ジャイアンツが若い投手陣の台頭によって接戦に持ち込み、勝ち星をあげることが多くなっています。しかし逆に言えば打線の援護が少なく、ここ数年の貧打に近い状況は変わっていません。いまは原監督のやりくりで接戦をものにしていますが、このままでは昨年後半のように失速してしまう可能性が高くなります。昨年から続いているジャイアンツの弱点は、補強されているのでしょうか?
ジャイアンツはスカウト陣の強化に成功
ドラフトで近年失敗を続けていたジャイアンツですが、今年の新人は大活躍です。ドラフト1位の翁田大勢投手は、クローザーとして役割を果たしています。チーム13勝のうち1勝9セーブと、大車輪の活躍です。ドラフト3位の赤星優志投手は4試合で2勝、防御率1.69と安定感抜群の投球を続けています。育成6位の菊池大稀投手は2軍ではありますが、投球回11で奪三振19防御率2.45と素晴らしい成績を収めています。1軍投手陣がピンチであれば支配下登録即1軍と言う流れになりそうですが、今はまだ1軍投手陣に余裕があるため少し先になりそうです。数年前までは失敗ドラフトを重ねていた印象がありますが、投手のスカウティングについては一定の成果が出ていると言えるでしょう。ここからは野手の発掘が大きな課題になるでしょう。そもそも野手の大物は投手と比べて数が少なく、さらに育成も難しいため高難度の課題ですが、引き続き改革を続けてほしいと思います。2020年6月に設置されたOBスカウトの活動実績などは情報がないですが、機会があればスポーツ報知あたりで取り上げてもらいたいものです。
投手陣のリスク管理は大幅の進歩
桑田投手チーフコーチの体制となり、巨人投手陣はかなり整備されました。昨年までのローテーションとはメンバーが大きくかわり、リリーフ陣も同様です。手術明けの山﨑伊織投手や堀田賢慎投手に対しても慎重な管理がされており、ファンとしても安心してみていられます。また、大勢投手に対しても三連投を避けるなど明確な方針が見られるようになり、原監督の桑田コーチに対する信頼度の高さが見受けられます。
これからの課題は若手投手の育成になりますが、少しずつ成果も見られているようです。中継ぎで復活した鍬原拓也投手の様に潜在能力を活かせなかった中堅投手や、高卒で入団したプロスペクトを順調に育てることができれば、いよいよかつての投手王国の復活が見られるかもしれません。
打撃陣の強化は課題が山積
ファーストの強化を見過ごした巨人
新外国人の獲得にあたって、ファーストを守れる強打の左打者が必要でしたが今年は獲得できませんでした。昨年はスモーク選手を獲得しましたが、コロナの影響もあり実力を出しきれずに退団となっており、その穴が埋まっていません。巨人の先発野手の成績を見ると、打率は.203で捕手の.222を下回っています。本来であればファーストは打撃優先のポジションで、各チームとも主軸を打てる野手、特に外国人が起用される事が多くなります。
守備位置 | 2022年4月18日現在の打率 |
捕手 | 0.222 |
一塁手 | 0.203 |
二塁手 | 0.364 |
三塁手 | 0.264 |
遊撃手 | 0.288 |
左翼手 | 0.221 |
中堅手 | 0.26 |
右翼手 | 0.265 |
投手 | 0.135 |
ジャイアンツはここまで中田翔選手と中島宏之選手が一塁手として先発していますが、中島選手は今年40歳になる超ベテランです。中田選手は過去2年間の打率が.193 .154、と振るわず、今年の打率は.194で、不調といえる状況ではありません。そんな状況の中でファームにも左の強打者は見当たらず、秋広優人選手にはまだ荷が重い状況です。ドラフトでの即戦力獲得は難しかったと思われますが、せめてトレードで獲得するなどの努力が欲しかったところです。
本塁打頼みのチーム戦略
今は本塁打で取った少ない得点を守っていますが、東京ドーム以外では本塁打を多く望むことができず、連打による得点が必要です。ところがジャイアンツ打線は序盤に鈍足の選手が点在するために、塁上で渋滞することが多くなります。また走れる選手が限られているため、俊足選手に対するマークがきつくなって、ベンチはただ打つだけの作戦になりがちです。しかし各チームのエース級から鈍足ランナーを返すための連打を打つことは難しく、得点力不足を助長しています。CSや日本シリーズでは相手はエース級しか投げてこないので、今の本塁打頼みの打線では同じことの繰り返しではないでしょうか。機動力を使ってベンチが作戦の責任を取るようにならなければ、好投手攻略は難しく、打者任せの打つだけの淡白な攻撃が続きます。結局大量点の援護ができずに、投手陣にも負担をかけ続けることになるでしょう。
2022年4月18日現在 | 試合 | 打率 | 本塁 | 打点 | 盗塁 |
通算 | 20 | 0.251 | 22 | 78 | 4 |
東京ドーム | 9 | 0.272 | 15 | 42 | 4 |
神宮 | 3 | 0.204 | 3 | 13 | 0 |
甲子園 | 3 | 0.194 | 1 | 5 | 0 |
マツダスタジアム | 3 | 0.219 | 1 | 5 | 0 |
バンテリン | 0 | 0 | 0 | 0 | |
横浜 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
その他 | 2 | 0.347 | 2 | 13 | 0 |
このままでは投手陣にへばりが来れば連敗が続きますし、短期決戦でも勝てない構図が継続することになる可能性が強くなります。是非ベンチはリスクを取って打つだけの野球から脱却してほしいものです。