プロ野球の人気が低下しています。若者の野球離れは深刻で、野球はやるスポーツから見るスポーツになってしまいました。競技人口の低下は長期的に見れば、人気の低下につながる事は当然のことで、これからも大きな流れを変えることはできないでしょう。
プロ野球の人気を低下させる行為
プロスポーツは魅せることが必要です。アマチュアにはとてもできない領域でプレーをすることで、観客に感動を与えます。そしてそれは真剣勝負の中で、魅せられなければなりません。たとえばもし八百長があったとしたならば、それはプロ野球の終わりの始まりです。馴れ合いの中で真剣勝負を怠れば、観客は白けてしまいます。予定調和の中で、鍛えた肉体の限界を見せるプロレスなどとは違い、ファンはプロ野球には常に真剣勝負を求めています。
真剣勝負の度合いが薄れていないか
中日の波留コーチの激で賛否両論が起こったようですが、プロ野球は常に真剣勝負を行わなければならず、プロとしての存在意義の問われるような試合を諫めるための激であれば、当然の行為だと思います。高校野球の人気があるのは、負けたら終わりのトーナメントで、間違いなく全力を尽くす選手たちを応援したくなる気持ちが何よりも強くなるからに相違無いと思います。逆に言えば143試合の長丁場のペナントレース中で、選手たちの真剣味が薄れてきてしまえば、ファンはあっという間に離れてしまうでしょう。長丁場であるがゆえに、故障や疲労から全力疾走を怠ることもあるようですが、それは本来見せてはいけない行為です。球場に来てくれるファンは、毎試合来られるわけではなく、その試合を何日も前から楽しみにしているファンが大半です。その時に全力で戦う姿が見られなければ、ファンを失うことに直結します。
仲良くなってしまった他チームの選手
以前のプロ野球は、他チームの選手との交流は殆どなかったようです。しかし現在は、出塁した先々で内野手に会釈をする選手がほとんどです。お亡くなりになった星野仙一監督は、他チームの選手と口を利くことを禁じていたといいます。そればかりか星野監督の母校である明治大学の後輩でさえ、グラウンド内でのシーズン中の挨拶を不要としていたと聞きます。また特に打者が敵チームの投手と、投手が敵チームの打者との接触をすることを嫌っていたといいます。これは星野監督に限った話ではなく、投手と打者の真剣勝負を大切にしていたからではないかと思います。最近では侍ジャパンの常設やFAによる選手の移動の状態化などから、チームを超えた交流が普通になってきたようですが、ファンが望む真剣勝負からは遠くなることは間違いありません。
乱闘の減少が顕著な現代
めっきり日本のプロ野球は乱闘が減りました。MLBでは乱闘は全く減ることはなく、日本のプロ野球にだけ見られる傾向です。MLBにはデッドボールやラフプレーに対して“やられたらやり返す”という暗黙の了解があります。“アンリトンルール”と呼ばれていて、同じ様な不文律は日本プロ野球にもありました。そのため日本のプロ野球でも、死球合戦の果が乱闘になっていたのです。しかし最近は殆ど乱闘を見なくなりました。個人的に乱闘を支持しているわけでは有りませんが、それが真剣勝負が薄れたことの現れだとしたならば、いずれは人気低下につながっていくでしょう。
完投ができない理由はインコースを攻めないから
インコースを厳しく攻めることができなければ、球威の無い投手はプロ野球では成功できません。完投するためには球威が衰えないようにペース配分が必要で、そのためには厳しいインコースを攻めなければなりません。球威が衰える100球前後で降板する投手が多いのは、インコースを厳しく攻める投球術の欠如と、デッドボールを怖がる投手が多いからかもしれません。
プロテクターの効能と危険球制度
矛盾するようですが、デッドボールは以前より増加傾向にあります。これはプロテクターによって打者が守られるようになったからと言えるのではないでしょうか。頭部へあたる危険球でなければ、投手はぶつけ損になることが増えてきています。打者も肘などのプロテクターがあるところであれば、怪我のリスクも少なくなっています。以前よりインコースの恐怖心が打者側に無くなっているのかもしれません。
また、危険球制度の導入によって頭部へのデッドボールが減り、死球の危険度が減ったことが、結果的に乱闘を減らした事は間違いないでしょう。
真剣勝負を怠ってはいけない
いずれにしてもファンは、常に真剣勝負を求めています。馴れ合いの姿勢が見え隠れすれば、その競技の人気は確実に減っていきます。ライバルチームの内野手同士が試合中にじゃれ合うのは、個人的にはあまり見たくない光景です。