日本の経済が成長しないと話題になっています。何が原因かと問われても一つの真実があるわけではなく、いろいろなものが積み重なって経済は成り立つので、問題はとても難しいと思います。ただ諸外国に比べて日本は生活自体にリスクが少なく、またリスクを取ることに否定的な考え方が支配的で、適正なリスクを取ることができなくなっている事は間違いないと思います。
安全神話の日本
基本的に日本ほど安全が担保された国は無いと思います。犯罪の類は先進国の中でも圧倒的に少なく、以前は日本の警察の検挙率は世界一と言われていました。現在でも犯罪指数は非常に良好です。国土が広い割には安全と言ってもいいのではないでしょうか。また、国土が海に囲まれているため、外国人の出入りは比較的管理されており、戦争のリスクも他の国よりも低いと考えてよいでしょう。
未知のリスクに対する社会の怯え
顕在化し慣れてしまったリスクと、未知のリスクでは恐れる度合いが違ってきます。日本は地震のリスクが非常に高く、海外の人達から見れば恐ろしいリスクではありますが、日本人は地震リスクを許容し続けて日本に居住します。しかし新型コロナなどの未知のリスクに対しては非常に許容するキャパシティーが小さく、後になってあの日本全体の極度の怯えはなんだったのかと、反省する日が来るかもしれません。
政治家の不作為
コロナで直接お亡くなりになった方と、コロナを恐れすぎたあまりにコロナの間接的な要因でお亡くなりになる方を比較できる日が来るとは思えませんが、何らかの検証を残さないと同じ過ちを繰り返すことになりかねません。同じ様なパンデミックが起きた時の、リスクの削減方法とリスクの許容キャパシティーを定量化する努力は怠ってはいけません。安全面に振りすぎた対策は、ただただリスクから逃げているだけで、政治家の無責任さを浮き彫りにするだけです。政治家には世論に流されるだけではなく、リスクを科学的見地から正しいリスク評価をして、世論を正しい方向に導く努力をしてもらいたいと思います。
マスメディアの品性
マスコミもリスクを過大評価して国民をいたずらに怯えさせるのは、罪であることを自覚して、正しい報道をしてもらいたいと思います。いたずらにリスクを煽るのは、タブロイド紙のやり口で、メスメディアの信頼性と品性を損なうものでしかありえません。本来マスメディアは偏った報道をするのではなく、違う意見が存在すれば両論併記を基本としなければならないはずです。部数の減少が止まらない新聞社が、部数の維持のために扇情的な報道を行えば、結局は自らの首を絞めてしまいます。
若者に対する扇情的な報道
マスメディアは過剰に若者たちを不安に陥れています。今の若者達は自分たちの世代を不幸だと思い、希望がないと言う意見を発信することが目立ちます。特にその様な発言する若者を集めて、番組を制作するテレビ番組なども有り、必要以上に若者を怯えさせているように見えます。人口が減少することを事さらに悪いことだとする報道も、問題があります。人口減少は先進国には共通の課題であり、日本に限った事では有りません。人口減少を移民によって解消している国はいくらでもあります。しかし日本人は移民を受け入れるリスクを現状では受け入れることができないので、人口減少に怯えているということです。何故人口減少に対する答えが出ているのに、前に進めないかが疑問となりますが、ただただ未知のリスクに怯え、問題を先送りしているだけだと思います。
今を守りたい若者たち
今の若者達は恵まれています。まず戦争がありません。徴兵制も有りません。美味しいものが低価格で食べることができます。医療も発達し日本ほど清潔な国はありません。単一民族で構成されており、宗教による諍いなども殆ど有りません。人種差別も殆ど無いと言っていいレベルです。インフラは十分に整理されており、新幹線や高速道路なども非常に高レベルで出来上がっています。携帯電話も行き渡り、友人とのコミュニケーションはいつでもできます。これらは先輩世代が経済活動を行い、納税することによってできたものです。今の若者達は先代達が作ったものを無料で享受しているのです。にもかかわらず国の借金を後世に残すなとかいう意見が支配的で、驚きます。マスメディアもその様な意見ばかりを取り上げるので、今の建物や公衆衛生の恩恵をどれだけ現代の若者たちが享受しているかを意見する政治家はいません。
火災保険を比較する現状を打破したかった先代と現状を守りたい若者
先代たちは自宅に個室があるわけではなく、跡取り以外は成人とともに家を飛び出しました。米国でも成人すれば独立することが基本ですが、日本の若者たちはいつまでも家にいることが多くなってきています。それは家を飛び出して独立するよりも、親の家にいれば経済的には楽であり、環境も整っているからでしょう。決してすべての若者がそうだとは思いませんが、そういう若者が増えていることは事実でしょう。独立することのリスクに比べて親の家に留まることでリスクを回避することは、現状に満足度が高いことの裏返しではないでしょうか。
現状は悪くない日本
今の若者達が恵まれているのは間違いありません。リスクを取らずに現状に踏みとどまるのは、ある程度現状に満足しているからです。逆に言えば現状が維持できないことに怯えているということになります。今の日本では十分に安全で清潔な生活を営めるが、将来それを維持できなくなる可能性があるから、家を飛び出すことができずに、結婚ができなくなる。今が十分幸せなのでそれ以上を求めるリスクを恐れ、今を失うリスクを怯える。それを助長しているのは紛れもなく、政治家とマスメディアの責任ではないでしょうか。
明るい日本の未来
今も昔も日本の国民は、優秀であると思います。勤勉であり能力も高く、再び輝ける時代が来ると思います。元来日本は物作りが得意な国で、それは今も引き継がれています。決してルール作りや企画作りが得意な国ではなく、アメリカのように世界のリーダーになれる国では有りません。かつては経済大国として世界に君臨しましたが、アメリカの為替政策が1つの要因となり、中国に世界の工場の座を譲り渡してしまいました。
米国が容認した円安が日本を復活させる
しかし、世界の情勢は代わりつつあります。米国が日本をもう一度世界の工場として認めてくれる日がやってきました。米国は中国との共存関係を模索していましたが、ここにきて相並び立つことが難しいと判断したと思います。中国とのデカップリングは最早止めることはできないでしょう。そうなると軍事的に同盟関係に有り、けっして米国を裏切ることがない日本は、信頼できるパートナーです。円安を容認した感のある米国が、世界の工場としての日本を、再度認めてくれたと言ってよいのではないでしょうか。
今の若者達は成熟した考えを持っている
保守的でありリスクに過敏ではありますが、今の若者達は先代たちよりも成熟した価値観を持っているといえます。必要なものと不必要なものを区別することができ、無駄を省く姿は十分に大人です。しかし時には無駄も必要で、あまりにも合理的な生活は精神を痛めつけます。今の若者達も十分にその事を認識しており、余裕のある若者たちは価値がある物については浪費をすることもあるようです。しかし、マスメディアの行き過ぎたミニマム思考や節約志向は、若者たちを萎縮させてしまいます。人生を豊かにする家族の存在や、浪費の価値をもっとポジティブに取り上げてもらいたいと思います。
マスメディアと政治家が官僚によってコントロールされてしまっていると思うのは、考えすぎでしょうか。