坂本勇人選手が開幕から19打数ノーヒットが続いています。
ここまでNPB史上最高のショートとして実績を積み上げてきた坂本選手ですが、年齢による衰えは必ずきます。
昨年既に、度重なる故障で離脱を余儀なくされていたにも関わらず、坂本選手はコンバートを拒み、ショートとして2023年の開幕を迎えました。
レジェンド級の坂本選手ですので、あるいは劇的な復活があるかもしれませんが、それが後何年も続くとは到底思えません。
ショートとしての限界
ショートは俊敏性が要求されるポジションで、そのため坂本選手は今以上に体を大きくすることができないと、以前から発言しています。
今でも若手に負けない守備力は、むやみにパワーアップすることを目指さずに、コンディションを整えていたからだと思います。
ただ多くのレジェンド級の選手たちは、少しずつ体を大きくしていくことで晩年になるに従ってパワーアップを図り、守備における俊敏性を落としながら、長打力を上げていく事が多かったのではないでしょうか。
通算762本の本塁打を記録したバリー・ボンズ選手も、薬物疑惑はあったものの、徐々に体を大きくして長打力を磨いていきました。その反面で514個を記録した盗塁は、5年目の52個が最高で、晩年はほとんど盗塁できなくなりました。
長打力と俊敏性を高い水準で維持することは、年齢とともに非常に難しくなるので、今年35歳になる坂本選手に両方を求めることは、無理難題と言っても良いのではないでしょうか。
坂本選手に長打力を取り戻すように首脳陣が求めたようですが、酷な要求であると思います。
長打力を取り戻すためには
既に若くない坂本選手が長打力を取り戻すためには、筋肉量を増やして体重を利用した打撃をしなければならないと思います。そのためには俊敏性が失われ、守備力が犠牲にされることは間違いないことだと思います。
原監督をはじめとする首脳陣には当然わかっていることであり、そのために一度はコンバートを勧めたようです。
コンバートを受け入れたからと言って、すぐに体ができるはずはありませんか。少なくともオフの間に体を作る努力を始めないと、シーズン中はゲームも有り、体を作ることは困難です。坂本選手の場合は体を大きくする方向で努力をしてきていないでしょうから、効果が出始めるにも時間がかかるはずです。
もしかしたらボールが怖いのか
今シーズン極端な外角攻めにあっている坂本選手は、全く打ち返すことができません。
ホームベースから大きく離れて構える坂本選手は、非常にデッドボールが少ない選手です。
2007 | 0 |
2008 | 2 |
2009 | 4 |
2010 | 3 |
2011 | 6 |
2012 | 6 |
2013 | 4 |
2014 | 2 |
2015 | 0 |
2016 | 0 |
2017 | 3 |
2018 | 0 |
2019 | 2 |
2020 | 0 |
2021 | 1 |
2022 | 1 |
34 |
年度別に見ると、名ショートの評価を得た2015年あたりから、相手投手の攻めが遠慮がちになったのかもしれません。通算のデッドボールも34個ととても少なく、同じ右打者の宮本慎也さんや井端弘和さんと比べても、少ないことがわかります。
打席数 | 死球 | 死球率 | |
宮本慎也 | 8486 | 92 | 1.08% |
井端弘和 | 7836 | 59 | 0.75% |
坂本勇人 | 8572 | 34 | 0.40% |
天敵と言われている阪神・青柳投手を打てないのもこのあたりに原因があるのかもしれません。
フォアボール0はかなり拙い数字
ノーヒットが続く坂本選手ですが、実はまだフォアボールが一つもなく、出塁率.000という状況です。これは相手チームの投手から全く怖がられていないという状況とも取れます。
徹底的な外角攻めで討ち取られているのも、気にかかるところです。
もしかしたら相手チームには、はっきりと坂本選手のウイークポイントが把握されていて、それが徹底されている限り、坂本選手の上がり目はないかもしれないのです。
原監督ではなく長嶋終身名誉監督
オコエ瑠偉選手に最初のフリーバッティングでベースに近づくようにアドバイスした原監督が、今の坂本選手の状況を把握していないはずがありません。
原監督はベースに近づいて、外角も真ん中にして引っ張る打撃でした。ボールを怖がらない打法はイメージとは違うかもしれませんが、坂本選手とは対照的な打法でした。
打席数 | 死球 | 死球率 | |
原辰徳 | 6844 | 50 | 0.73% |
坂本選手は原監督よりも実績が上のため、「自分で這い上がるしかない。」とコメントしているのかもしれません。大久保打撃コーチもアドバイスできる関係性には、まだないと推測されます。実績が違いすぎますので・・・
もう坂本選手にアドバイスできるのは、長嶋終身名誉監督監督しかないのかもしれません。
そのためには、二軍に落として始動を仰ぐという、復活パターンしかないのではないでしょうか。
日焼けした坂本選手が、黙って復活するさまを見たいと思うのは、ファンとしてはどうなんだろうかと自問してしまいます。
しかし、今の他球団の攻め方を見ていると、完全に見下されている感じがしてならないのです。。