衰退する一方の男子ゴルフツアーに比べて、人気上昇中の女子ツアー。ここまでいろいろな努力をしてきた結果がでているというのは、誰も否定できないことでしょう。ここまで来ることも大変だったと思いますが、小林会長は更に改革を進める姿勢のようで、その前向きな姿勢を強硬的と非難する報道があります。
JLPGAが目指すもの
女子ツアーが人気を博しているのは、間違いなくJLPGAの努力の賜物だと思います。女子の選手がファンを大切にする姿勢を貫いて、その教育がベテランから若手へと引き継がれているのも、そういった土壌をJLPGAや先輩女子プロゴルファーが作ってきたからだと思います。しかし、先日の全米女子オープンでわかるように、日本のツアーの規模は10分の一にも満たないというのは、賞金額だけを見ても明らかでしょう。昨年の日本の賞金女王の稼ぎを1試合で稼いでしまった笹生優花選手を、日本の女子プロゴルファーがどの様に見ていたか・・・
少なくともJLPGAの幹部たちは、今の日本の女子ツアーの在り方に満足しているのではないと思います。そのため常に良くしていくように不断の努力を続けることは非常に大切であり、その姿勢は高く評価するべきだと思います。
選手の流出が止まらない
全米女子オープンで日本のトッププロが大挙して参加し、好成績を収めた選手が多かったのは、たいへん喜ぶべきことです。しかし一方では、トッププロの流出が加速することは間違いないでしょう。JLPGAなどで義務付けられていたことや、執拗なマスコミに応対する時間がなくなるとなれば、米国でゴルフに打ち込みたいと思う選手が増えるのは自然の流れです。女子の海外メジャーを日本の選手が取ることは、夢でもあったとは思います。
国内ツアーの重要性
同じ様に海外で活躍する選手が増えたサッカーのJリーグはどうでしょうか?イギリスのプレミアやイタリアのセリエAのためのマイナーリーグ化していると言わざるを得ない現状ではないでしょうか?
良く比較されるのが野球のメジャーリーグで、国の経済規模が違うので年俸などに差ができるのは仕方がないという論調が目につきます。しかし、イギリスやフランスと比べた場合、経済規模は日本のほうが上です。経済規模をすべての言い訳にしてはいけないと思います。やり方によっては経済規模の小さい国でも、プロスポーツは育てることができるのです。JLPGAの現状に甘んじない姿勢は評価されるべきです。
JLPGAの目指すべきもの
今回の全米女子オープンの結果を見れば、今の日本の女子ゴルフツアーは選手は1流で、賞金は2流もしくは3流といったところです。1流の選手が1流の賞金を求めて移動するのは当然のことです。プロなんですから!
今の賞金額しか捻出できないスポンサーが大きな顔をしているのは、やはり違和感があります。JLPGAが価値の創出を目指して変革するのは当然のことでしょう。今までの慣例に拘っていては成長できません。それは野球界やサッカー界を見ても明らかでしょう。いままでの規制観念や既得権と戦いながら、新しいものを目指していくのは上に立つものとして当然の姿勢です。しかしその姿勢を、恩をわすれたとかいって非難するのは日本の社会の悪い癖だと思います。スポーツをビジネスとして育てていくためには、既得権益者と戦うことが必ず必要になります。
NPBとJリーグの不作為
改革を怠っている野球界やサッカー界は、成長戦略が全く描けていませんし、そもそも改革が各チーム任せで、NPBやJリーグに改革の姿勢が見られないのが残念でなりません。プロ野球のOBもそういったところに全く視線がいかないので、人材を外部から入れなければなりませんが、楽天やソフトバンクも本業との絡みで改革勢力にはなりえませんでした。いい加減に親会社のしがらみから離れて、スポンサー集めから努力していく気持ちが出てこないのかと、不思議でなりません。
マスメディアが既得権益の代表
既得権益の代表格がテレビであり新聞社です。日本の大手テレビ局は殆が新聞社と深いつながりがあり、公平な報道ができない可能性があることが指摘されています。日本のプロ野球には新聞社を親会社としている球団があり、改革に前向きとは言えません。プロ野球をスポーツビジネスとして独立させるのではなく、いつまでも傘下においておきたいというのが本音かもしれません。本来であればプロ野球球団は、メディアを超える可能性のあるビジネスです。その成長性の芽を潰しているのが、マスメディアという見方もできます。そう考えると、既得権益者と戦う姿勢を見せているJLPGAを何らかの形で批判したい勢力が、メディア側にいる可能性は否定できないと思います。
既得権益者が改革と発展を妨げるのは、なにもスポーツの世界だけではありません。政治や経済の世界でも日本では決して珍しくないことだと思います。