コロナ禍で中止となっていた巨人戦が、いよいよ始まろうとしています。
中盤が過ぎて終盤戦に入ろうとするペナントレースですが、首位ヤクルトと13ゲーム差があり、借金は5まで増えてしまいました。ここまでずっと4番を任されていた岡本和真選手は、不調が続いており、打率は.246で、優勝を狙うチームの4番打者としては非常に物足りない成績となってしまいました。
勝敗を背負う4番打者岡本和真選手
岡本選手は本塁打21本で37本の村上宗隆選手に続いてセ・リーグ第2位。打点は62で第3位です。これらの数字だけを見れば、まずまずの成績に見えますが、チームの勝利に結びついていません。岡本選手もチームが勝てない理由に、自分の不振を自認しているようで、若き4番が苦悩を深めているようです。
圧倒的パフォーマンスの村上宗隆選手
巨人岡本選手、ヤクルト村上選手、阪神大山悠輔選手のここまでの成績を比較すると、チーム成績と相関するように、村上選手のパフォーマンスが圧倒的です。打撃3部門で他の二人を圧倒しています。四球もよく選んでおり、対戦チームの執拗なマークを掻い潜っての数字なので、価値があるというものでしょう。また村上選手は盗塁も9個成功させており、簡単にランナーにも出したくない選手です。岡本選手も大山選手も盗塁は0でノーアウトでランナーに出した場合、あまり怖くない走者であり、村上選手との得点力の差が窺われます。このあたりは得点に差が出ており、勝てる4番の村上選手は、ホームに帰ってくる走力でもチームの勝利に貢献しているといえます。
打率 | 打点 | 本塁打 | 得点圏打率 | 出塁率 | 四球 | 得点 | |
岡本和真 | 0.246 | 62 | 37 | 0.297 | 0.332 | 40 | 45 |
村上宗隆 | 0.316 | 95 | 21 | 0.345 | 0.449 | 76 | 68 |
大山悠輔 | 0.256 | 70 | 21 | 0.278 | 0.349 | 43 | 41 |
満塁が極端に弱い岡本和真選手
他の二人が5割以上の打率を残している満塁のチャンスで、岡本選手は.143と期待に答えられていません。満塁で4番が凡打をしてしまえばチームの勢いはなくなります。打点も村上選手21、大山選手15に対して、岡本選手は3です。満塁で4番に一打が出れば、チームの勢いが増すでしょうし、後続のバッターにチャンスが繋がります。村上選手の満塁ホームラン4本は圧巻ですが、岡本選手にもそろそろ一発を期待したいと思います。
満塁打率 | 満塁点 | 本塁本塁打 | |
岡本和真 | 0.143 | 3 | 0 |
村上宗隆 | 0.545 | 21 | 4 |
大山悠輔 | 0.600 | 15 | 0 |
4番を代えない原監督の理由
ここまで原監督は、4番の岡本選手だけを動かそうとしません。引退時に“巨人の4番は聖域”とコメントしていたので、思い入れがあるのは確かでしょう。また、代わりに4番を務められる打者が居るのかと言えば、なかなか難しいところがあるのでしょう。
V9の頃の川上監督は、長島茂雄さんが不調になると、気分転換のためか王貞治選手と3番・4番を入れ替える時がありました。カンフル剤的な意味もあったとは思いますが、長くは続けず、すぐに戻していたと思います。
しかし長嶋選手は若い頃は俊足で鳴らしていましたので、3番が十分に務まりましたが、岡本選手が3番になると、出塁時に進みが悪くなります。脚力のない3番は起用しがたい面があり、原監督を悩ませている原因の一つではないでしょうか。仮に打順を変えるとしたら5番以降となり、重荷をおろした岡本選手が、それなりの打者になってしまう事を、原監督は恐れているのかもしれません。
4番への拘りが岡本選手を身動き取れなくしている
元来チャンスに弱いバッターではない岡本選手は、出だしの頃は“ミスタースリーラン”等とも呼ばれていました。数字で見ると2018年は8本の3ランホームランを打っていますが、今年はまだ2本です。次第に4番の重みが、見えない重圧となっている可能性があるのかもしれません。今のところ原監督の岡本選手に対する信頼と期待が、岡本選手を追い詰めているような構図になってしまっています。
原監督に望むこと
長嶋茂雄と王貞治、松井秀喜と高橋由伸と、歴代の4番バッターには盟友がいました。巨人の4番を張り続けた原監督にも吉村禎章さんがいましたが、試合中の怪我によって長く続きませんでした。今の岡本選手の気持ちがわかるはずの原監督は、岡本選手の盟友となりうる、日本人の3番バッターを育てなければならないのではないでしょうか。