渋野日向子選手のスイング改造とコーチの変更は失敗か?

渋野日向子選手は2019年に全英女子オープンを優勝した、日本ゴルフ界のスターです。デビューから順調に実績を重ねてきましたが、2021年の三菱電機レディースゴルフトーナメントを優勝して以来勝利から遠ざかっています。まだ25歳で海外も含めて7勝を挙げており、十分な活躍をしていますが、全英オープンの優勝が鮮烈すぎて、ファンの期待が大きすぎるところがあるでしょう。

度重なるコーチの変更

渋野選手は全英オープンの時に、キャディをしていた青木コーチに長らく師事していました。しかし、スイング改造を目指す中で青木コーチから離れました。これについては、ゴルファーは常に上のレベルを目指すことが当然で、これはプロもアマチュアも関係ありません。飛距離について1ヤードでも飛ばしたくなるのは誰でも理解できることで、方向性についても目指すところは限界がないと言っても言い過ぎではありません。また、球筋やスピン量など、更にはライや芝生への対応力などを上げるために常により良いものを目指すのは、プロならば当然でしょう。アマチュアでも気持ちは同じだと思います。

そんな中で渋野選手が青木コーチから離れたのは間違いではないと思います。コーチにもいろいろな考え方があるので、若いうちにいろいろな情報をいれることは絶対に間違いではなかったと思います。

フラットなスイングが特徴

渋野選手はハンドダウンが強く、フラットなスイングだと思います。これは日本の比較的立っている芝などでは有効だと思いますが、北海道や海外の芝などでは難しくなります。また左足下がりやつま先下がりなどのライからも、ミートすることが難しいスイングだと思います。最近のアイアンは優しくなったと言えども、セッティングが難しくなればなるほど、フラットなスイングは対応力が下がると言ってもいいでしょう。対照的に畑岡奈紗選手は身長は恵まれていませんが、見事な縦振りのスイングでアイアンの名手と言ってもいいでしょう。

渋野選手はドライバーが左に引っかかる事に悩んで石川遼選手に助言を求めて、トップの位置を更に低くしてフラットなスイングに改造しました。

この頃のスイングは素人目にも極端なフラットなスイングに見え、アイアンは更に対応力をなくしたように見えました。渋野選手が日によってスコアの波が大きいのは、コンタクトの精度を要求されるこのフラットなスイングに原因の一つがあったのではないかと思います。

その後渋野選手は以前のような少し高い位置にトップの位置を戻していますが、これは正しい判断なのではないでしょうか。

ライと芝生の対応力が高いアイアンショットは、海外では特に重要です。米国のツアーに参加している渋野選手の方向性としては、間違っていないと思います。

同じスイングを続けられない理由

これは誰でも経験することですが、人間は加齢によって体の柔軟性が変わってきます。これはどんなにストレッチを行っても避けられるものではありません。ゴルフのスイングは高い再現性を求められ、関節の可動域は毎日変わってくるので、できるだけ再現性の高いスイングを現状に合わせて求めていく必要があります。さらにプロゴルファーは、トレーニングによって肉体改造を行っている人がほとんどです。筋肉量が変われば同じスイングをすることはできなくなります。スイング改造をしなくても、少しずつスイングは変わってしまうのです。

更にゴルファーには怪我がつきものです。腰、首、手首、肘など、ゴルファーならばアマチュアでも痛みを経験したことがあると思います。怪我で練習ができなくなったり、試合を棄権してしまったりすることも珍しくありません。

怪我をしてしまうということは、スイングによって体の何処かに負担がかかりすぎていることになり、大きな故障を防ぐためにスイングの改造は必要になります。ここについてはアマチュアゴルファーも経験しているでしょう。高齢のゴルファーは若々しいスイングができなくなり、工夫を重ねたスイングでラウンドしています。

男子プロのシニア達を見ても、同じ様な光景が見えてきます。

理想のスイングとはかけ離れたスイングでも、それなりに戦っているのは我々アマチュアにも大変参考になり、励みにもなります。

必要以上に追いかけないで欲しいマスメディア

渋野選手は日本で試合に参加すると、優勝争いから脱落していてもプレイが放映されます。調子の悪いときにはたとえプロでも苦しいプレーが続き、苦悶の表情を浮かべることが少なくありません。優勝争いの中での苦悶の表情であれば良いのですが、叩きのめされている時を電波に乗せるのはどうなんでしょうか?視聴率が稼げればいいというような、下品な感覚で選手を放映することはできれば避けて欲しいと思います。それがたとえ視聴者やスポンサーが求めるものであったとしても、考え直してもらいたいと思います。それが本当の意味での選手へのリスペクトだと思います。

リスペクトと軽々しく言うメディアほど、そういった傾向があるのではと疑ってしまいます。

新しいライジングスターを見つけるのも、マスメディアの仕事ではないでしょうか?

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