2月1日はプロ野球のキャンプインで、各チームが始動ということになっています。この時期に話題になるのは、新人選手と新外国人などの新戦力ということになります。ジャイアンツでは新外国人選手のキャベッジ選手、ライデル・マルティネス投手、田中将大投手などが話題の中心になっていますが、私は阿部監督を含む組織が更にうまく回り始めていると感じています。
故障者の少ないジャイアンツ
阿部監督になってから非常に目立つのが、故障者の少ないことです。何故これだけ故障者が少ないのか考えてみたいと思います。
投手の三連投をできるだけ避ける
これは原前監督の最終年辺りから、実践されていると記憶しています。三連投回避は他球団で先に導入されていた事ですが、遅ればせながらジャイアンツでも新しい感覚を持った若いコーチ陣の意見が通ったというところでしょうか?マシンガン継投と揶揄されていたときには、中川皓太投手や大勢投手などのリリーフ投手が勤続疲労から来たと思われる故障で離脱することが散見されましたが、昨年あたりからリリーフ投手の管理が更に徹底されて、故障による離脱や、疲労からくるパフォーマンスのダウンが少なくなってきたと思います。大勢投手も途中の離脱はありましたが、昨シーズン後半のパフォーマンスは圧巻でした。船迫大雅投手は2年目で174cmという小柄な投手ですが、全試合ベンチ入りを果たし、新人王に輝きました。昨シーズン途中に杉内投手コーチがインタビューの中で、体力的に厳しいはずの船迫投手を大事に使いたいとコメントしている報道もあり、首脳陣の管理が行き届いていると感じました。
故障気味の投手は獲得しない
ジャイアンツの一時期のドラフトは投手が故障続きで、全滅の年もあったくらいで、スカウトの調査能力が疑われることがありました。実際過去数年の実績は酷いものでした。しかし水野スカウト部長の体制になってからは、入団後の故障者が極端に減りました。2023年のドラフトでは中央大学の西舘勇陽投手を獲得しましたが、他チームのドラフト1位はほとんどの投手が故障を抱えており、入団直後のトミー・ジョン手術を受けている投手も珍しくありません。このあたりもいち早く組織的に改善され、調査能力が上がっていると言って良いのではないでしょうか。
育成環境も大幅改善
ジャイアンツのファームは今年新球場が完成し、そのハードは年々グレードアップしています。一時はソフトバンクに大きな差をつけられていましたが、東京都という立地を考えれば、日本一と言って良い施設の充実ぶりだと思います。ハードの運用面ではメジャーにはまだ敵わないと思いますが、ハードを入れる事が第1歩であり、日本人に合わせた運用ができるはずと信じています。
更に高卒投手の育成も数年前からプログラム化されたようで、入団して数年以内に手術を経験する投手も減ってきました。このあたりには桑田二軍監督とスカウト部門の努力が、実っていると推察します。
久保投手コーチの存在
魔改造でお馴染みの久保コーチですが、昨年は見事に菅野智之投手を復活させました。35歳でのメジャー挑戦を決断できたのも、久保コーチとのフォーム改造で確かな手応えがあり、メジャーで試したくなるほどのパフォーマンスを維持できると考えたからと言っていいでしょう。良いコーチがいてもそれを体現できなくては意味がないのですが、一流の菅野投手が体現することによって、あらためて久保コーチの価値が再認識されたと言っていいでしょう。
田中将大投手の復活
オフの一番の話題は田中将大投手の移籍ですが、そこには久保投手コーチの存在も決断の要因であったと思います。キャンプインと同時に連日の個人指導は、まさにつきっきりと言っても過言ではない様で、この始動は予め決められていたと考えられます。
菅野投手同様に一流でありながらパフォーマンスが落ちていた田中投手が、同じ右本格派でスライダーとフォークを操る菅野投手の復活を見て、指導を受けたいと考えるのは自然な流れと言っていいでしょう。
田中投手は36歳ですが、完全復活すればもう一度メジャーの舞台に戻れるかもしれません。現実的にはジャイアンツで骨を埋めるつもりで来てくれてると思うので、メジャー復帰はないとは思いますが、それほどの復活劇を予感させるほどのメンツが揃っていると考えていいでしょう。
坂本勇人選手との物語も相まって、今年のジャイアンツの話題の中心になるかもしれないのは予感させるほどの田中投手の充実ぶりだと思います。
坂本勇人選手の復活
今年はサード2年目で守備の負担が本格的に減ることになり、打撃に専念できる年となります。体づくりも進んでいるでしょうから、サードとして求められるバッティングが今年こそ見られると思います。田中投手と坂本選手のシナジー効果が期待され、坂本選手も大復活して、日本一にでもなれば、銀座のパレードはとんでもなく盛り上がるのではと予想してしまいます。
今はそんな気分になれるほど、ジャイアンツの組織は順調に機能していると思います。