ショートというポジションの難しさ 巨人坂本勇人選手の寿命を考える

2023年シーズン開幕直前ですが、オープン戦不調の坂本勇人選手のコンバートや、衰えが話題になっています。オープン戦が不調であることと、昨シーズンに怪我が続いたことなどが、年齢を勘案した時に、限界説につながっているのは明らかです。

ベテランの域に差し掛かっているとはいえ、まだ35歳を今年迎える選手に限界説が出るのは、ショートという特殊なポジションが原因であることは間違いがありません。

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ショートというポジションの難しさ

ショートは投手、捕手とならぶ専門性の高いポジションと言われています。守備において肩の強さと俊敏性が絶対条件とされる事が、ショートというポジションの難しさのようです。実際に、少年野球で運動能力の高い選手は、右投げであればまずショートができないか試されます。チーム作りをする上で、三遊間に飛んだゴロが捌けなかったり、捕球できても1塁まで投げることができなければ、ゲームにならないからです。

逆に言えば少年野球では、一塁まで投げることができる選手を探すことから始まると言っても良いのではないでしょうか。私の所属していたチームでもショートを任されていた選手は、学年でも指折りの運動神経抜群の生徒でした。短距離走がそれほど速くなくても、俊敏で肩が強ければ、真っ先にポジションが決まります。

プロ野球まで進めるような人たちは、小学生の頃は当然ずば抜けたセンスの持ち主だったであろうと思われるので、ショートとピッチャーの経験者が多いはずです。

ただ、俊敏性と肩の強さは年齢とともに失われていきます。最近の選手は発達したトレーニングのおかげで、衰えは抑えられているようですが、それでも確実に進行します。

ショートからサードへコンバートされた名手たち

晩年になってショートからサードへコンバートされた名選手は、数多くいます。最近でも鳥谷敬選手はサードへコンバートされました。宮本慎也選手も代表例と言っていいでしょう。坂本勇人選手がショートでの通算記録を次々に塗り替えていますが、逆に言えば限界が近づいてきていることの裏返しと言えると思います。

若い選手が多いショートストップ

各球団のショートを見てみると、年齢が非常に若いことに気が付きます。ロッテのエチュバリアは別として、大和は65試合に先発がとどまっていますので、丁度世代交代の最中と言ってもいいでしょう。今年オフには35歳になる坂本選手は、突出して年齢が高い事がわかります。そしてこのメンバーの中で坂本選手は、打撃成績は良い方で、求められている長打力なども含めて、別格の期待値があると言っていいでしょう。

チーム氏名年齢
ヤクルト長岡秀樹21
阪神中野拓夢26
DeNA大和35
広島小園海斗22
中日京田陽太26
オリックス紅林弘太郎21
ロッテエチェバリア33
楽天小深田大翔27
ソフトバンク今宮健太31
日本ハム上川畑大悟26

逆に言えば、ショートは安定した守備力が求められるポジションであるとともに、若手を登用しやすいポジションであるともいえます。

体がまだできあがっていない若手は、長打力には欠けるものの、俊敏性に優れているので、抜擢しやすいということになります。

長打力を求められるジャイアンツのショート

ジャイアンツのショートは二岡智宏、坂本勇人と希代の大型ショートが続いたこともあり、長打力が求められがちです。しかし、本来はショートはそういったポジションではないというのが、常識と考えて良いのではないでしょうか。かつての坂本選手がそうだったように、体の出来上がっていない若手が長打力を含む打撃力を求められずに、ポジションを獲得するケースがチームの世代交代を促進するはずで、今のジャイアンツは少し常識から外れた位置にあるといえるでしょう。

坂本勇人選手の苦悩

坂本選手がコンバートを受け入れるということは、おそらくサード辺りになります。そうなると岡本和真選手はファーストに移動することになり、中田翔選手はポジションを失いかねません。チームのキャプテンを長らく務めていた坂本選手が、プロ野球選手の性とはいえ、あまりやりたくないコンバートであることは間違いないでしょう。

打力を活かして体を大きくし、晩年を伸ばすことは誰でも考えられることですが、できるだけやりたくないという気持ちが、坂本選手には強くあるのではと推測します。

昨年のように原監督からコンバートについて打診されれば、周囲への配慮も影響して”まだショートで”と言うのが坂本選手ではないでしょうか。

原監督の決断

坂本選手がチームメイトを思うあまり、コンバートを受け入れられないのであれば、原監督の出番なのではないでしょうか。チームのためということを前面に出して、坂本選手のコンバートを命じなければ、選手からは言い出せないのが当然のことだと思います。非情采配などと言われることが多い原監督ですが、実は極めて選手思いの監督です。この様な指示を原監督が明確に出すことができるかが、巨人の世代交代を進めるためには重要です。

門脇誠選手、中山礼都選手が台頭してきた中で、合理的な判断が原監督にできるかどうか。その後の選手の気持ちのケアをコーチ陣ができるのかどうかが、問われるシーズンだと思います。

心を鬼にして原辰徳選手をサードに起用して中畑清さんにコンバートをしたのも、原辰徳選手にレフトへのコンバートを命じたのも、原監督の尊敬する藤田元司さんです。

原監督に名将と言われる器があるのであれば、ある程度の結果が出た時に迷わず英断をしていただきたいと思います。

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