日本のプロ野球は選手が可哀想 FAとドラフトの制度改革が必要

現役ドラフトが昨年初めて行われ、恵まれない立ち位置であった選手が新天地で活躍するケースが頻発しました。しかしこれは1年でたった12人の選手たちのための制度で、この様に恵まれない環境で苦しんでいる選手は少なくないと思います。

一般社会では転職が自由に行われるようになり、企業も勤務地について柔軟に対応するなど、働き手によりそった職場を模索していますが、プロ野球については、未だに選手の自由度が低く、選手生命の短いアスリートにとってかなり厳しい制度と言わざるを得ません。

勤務地が選べないプロ野球選手

プロ野球の選手は、基本的に勤務地が選べません。特に高卒の選手にとって、勤務地はとても大切な要素でしょう。まだ色々な意味で未完成な18歳が、親元や友人たちと隔絶されることは、かなりの精神的負担が有ると思います。一般社会ではほとんどの高卒の人材は、勤務地を選べます。むしろ生活の拠点を定めてから職を探す場合も少なくないでしょう。戦力均衡という名目が有るとは言え、ドラフト制度には選手側にあまりにも自由度が少なく、問題の無い制度とは言えないと思います。

転職の自由がないプロ野球選手

日本にはプロ野球リーグは1つしか無いので、転職の自由がありません。そのため選手側には全く不自由な状況となっています。平均在籍期間が7. 7年と短命であり、実際には5年以内で戦力外になる選手が多い中で、自らが選べない環境下で選手生命が終わる選手も少なくないと思います。選手によっては相性の悪い2軍監督との現役生活で、引退を余儀なくされてしまう選手もいるでしょう。ドラフト上位で指名される選手と育成指名の選手では、かなり扱いが違うかもしれませんが、アマチュア時代に人より努力をして、評価を勝ち取った選手ほど自由度が少ない今の制度は、何処か矛盾を感じてしまいます。

FAが機能しない現状

毎年100人ぐらいの選手が入団するプロ野球ですが、FAの権利を獲得する選手は、10人にも届きません。そして実際に権利を行使する選手は、限られた有力選手のみです。ドラフト制度の不自由さをFAで補うとの考え方があるようですが、あまりにも差が開きすぎて説得力がありません。アメリカのように短い期間(サービスタイム6年)でなおかつ、宣言の必要なく自動的にFAになる制度であれば、ドラフト制度との整合性も取れると思いますが、日本の場合はFAが十分に機能しているとは思えません。国内FA獲得まで8年という縛りは、アスリートの寿命からはあまりにも長く、球団側の權利が強すぎると思います。

FAの問題についてはこちら

戦力均衡が達成できないドラフト制度

戦力均衡のために有るドラフト制度ですが、現状の戦力は均衡しているでしょうか。一部のチームは親会社のチーム強化方針もあり、あきらかに戦力が整っていないケースが有るように外部からは見えます。しかもそれが恒常的に続くのであれば、ドラフトの存在意義はどうなっているのでしょうか。

チーム強化のために熱心でないチームを支えるためにドラフト制度が有るのであれば、指名された選手は堪ったものではありません。7年以上Bクラスが続けば、所属球団が低迷したまま引退を迎える選手は少なくないでしょう。

今のように入れ替え制度のないNPBでは、球団経営に不熱心なチームを放置することになる可能性があります。

チームスポーツはやはり勝ちたい

プロ野球なので、サラリーさえ貰えればチームの勝敗は関係ないという選手がいるかも知れませんが、やはりそういった選手は多くはないはずです。優勝争いを味わうことによって成長できる選手もいるでしょうし、チームの総年俸も上がるはずです。

かつては優勝すると給料をあげなければいけないので、優勝したくないというチームがあったようですが、今はどうなのでしょうか?

もし、チーム強化に不熱心なチームに指名されたら、その選手の気持ちはどうでしょうか?最初は出場の機会に恵まれ、弱いチームも悪くはないでしょうが、負け続ければ気持ちは鬱ぎます。アメリカのようにFAが活性化されていれば、成長後に自由にチームを選び、強豪チームに移籍するチャンスがありますが、日本ではかなりハードルが上がります。

強化に不熱心なチームには罰則を

本来であればオーナー会議で、不熱心であったり資金難である球団の改善を図らなければなりませんが、歴史的に見てもプロ野球界は閉ざされた世界に見え、自浄作用が有るとは思えません。

唯一変えることができるのは、ファンの声になってしまうのかもしれません。ただ新しいスポンサーを探す時に、フランチャイズが変わる可能性があり、地元のファンは弱くても残ってほしいと思うのかもしれません。

今のように企業名を全面に押し出すプロ野球のやり方では、限界が来ているのではと思います。

プロ野球の人気低下が現実のものとなっている現在、今のままではMLBのマイナー化が進んでしまうのではと危惧します。

タイトルとURLをコピーしました