悪夢の逆転負け レイダースは何故勝負弱いのか 開幕2連敗

地区優勝も望める戦力を整えて迎えた2022年のNFLですが、ラスベガス・レイダースはオーバータイムで逆転負けを喫しました。前半を20対0で終われたのにも関わらず、大逆転を喰らってしまう勝負弱さで、すべての面でまだ足りない部分が見えてきてしまいました。

1234OT
Cardinals00716629
Raiders71330023
CardinalsRaiders
413Total Net Yards324
12Total Penalties10
120Penalty Yards68
36:22Time of Possession29:47

ハーフタイムでの適切な指示が出せないヘッドコーチ

NFLでは通常1週間かけて翌週の対戦相手の研究を行い、ゲームプランを作成します。この試合でレイダースは前半で相手を完封して、首脳陣の優秀さを見ることができました。しかし、ハーフタイムでモメンタムが一転します。前半はレイダースの攻撃が38回、カージナルスが19回だったのに、後半はレイダースの攻撃は19回で、相手のカージナルスは51回の攻撃をしました。このため後半のほとんどの時間でレイダースの守備が続いたため、レイダースの守備陣の疲労の蓄積が見て取れ、終盤では全くQBカイラー・マレーへのプレッシャーが掛からなくなってしまいました。

4Qの最後のTDのプレーや、2PTコンバージョンでは、DLがQBマレーを追いかけることができずに、QBマレーの個人技で完全にやられてしまいました。あのディフェンスの疲労状態では、何度やってもQBマレーのスクランブルを止めることはできなかったでしょう。それほどレイダースのディフェンスの消耗が激しく、首脳陣の戦略に疑問符を付けざるを得ません。

有能な首脳陣はハーフタイムで前半戦の正確な分析を行い、適切な戦略と戦術を行うので、後半戦に強いチームは勝負に強いチームと言っていいでしょう。今日のレイダースは前半戦で安心してしまったのか、後半戦のオフェンスは良いところがありませんでした。新HCジョシュ・マクダニエルの油断があったのか、とても残念な試合運びでした。

QBカーのプレー

PlayerCP/ATTYDSTDINTQBR
K. Murray31/492771176.7
D.Carr25/392442099.5

後半になってレイダースのオフェンスが進まなかったのは、HCのゲームプランにもありますが、それだけではこれだけの大逆転は無いと思います。後半のオフェンスでショートパスのミスが重なり、ファーストダウンを更新できなかったのは、QBカーが小さなミスを繰り返したからではないかと思います。あれだけのリードを前半でしてしまうと、後半はどのチームでもラン重視になりがちです。レイダースも例外ではありませんが、それでもパスを織り交ぜながら時間を確実に減らさなければなりません。HCマクダニエルも保守的すぎるコールではなく、確実なパスプレーをコールしていたようですが、それをQBが確実に遂行できなかったと思います。

また、相手QBのマレーはプレーが壊れた時の対応が素晴らしいですが、レイダースのカーはプレーが壊れた時に、破綻しがちです。カーは相手の守備陣形を見てミスマッチを探し、プレーを適切に変えて決め打ちをする事が上手いQBです。しかしミスマッチを活かせないときに、次のレシーバーを探す時間が少しかかってしまいます。特にオフェンスラインが少し不安定な時は、ターゲットを探す事と、ラッシュを小さな動きでかわす事を同時にはできないようです。若い時はロールアウトからのパスなども見られましたが、少し脚も衰えてきているのかもしれません。

カーはオフェンスラインが安定しているときは、非常に良いパフォーマンスを発揮します。しかし、脚力がないのでオフェンスラインが不安定な時は、極端にパフォーマンスが悪くなります。

RECYDSAVGTDLONGTGTS
Mack Hollins56613.20238
Hunter Renfrow7598.402010
Darren Waller6508.31198
Foster Moreau330100194
Ameer Abdullah123230231
Davante Adams21261117
Josh Jacobs112120121

エリートQBがスーパーボウル制覇には必要

今日の対戦は両QBが対照的な働きをしました。特に終盤戦はQBマレーが一人で窮地を打開して、勝利をもぎ取りました。マレーのようなQBは、NFLでも稀有な存在だと思います。しかし、エリートQBと称されるQBは、しばしばとてつもない勝負強さを発揮して、チームを救います。スーパーボウルまでたどり着くチームは必ずと言っていいほど、エリートQBを擁しています。カーは9年目の31歳です。今までチーム力や首脳陣に恵まれなかったとはいえ、真のエリートQBにこれから成れるのでしょうか。戦力の多くを投げ出してQBラッセル・ウイルソンを迎えたブロンコスが、レイダースよりも評価が上ということは、QBの評価がいかにチーム全体の評価と直結するかを物語っています。

ここまでの2戦を振り返ると、今シーズン終了時にはQBの獲得をチームが考えるべき時が来てしまうかもしれません。それほど今年の戦力は揃っており、この開幕2戦の結果は残念なものでした。

プレイオフは厳しくなった

1990年以降の記録では、開幕1勝1敗のチームがプレイオフに進出する確率は42%なのに対して、開幕2連敗のチームのプレイオフ進出確率は11.3%である事が放送の中でコメントされていました。ただでさえ地区内の争いが激しい中で、この連敗は痛すぎると思います。特に先週ライバルのチーフスに大敗していたカージナルスに敗れてしまったことは、かなり影響が残るかもしれません。

来週は、今週マンデーナイトでビルズと対戦するタイタンズです。強豪のビルズに負けて連敗する可能性は強く、3戦目はお互いに負けられない一戦になるはずです。日程の関係で相手チームの戦いを十分に研究できる有利さがあるので、よもや負けることはないと思いますが、万が一の時は早くも寂しいシーズンになる可能性があります。

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