日本はプロ野球もゴルフ界も空洞化 人気が上がらない理由 放映権

日本のプロ野球のマイナー化が危ぶまれている中で、このところ上げ潮だった女子ゴルフ界も、空洞化が見えてきました。このままではかつてのようにスポンサーがつかない状況も考えられます。日本の女子プロゴルフには下部ツアーとしてステップ・アップ・ツアーがありますが、JLPGA自体が”ステップ・アップ・ツアー”になりかねない状況です。

ゴルフも日米で賞金が桁違い

2023年の全米女子オープンは、1位の賞金が200万ドルでした。1$=150円とすると3億円です。2023年の日本女子オープンの1位の賞金は3000万円ですので、丁度10分の一です。米国ツアーに挑戦する女子プロ選手は”小さいときからの夢”と渡米の理由をコメントしますが、これだけの金額差は選手にとって大きな魅力であることは間違いないでしょう。最近の日本女子プロは技術も上がり、実力のある女子プロは米国ツアーでも安定して上位で好成績を残しています。

華のある選手は渡米

ゴルフは面白いスポーツで、華のある選手が活躍できるとは限りません。むしろ浮き沈みのない、悪く言えばドラマ性のない安定したゴルファーが好成績を収めます。日本では飛ばし屋に有利なコースは少なく、どちらかというと安定したゴルフをする選手が有利だと思います。しかし、海外に出ると飛距離がある程度無いと、戦えない状況になります。ハードなセッティングになれば、飛距離がないと難しいコースは珍しくありません。そうなると飛距離が出る選手は自分の能力を活かすために、渡米する傾向になります。逆に飛距離に自信がない選手は日本に残ることが多くなります。渡米するのにはある程度若い時期からが良いはずですので、若い飛距離のある選手が流出してしまう流れが続くと思われます。

ゴルフはパットイズマネー、ドライバーはショウと言われるように、飛距離はゴルフの華です。飛距離のでる華のある選手が海外に多く出てしまうのは、JLPGAにとっても、スポンサーにとっても頭の痛い問題でしょう。

放映の問題

JLPGAは放映権に関して改革を進めてきています。放映権の問題は女子ゴルフだけではなく、日本のプロスポーツ界にとって共通の問題と言っていいでしょう。特に日本のプロ野球改革が進まないのも、放映権に関する既得権と、地上波のTV局の問題が一つの要因となっていると思います。

ゴルフの地上波の中継は、最終日の放送が基本的には録画です。雨天の場合やプレーオフに対する対応が柔軟にできないため、生放送ができない状況になってしまっています。スポーツの放送は生中継であるからこその魅力があり、そこが理解できていながらスポンサーに気を使うあまりコンテンツ自体の魅力が落ちてしまっているのが現状でしょう。

それでもJLPGAは問題に取り組んでいる姿勢は見えています。問題はこの問題に共に取り組もうという団体が現れないところではないでしょうか。

スポーツコンテンツの価値を高める

日本の多くの団体で、こういった努力が全く見られないのは残念なところです。選手をかり出してのファンサービスなどは積極的ですが、チームや親会社、スポーツ団体の努力が充分に見えないところが残念です。

プロ野球も選手やOBによる野球教室やファンイベントなどが良く取り上げられますが、それは本当に一部の人へのサービス、熱心なファンへのサービスで、スポーツをエンターテイメントのコンテンツとして成長させようという気が、メディアやリーグに見えないところが残念です。

DH制の問題や放映権の問題など、大切な案件が棚上げになっているのは、経済界や政治の世界と同じ構造に見えます。国民や社会には努力を求めるのに、政府や官僚、経営陣が血を流す努力をせずに現状維持をできるだけ試みる姿勢は、今の日本の行き詰まりを導いたと思います。

いつも目線は近いところだけしか見ることができず、正しい方向性を考える力がないので、根本的な解決ができない人材は、政府や経営など、人を動かす仕事はできないでしょう。国会議員に立候補する人が、”私にできる小さなことからコツコツとやっていく。”などと発言するのを見ると、まずは町の世話役から始めてくださいと言いたくなります。

正しい考え方や理想が描けず、お花畑を目指すのであれば、人の上に立つ資格に疑問が残ります。ドリーマーではなくリアリストに人の上に立ってもらいたいと思います。

ドリーマーの中には本当に寝てしまっている人や、狸寝入りをしている人も少なくないと思います。

ドジャースが暗示する日本のプロスポーツの行方

日米の差がありありとして、日本のプロスポーツが地盤沈下しているのは間違いありません。選手とファンは一流、チームは二流、メディアと親会社が三流という流れは、これから強くなるかもしれません。

実際日本のプロ野球ファンは、ドジャースの中継をよく見るようになり、目が肥えていきます。日本のプロ野球を見て、投手の迫力や緻密さ、野手のダイナミックなプレーがメジャーに比べて劣っていることに気がついていくでしょう。

逆転するために、もしくはこれ以上差が開かないようにするための努力を、今はプロ野球界がしているとは思えません。

日本のメディアは魅力が足りなくなってきているNPBから、メジャーにシフトしている事実を関係者はどう考えているのでしょうか?

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