守りの野球を掲げてスタートして好調を続けていた巨人ですが、昨年勝てなかった今年初の甲子園で、今シーズンも勝てませんでした。”紙一重”で惜しい勝負だったというコメントが出ていますが、それは去年も聞いたような気がします。
1点が取れないジャイアンツ打撃陣
ホームランでしか点が取れないと言われていた打撃陣ですが、今年も本質的には変わっていないようです。折角バントなどで手堅くランナーを得点圏に進めても後一本が出ません。得点圏でしぶといバッティングや、ヒットを打てなくても打点を上げるバッティングなどができる選手はいるのですが、好機に廻ってくるのはそういったしぶとい打撃ができない選手ばかりです。4番の岡本和真選手を除いては、全員が点を取りに行くバッティングをできなければいけないと思うのですが、特定の選手がそういった打撃をできないので、打線が其処で切れてしまいます。相手バッテリーからすれば、そういったバッターで勝負をすれば良く、与し易い打線となります。逆に言えばそういったバッターが打線に一人二人いれば、失点をかなりの確率で防ぐことができます。
セ・リーグの場合は投手がいますので、後二人そういったバッターがいれば長打以外は失点をかなりの確率で防ぐことができるでしょう。
得点圏打率の低さ
ジャイアンツ打線で得点圏の打率が.250を超えているのは、4月18日時点で岡本和真選手、門脇誠選手、萩尾匡也選手の3人だけです。打点が6点以上あるのは岡本選手と萩尾選手だけという状況で、5番を張っていた坂本勇人選手は得点圏打率.067で5打点です。これだけ打てない上に、ヒット以外の外野フライや内野ゴロでチームに貢献できない選手が打線にいれば相手バッテリーは、ホームランとフォアボールだけに気をつければ良いという楽な打線になってしまいます。昨年と違い特定の選手は走力があり、少ないヒットで帰ってこられる状況もあるのですが、簡単に三振や浅いフライを打ち上げてしまえば、脚を活かして進むこともできません。
吉川尚輝選手と大城卓三捕手
タイガースとの試合では大城捕手が出場しなかったので、楽なバッターが3人はいたと思います。投手、捕手、それに吉川尚輝選手が続く下位打線は非常に弱いものでした。一発があるわけでもなく、走力も並で、ケースバッティングができず打つだけなのに、2割ギリギリや1割台の選手が3人続けば、相手チームは楽でしょう。
終盤リリーフ投手を送るときも、ジャイアンツの下位打線には、力の少し劣る投手をぶつけることができます。また岡本選手が出塁してバントで送っても、チャンスが下位打線に廻ってしまうので、相手バッテリーは楽な勝負を5番以下からできることになります。
大城捕手を使わなかった事に問題があるとは思いませんが、吉川選手が不調でやっと2割を超える打率であり、しかもケースバッティングなどができないとなると、得点力は大幅に落ちてしまいます。打率2割でもしぶといバッティングやランナーを進めるバッティングができれば良いのですが、ただ打つだけでは打率2割はかなり楽なバッターとなってしまいます。
吉川選手は8番で楽に打たせてもらっているのですが、それが逆に楽にただ打つだけのバッターになってしまっているのではないでしょうか。守備の貢献が大きいことは十分にわかりますが、もう少しなんとかする姿勢を見せないことには、他の選手を使わざるを得なくなってしまうかもしれません。（打てる捕手を使う場合は話が別ですが・・・）
西舘勇陽投手は先発向き？
勝ちパターンの投手がまだ決まっていません。西舘勇陽投手は本当に良くやってくれていますが、圧倒的な球威がある投手ではありません。今は勢いでなんとかねじ伏せていますが、それこそ紙一重の投球が続いていると思います。西館投手はコントロールも平均以上で、変化球も多彩です。遅いボールも持っているので、短いイニングよりも先発で持ち味を発揮できるのではないかと思うのですが、チーム事情が許してくれません。バルドナード投手は安定していますが、肝心の大勢投手はクローザーが難しくなってきました。サイドハンド気味の投手なので、左バッター対策にシンカーがあれば良いのですが、今はゴロで打ち取れる球がなく、球数が嵩んでしまっています。打者を振り切れるほどのストレートの球威がある時は良いのですが、今のままでは1年間クローザーを務めるのは難しいかもしれません。故障がちで連投があまり効かないのも、大きな問題だと思います。
勝ちパターンの投手で行けそうなのは、バルドナード投手と船迫投手なのですが、クローザーとなると荷が重いでしょう。
そうなるともうクローザーができる投手は一人しかジャイアンツにはいないと思うのですが、阿部監督の頭にはその選択肢はなくなってしまったのでしょうか。
チームが優勝するためには、絶対的なクローザーが必要であるのは間違いないと思います。
