終わらない巨人の正捕手争い 若手の台頭はあるのか 寂しい現状

昨年Bクラスに沈んだジャイアンツですが、常勝軍団から脱落した原因の一つに正捕手が決まらないという事が挙げられるかもしれません。最近は複数の捕手を並行して使う球団が増えてきましたが、どちらかというと決め手にかける捕手が多いというのが理由で、積極的に複数捕手制をとっているようには見えません。ジャイアンツも大城卓三捕手が115試合に出場しましたが、不動の正捕手という評価は得ていないようです。

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WBCに選出された大城卓三捕手

キャッチャーはもともとファンや首脳陣からの批判が、集まりがちなポジションです。しかも人気球団である巨人や阪神はそういった批判が、特に多くなりがちです。阪神の梅野隆太郎捕手も十分に好捕手だと思うのですが、ファンや首脳陣の眼は厳しかったようです。大城捕手も攻撃型の捕手としては、球界で一二を争う捕手だと思いますが、正捕手としての評価を得ているようには見えません。西武からオリックスにFA移籍した森友哉捕手を獲得に動いたという報道も有りましたが、それが現状の大城捕手の世間での評価なのではないでしょうか。実際は首脳陣の評価が、森捕手と大きな差がなかったというところなのではと推測します。

ただ、選手間での評価が正捕手としてのものではないと思える報道もあり、名捕手と呼ばれる域には達していないことが伺われます。

目配り、気配りの足りない大城捕手

菅野智之投手から普段からの目配り、気配りを学んだとコメントしている大城捕手ですが、私は菅野投手から目配り、気配りが足りないと指摘されたのではないかと推測します。

もともと投手は自分本位で目配り、気配りの必要性が大きなポジションではないと思います。

投手に比べてセンターラインと言われる、キャッチャー、セカンド、ショートはゲーム中の目配り、気配りが要求されるポジションです。特に捕手は自分以外の8人を常に視界に入れているので、目配りは欠かせないと言われています。

エースである菅野投手よりも目配り、気配りができないとなれば、菅野投手から見れば、物足りないと映っても仕方がないと思います。

同様にショートやセカンドとの連携や、7人のポジショニングなどに的確な指示を出さなければならないキャッチャーが、守りの要として指示を出すためには、視野の広さが必要です。

他の8人が見えていない角度からの情報で、チーム全体をリードしていく必要がキャッチャーには有り、そのリードによってチーム内や首脳陣の信頼を得ていくのではないでしょうか。

配球とリード

しばしば批判にさらされる配球ですが、投手のコントロールや打者の読みなど不確実性の部分が多く、結果論で論議されがちです。ある程度投手もデータには目を通しているので、配球に関してキャッチャーに責任を全面的に被せるのは問題があると思います。

しかし、実際のゲーム内で細かい情報を察知して、配球や守備位置の指示に活かすことはキャッチャーのリードにいちばん大切な部分ではないでしょうか。

菅野智之投手と坂本勇人選手

打者から一番近いのはキャッチャーであり、間近で見る情報を活かしたリードを菅野投手や坂本勇人選手などは特に欲しがっていると思います。何故ならば、エースである菅野投手や名遊撃手である坂本選手は、そういった細かい情報を活かすことが可能で、他のチームメイトにも共有して指示を出せる選手だと思うからです。キャッチャーからの細かい情報があれば、チームの総合力が上がり、チームとしても成熟していきます。菅野投手が自主トレ中にそれを望んだのは、不動の正捕手として大城捕手が足りないものが、そこにあるからだと考えているからでしょう。捕手としての成績や打撃力は、数字的にはリーグを代表するものなのに、未だに評価が上がりきらないのは、菅野投手が一番歯がゆく思っているのかもしれません。東海大の後輩である大城捕手を半ば強引に自主トレに連れて行ったのは、チームと大城捕手のためであることは、間違いないでしょう。

攻撃型の捕手は若手の育成に必要

投手が打席に立つセ・リーグは、捕手の打撃が重要です。特に若手の野手を抜擢する時に、打てる捕手は重要な位置を占めます。坂本勇人選手をショートで2年目に起用する際に、阿部慎之助捕手が存在したことはとても大きかったと思います。極論すれば、7,8,9番が打てなければ、9回のうち6回で攻撃しなければなりません。終盤2イニングは勝ちパターンの投手が出てくるので、主導権を取るためには序盤のイニングだけが得点の好機になってしまいます。

チーム編成上でも打撃に秀でた捕手は貴重な存在であり、逆に言えば守備型の捕手がレギュラーを取り切れない状況になるのは、セ・リーグでは致し方ないと言えるでしょう。

小林誠司捕手の存在

守備型の捕手は貴重ではありますが、更なるチームの強化や、若手野手の台頭を目指す場合に、首脳陣が物足りなくなるのは必定だと思います。小林捕手は正捕手として、十分な守備力を有しています。しかし首脳陣が優勝とチームの成長を促すために、常に上のレベルの捕手を目指す事は必要です。特に最近の野球は投手の分業化が進んでおり、キャッチャーの配球等は軽視される傾向にあります。大久保コーチが未だ小林捕手の打撃の向上に期待をかけているのは、小林捕手の守備力が捨てがたいということの現れでしょう。

若手捕手の台頭はあるのか

第3捕手としては岸田行倫捕手が挙げられますが、昨年は伸び悩みました。しかし、今年のキャンプメンバーを見てみると、注目株の捕手は見当たりません。ドラフトでの指名もなく、あまり話題にも登らなくなりました。今年最初の話題が大城捕手の気配りというのは、若手の台頭を期待するファンとしては寂しい気がします。山瀬慎之介捕手はこれまで期待されていましたが、今年がある意味正念場かもしれません。

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