日本の野球の成長を妨げる人たち ベースボールとの違いを主張する

プロ野球解説者の中で日米の違い、いわゆるベースボールと野球の違いについて力説する人たちが、かなりの数に上ります。

その中でも人によって主張に違いが有るのは当然です。しかし一部の人達は間違った方向に考えて、日本の野球界の成長を止めているのではないかと思うことがあります。

受講生の約9割がプラスの運用実績

ガラパゴス化を主張する人たち

どの世界でもそうですが、アメリカの行く方向に行こうとすることに、反対を唱える勢力がいます。良いものを守るためには、世界標準から外れてしまっても問題ないと主張する人たちです。例えばそれが日本固有の伝統芸能や伝統工芸などであれば、それは守るべきものでしょう。しかしそれが、電化製品であったりスポーツであったりする場合は、慎重に考えなければなりません。

かつて日本の携帯電話は、I-MODEという素晴らしい独自技術を装備していました。しかしその技術にこだわる余り、世界標準との距離が開き、結局日本の携帯電話は競争力を保てませんでした。携帯電話の規格がガラパゴス化することによって、進化から取り残されてしまったのです。

ビデオの規格も同じようなことが起こりました。ベータとVHS戦争です。それぞれの規格に一長一短があったのですが、大勢が決まったところで、少数派が生き残れるものでは有りませんでした。

良いものが生き残るのではなく、生き残るのが良いもの

野球についても同じことが言えると思います。

DH制の導入について

DH制については良い点も有り、悪い点も有る事は議論が出尽くしている感があります。そして、MLBで両リーグがDH制に踏み切ったことで結論は出ています。世界の大勢がDH制導入を決定しているのです。DH制を導入していないのは、日本のセ・リーグと高校野球、六大学野球だけの様なものではないでしょうか。

確かにDH制を導入しないことによるメリットはあります。投手の継投の妙味などに代表されるものは、その最たるものでしょう。

しかし、世界標準がDH制に決定した後にDH制に拘ることは、結果的に日本のプロ野球の発展の妨げになってしまいます。

投手がバッティング練習をしたりバント練習をしたりすることをやめれば、無駄な時間や無駄な怪我を減らすことができます。走塁中の怪我なども防止できるでしょう。

DH専門の強打者を育てることができれば、人材の幅が広がります。

結果的に投手も打者も力の突出したスペシャリストが増え、リーグ全体の技術水準が上がっていくことになります。

DH制導入についてはこちら

ピッチクロックやベースの拡大について

スポーツである以上、ルールは統一するべきです。

エスコンフィールドで球場の規格について、アメリカのルールの解釈を誤ったために騒動になりました。盲目的にアメリカの取り決めをフォローしてしまったことによる悪い例だと思います。

エスコンフィールドについてはこちら

しかし、ベースの大きさやピッチクロックは別問題です。

ベースの大きさが恒常的に変わることが決定されれば、日本も直ちに取り入れるべきでしょう。ここで日本が従来のものに拘る必要はありません。

国際大会で使われるルールを標準としなければ、日本球界はまたガラパゴス化してしまいます。

ピッチクロックやベースの大きさは、野球自体を変えてしまいます。世界標準の変化についていかなければ、どんなスポーツでも国際大会では不利になります。日本は残念ながらルールを作る側にはポジションを取れないのです。

守るべきところを勘違いしない

日本はスモールベースボールを標榜して、国際大会を戦い抜いたことがあります。日本人の体格や俊敏性を生かした戦略は、大変重要なもので、これからも守るべき考え方だと思います。

しかし、ベースの大きさやDH制などという基本ルールは、全く別物です。できるだけ早く対応しなければ、選手が困ります。ルールを変えることができるオーナー会議が、選手のことを考えず、興行や球団経営のことを考えていては本末転倒です。

一部のセ・リーグの球団が、DH制は給料アップに繋がり、球団経営を圧迫するなどと反対するのであれば、退場していただきたいと思います。

またセ・リーグの監督会議でも、駆け引きが減りゲームが面白くなくなるなどの意見が出ているようですが、全くの筋違いだと思います。投手がバッターボックスに立って、気のないスイングをして三振することのほうが、余っ程面白く有りません。プロ野球は監督が楽しむものではなく、観客が楽しむものです。

大切なことを決める事ができる人材が必要

自分のことばかりを、短期的にしか見ることができない人材を、決定機関のメンバーにすることに問題が有ると言わざるを得ません。

プロ野球の発展とアマチュア野球界の発展を俯瞰的に見て、ルール改正などを考えられる人材を選ぶべきだと思います。

監督会議でルールを決めるなんてことは、全く理にかなっていないと思います。

低い目線で行われた会議の結末を見るにつけ、日本経済が発展しない理由と重なって見えてしまうのです。

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