巨人の球団強化戦略が行き詰まっている。明確な他球団に対するアドヴァンテージが無くなってきてしまい、そのうえ無理な強化戦略が将来のつけとなって回ってきていると言えよう。
親会社の衰退
巨人は歴史のある球団で、そのブランド力は日本球界随一のものがある。そもそもプロ野球は大学野球よりも人気がなく、職業野球などと言われてスポットライトを浴びることは少なかった。満員の神宮球場に対して、後楽園はガラガラということは常態化していたようだ。そこを覆したのが長嶋茂雄さんの存在だったという。やがて王貞治さんとのONコンビでプロ野球人気は爆発し、今の地位を確立した。それを支えたのは読売グループであったことは間違いない。読売グループはジャイアンツという球団を利用して、日本テレビなども発展させた。メディアと球団という組み合わせがよく、相乗効果を生み出したと言えるだろう。しかし、潮目は変わった。新聞の発行部数の減少は止まらない。テレビの視聴率も低下し続けている。You Tubeの広告料がテレビのCM料を超える時代になって、読売グループの存在感は相対的に低下した。プロ野球にもソフトバンクや楽天など新しい企業が、潤沢な資金力を持って参入している。読売グループの資金力による優位性は、既に無くなっているのかもしれない。
FAによる強化戦略
近年の巨人は、FAで成果を上げていない。丸佳浩選手を最後に、ことごとくFAによる戦力強化に失敗している。巨人という球団を敬遠する選手や、FA自体を躊躇する選手、そしてFA移籍した後に極端に成績が下がる選手など、近年はあまり成功した例がない。昨年は山田哲人選手ら中心選手を、ヤクルトが従来は見られなかった高待遇で残留させ、今年の優勝に結びつけている。今年の目玉だったDeNA宮﨑敏郎選手や、広島大瀬良大地投手が残留を選び、所属球団で優勝を目指すことになったのは偶然ではない。そして東京出身で目玉中の目玉となる予定だった鈴木誠也選手は、MLBへの移籍が噂されている。FA市場には本当の目玉が出てこなくなったのだ。
FA戦線に異変 もう巨人はFAに頼れない 強化戦略の見直しを！
FA獲得の弊害
そもそもFAできる選手は加齢により、キャリアハイからの下り坂にある場合が多い。生え抜きの選手であれば加齢による成績の降下は、暖かく見られる場合が多い。しかし巨人にFAで移籍した選手に対しては、ファンの風当たりは強い。成績が出せなくなれば、すぐにスタメンを外されてしまう。人気球団であるためにアンチも多く、居場所が無くなるような状況になるかもしれない。今までにFAで苦労した例は切りがなく、FAに対してネガティブな印象を持つ選手は今後も多くなるだろう。そして高齢化し成績が出せなくなった選手は、言葉は悪いが不良債権化する。一般社会では容赦なくリストラされるが、FAでの移籍時には何らかの付帯条件がついているのか、使い捨てのイメージを嫌うのか、巨人では簡単にはリストラできない。巨人にFA移籍後に契約が切れた選手は、殆ど再契約を1度している。今年の陽岱鋼選手も昨年の野上亮磨投手も、打ち切りせずに再契約している。
コーチとして再雇用されるFA選手
そして一部のFA選手にはコーチ手形までついているのでは無いかと思われるケースもある。コーチとして何の実績もないFA選手を、スタッフに加えるケースは多い。今年は大竹寛投手が採用されている。片岡治大さんはコーチとしての限界を感じて今年退団した。3軍コーチとはいえ、大切な選手をコーチ実績のないコーチに預ける親御さんは、どのような気持ちだろうか。球団としては適正があると判断して採用しているのであろうが、コーチと選手は別物で、それは一般社会でも同様だ。
肥大化し高齢化する巨人軍
一般社会の主流は、組織をスリム化する事だ。日本ハムは常にリストラを怠らない。今年も主力3選手をノーテンダーとした。言葉の響きは良いが、見方によればリストラだ。かつては陽岱鋼選手も同じ様に出されている。シーズン途中の中田翔選手の移籍も、根本には同じ理念があるのだろう。対して巨人は下り坂に差し掛かる選手を多く採用し、引退後も所属させているので組織はどんどん肥大化し、その煽りを若い世代が受けている状況だ。しかし組織の肥大化には限度がある。コーチを管理職と例えるならばそのポジションには限界がある。目新しい肩書をつけて、ポジションを増やしているのはその現れだろう。もちろん球団には経営のプロがいるので、限界が近づいている、あるいは限界を過ぎてしまっていることには気がついているだろう。
戦力外通告の現状 各球団の戦略 肥大化の巨人 スリム化の日本ハム
そろそろ方向転換をしなければいけない状況は、深刻度をましているかもしれないですね。
今年の日本シリーズは、生え抜き選手ばかりで面白いですね。応援にも熱が入りますね。
