が楽しみです。
CAR | YDS | AVG | TD | LONG | |
Devin Singletary | 17 | 85 | 5 | 0 | 14 |
Josh Allen | 12 | 32 | 2.7 | 0 | 16 |
James Cook | 2 | 8 | 4 | 0 | 4 |
TEAM(Bills) | 31 | 125 | 4 | 0 | 16 |
Clyde Edwards-Helaire | 9 | 33 | 3.7 | 0 | 11 |
Patrick Mahomes | 4 | 21 | 5.3 | 0 | 10 |
Isiah Pacheco | 2 | 9 | 4.5 | 0 | 5 |
Travis Kelce | 1 | 4 | 4 | 0 | 4 |
Jerick McKinnon | 2 | 1 | 0.5 | 0 | 1 |
TEAM(Chiefs) | 18 | 68 | 3.80 | 0 | 11 |
両チームの一番のリスクは、QBの故障だと思います。今日はQBアレンがかなり危険を冒しましたが、、今後はすこし抑えたゲーム運びになると思います。それほど今日の対決がビルズにとっては大切な位置付けだったと、考えて良いのではないでしょうか。
逆にチーフスにとっては、大切な一戦ではあるものの、大きなリスクは取らずに戦ったのではないでしょうか。このあたりはチームに余裕があるのかもしれません。
いずれにしろ今日の対戦は、非常に見応えのあるゲームであり、ポストシーズンの前哨戦として、色々と伏線が張られたのではないでしょうか。