戦力外通告の現状 各球団の戦略 肥大化の巨人 スリム化の日本ハム

レギュラーシーズンが終わり、日本シリーズに出場するヤクルトとオリックス以外はストーブリーグに突入した。FA戦線があまり活発化しないここ2・3年だが、今年の戦力外通告には大きな動きがあった。特に育成ドラフトで大量指名を毎年行っている巨人は、今年も大量の戦力外通告、育成での再契約を実施している。巨人とは対照的に、日本ハムは3人のFA権利保有者にノンテンダーと発表した。

大量育成落ちのジャイアンツ

支配下枠の問題

支配枠が有る限り、新たに契約した選手と同人数は解雇または育成契約としなければならない。MLBでは直接支配下のロースターは40人、試合でプレー可能なアクティブロースターは26人でその下部にマイナー球団を抱えている。日本で育成契約へ移行されると非常にネガティブな印象を受けるが、MLBでは常にその可能性は有り、日本での受け取られ方と違いは大きい。個々の契約条件が選手により大きく違うので、単純に比べることは不可能だが、育成での大量保有が悪のように伝わるのはあまり良いことではないと思う。確かに支配下枠の制限は必要であると考えるが、育成契約については年数制限などを設けずに、長期的目線も考慮して運用するほうが良いのではないか。

縮小する野球競技人口

現在独立リーグなどで野球を続けているプレイヤーは、当然育成契約でも野球に専念できる環境は目指すべきものだろう。日本の場合は社会人野球というものが有り、その器が日本の野球の競技人口を支えてきた。しかし近年は社会人野球の規模は、残念ながら縮小傾向が続いている。企業の盛衰に伴い、野球チームを廃部する企業は多く、参入は少ない。かつては大学を卒業して社会人野球に進み、企業で働きながら現役を終え、その後企業で働くといったケースが多かった。しかし最近では企業の終身雇用制度が揺らぎ、社会人野球のプレイヤーを支える余裕がない企業が増えてきてしまったのだ。今ある名門社会人チームも、優秀なアマチュアプレイヤーを高校や大学から迎え入れるが、選手によっては期限を決めて合意し、その期限以内でプロ野球を目指すという約束をしていた企業もあると聞く。

プロスポーツとしての価値

巨人やソフトバンクが大量に育成選手を保有し、3軍制をとっているがその規模は社会人野球の縮小を補えるものではない。競技人口は減少を続け、サッカーに逆転されているようだ。他のスポーツに比べて設備やプレーに必要な人数など、試合を行うためにはハードルが高い感がある野球である。しかしチームプレーを好む日本人には、サッカーと並び、観て楽しむことができる競技だ。プロスポーツチームという興行面で見れば、優れたコンテンツであることは間違いない。

巨人の義務

育成契約であれ、しっかりとした設備とプログラムで、契約した選手を育成していく巨人の義務はある。ただただ大量に選手を保有して、きちんとした育成ができないのであれば、それは問題だ。今回の大量育成落ちや解雇について議論はあると思うが、大量解雇を始めた時からある程度の年数が経過した時に、その成果を数字で総括する必要があると思う。OBコーチが3軍の状況についてYou Tubeでコメントしていたが、退団するにしても現状の問題点や改善方法について文書でレポートしてもらいたいものだ。駒田新3軍監督への引き継ぎは必ず文書で行ってもらいたい。肥大化した組織を制御するためには必要な常識だと思う。

原巨人は人材育成が出来ているのか 育成・評価システムは有るのか? 

巨人の育成方針に異変有 山下航汰選手が育成契約を拒否 自由契約へ

日本ハムのノンテンダー

3選手を実質的な自由契約

巨人とは対照的に組織のスリム化を怠らないのが日本ハム球団だ。今回の西川遥輝選手、大田泰示選手、秋吉亮投手の実質的な自由契約は、ある意味衝撃的だった。中でも西川選手はまだ若く、生え抜きでもあることから他の2選手よりも驚きだった。

ポジション外野手
投打右投左打
身長/体重181cm/79kg
生年月日1992年4月16日
経歴智弁和歌山高
ドラフト2010年ドラフト2位
西川遥輝選手
年度打率試合打席打数安打二塁打三塁打本塁打塁打打点得点三振四球死球犠打犠飛盗塁盗塁死併殺打出塁率長打率OPS得点圏
20200.30611552342212917351673982849224342750.430.3960.8250.358
20210.233130547447104195314235689989434241130.3620.3180.680.265
通算0.281122752184391123219254541694381701953680301021531156270.380.3860.7650.283

もともと日本ハムはFA権を取得した選手に、淡白にみえる対応をすることが有り、生え抜きの陽岱鋼選手なども“卒業”と称して放出している。しかし西川選手は2020年に打率.306を記録し、42盗塁を記録した一流選手だ。今年成績を落としたが、まだ巻き返しが十分可能な戦力と思われる。今年の年俸が2億4千万円と言われているが、ノンテンダーとすれば、規定以上の減俸が可能であり、税金などを考えると西川選手の生活は一気に厳しくなる。もともとの年俸が高すぎるのかもしれないが、浮き沈みの大きさは一般人には想像もつかない。

優勝を目指さない球団

新庄新監督は優勝を目指さないと公言した。背景には今回の球団姿勢があったのではないかと思う。当然それぞれの球団にはそれぞれの方針が有り、積極的に優勝を目指さず、ペナント終盤になって狙える位置にいたら全力で勝ち取るというのは一つの戦略だ。なりふり構わず優勝を目指している球団が存在している中で、もし日本ハムが優勝したらその影響は計り知れない。

各球団の新監督選び 立浪監督、新庄監督選考基準の違い

球界の発展のために

競技人口も減少している中で、プロ野球を更に発展させる事は困難になっていく。今回の日本ハムのノンテンダーが球界の維持・発展のために、どの様な影響がプラスマイナス両面であるのか現時点ではわからない。しかし一球団のためではなく、球界全体のことを考えた時に、2部制をとっていない野球界は何か考えなければならないのではないだろうか。本音はどうであれ、優勝を目指さないという姿勢は個人的には疑問が残る。少なくとも何年以内の優勝を目指すというのが、社会人の常識ではないかと思ってしまう。非営利団体を除いて、一般企業ではその様な発言は認められないと思うのだが、時代は変わっているのかもしれない・・・

2リーグで12球団しか無い日本球界で、日本ハムのような球団が増えてしまえば、ペナントの興味は減少してしまうのではないだろうか。やり方は違えど、優勝を目指していく態度は、個人的には見せて欲しいと思います。

日本ハムのような考え方も、これからは受け入れていくべきなのかもしれませんね。そのためにはNPBも制度の微修正をしなければいけないのではないでしょうか。

ファンです
ファンです

選手は優勝を目指さないチームに所属しても満足できるのでしょうか?

ドラフト制度でプレイヤーに球団を選ぶ権利がないのであれば、選手の気持ちはどうなんでしょうか。どうもサッカー界のほうが制度に整合性がある様に見えてしまうのですが・・・

タイトルとURLをコピーしました