巨人・岡本和真選手が打撃好調です。
打率.310でホームランはリーグトップタイの9本と、久しぶりに打率と長打が高いレベルで維持できています。シーズン打率3割は、2018年以来達成していないので、約5年ぶりの成績と考えていいと思います。
ここまでの岡本選手を取り巻く環境を考えながら、好調の秘密をデータで探ってみたいと思います。
「認めて、褒めて、励まし、勇気づける」ポルテベースボールスクール侍ジャパンでの成長
侍ジャパンで高いレベルの選手達と、シーズン前の大切な時期を過ごしたことで、岡本選手も色々と影響を受けたと思います。特に大谷翔平選手の野球にかける時間と生活態度は、レベル違いであり、大きな刺激になったと予想できます。ジャイアンツの選手が練習に不熱心という事では無いと思いますが、大谷選手の野球にかける情熱は桁違いであることは間違い有りません。あれだけの時間を野球にかけることの正当性を見たところで、岡本選手が野球に対する考え方が変わった可能性は大きいのではと推察されます。
大谷選手は食事にも気を使い、「できるだけクリーンなものだけを体に入れる。」とコメントしています。ダルビッシュ選手は大谷選手のやっていることを常に見て、参考にしていたようです。ダルビッシュ選手は大谷選手とその他の侍メンバーの意識のレベルの違いを明確に指摘しており、岡本選手が影響を受けていたことは間違いないでしょう。
以前、岡本選手は喫煙をやめるように原監督に指導されていたようですから、大谷選手の「クリーンなものだけを取り入れる。」という考え方とはかなり距離があったはずです。また、ジャイアンツでは坂本勇人選手も昨年まで喫煙していたことが確認されており、チーム内での意識が大谷選手の考え方とは遠かったと言えるでしょう。
同じく侍メンバーであった大城卓三捕手が、今年覚醒した感があることも、偶然の一致とは考えられません。
もしそのあたりの考え方がジャイアンツのチーム全体に浸透するのであれば、若手の成長は大きく加速するのではないでしょうか。喫煙は体の成長や回復に害があることは明白であり、そのあたりが制御できていないジャイアンツは、寧ろプロ野球界でも周回遅れだったのではと推測できます。
原監督ができなかった選手の意識付けを、侍ジャパンでの経験がさせてくれるという、原監督の思惑が当たったのかもしれません。
三塁守備が負担になっていたのか
中田翔選手が肉離れによって離脱して、岡本選手がファーストに移動してから、岡本選手はホームランを量産しています。サードの時の打撃成績と較べてみると、それが明白になります。丁度打撃が上向いてきたときと、ファーストへの移動が重なったと見る考え方もできますが、2018年に打率3割とホームラン30本を両立した時は、ファースト116試合、サード65試合、レフト23試合でした。
岡本選手はサードでゴールデングラブを獲得していますが、左右の動きや前へのダッシュ力には不安があります。代わりに入った門脇誠選手と比べれば、違いは明らかです。岡本選手はもともとハンドリングが上手い選手ですので、ファーストの守備も破綻はなく、守備の負担は軽くなるのかもしれません。
中田選手の復帰とともに、首脳陣がその辺りをどう分析していたのかが明らかになると思います。
守備位置 | 打率 | 打数 | 安打 | 本塁 | 打点 | 三振 | 四球 |
一塁手 | 0.317 | 41 | 13 | 5 | 12 | 10 | 8 |
三塁手 | 0.308 | 117 | 36 | 4 | 11 | 23 | 10 |
5番大城卓三保守6番秋広優人選手の並びが良い
岡本選手は今年、右投手を苦にしており、左投手を打ち込んでいます。デッドボールの心配が少ない左投手は安心して踏み込めるのかもしれません。打率.425は相手チームにとっては驚異的ですが、5番6番に好調な左打者が続くので、岡本選手に右打者をぶつけにくいのかもしれません。
条件 | 打率 | 打数 | 安打 | 本塁 | 三振 | 四球 | 死球 |
対右投手 | 0.259 | 108 | 28 | 6 | 26 | 14 | 3 |
対左投手 | 0.42 | 50 | 21 | 3 | 7 | 4 | 0 |
大城捕手は左右ともに3割近い打率を残していますが、左投手には長打が少なくなります。売出し中の秋広選手は右投手打率.381、左投手打率.211と極端に左に弱いので、相手チームは先発の左投手を引っ張りやすくなるでしょう。
中田選手が5番に座っていると、坂本勇人選手、岡本和真選手、中田翔選手と右が続いてしまうので、右の変則投手を投入しやすくなるという状況が、できやすくなるのではないでしょうか。
昨晩もとても攻略できそうになかった左の石田健大投手を、岡本選手の一振りで仕留めることができたのですが、ジャイアンツ打線は全くの沈黙でした。今後も左投手と対戦することは多くなると思いますので、岡本選手の長打が頼りになるかもしれません。
巨人のキャプテン岡本選手の成長
侍ジャパンで学んだことは、マスメディアに対するコメントでも感じられます。ダルビッシュ選手あたりから刺激を受けたようで、明らかにメディアを大切にする様な雰囲気がコメント内に感じられます。相変わらず、はぐらかすようなコメントが持ち味ですが、それでもメディアの先にいるファンに対する気持ちが、伝わってくるようになったと思います。
キャプテンに就任したことも要因の一つでは有ると思いますが、侍ジャパンでの違った環境が岡本選手の成長を助長してくれたのではと、推測しています。