ピッチクロックとピッチコム即導入を 対応の遅い日本球界はピンチ

なかなかルールを変えることができない日本球界は、日本社会の縮図だと思います。法律や制度を積極的に変えて、結果を見て修正する欧米社会と、リスクを必要以上に恐れて変えることができない日本は、日本がいつもスピードで負けて、常に先行メリットを欧米に取られています。これは政治や経済などすべての面で言えることですが、スポーツ界も例外ではありません。

未だにガラパゴス化してセ・リーグにDH制を取り入れられない日本プロ野球と、どんどんルールを変えていくMLBとでは、差がつくのは当然のことでしょう。

この事は3年後のWBCに期待する日本のプロ野球ファンには、由々しき事態だと思います。こういった出遅れを自ら変わることができないNPBに代わって報じなければいけないマスコミは、海の向こうのことと相変わらずの感度の鈍さです。

ピッチクロックが変えること

ピッチクロックが導入されて、投手は捕手のサインに首を振ることができなくなりました。単純に時間的に間に合わないからです。そうなると今度はピッチコムで投手がサインを出すことになります。捕手が出したサインを何らかの事情で投げられない場合に、対応ができなくなるため、投手がサインを出すことになるでしょう。

実際大谷翔平投手も投げ終わった後に、すぐにピッチコムを操作しているように見えます。つまりこれからの野球は、投手が自分で配球の組み立てを考えて投げることになると思うのです。投手の役割は非常に大きくなり、リードは捕手任せという投手は存在できなくなるでしょう。当然登板前の事前のイメージトレーニングも、投手が大部分を行うことになります。そんな事態が3年後のWBCには確実に訪れると言っていいでしょう。なぜならば、ルールはMLBが決めるからです。

捕手の役割は激減

MLBに比べて日本のプロ野球は、捕手の役割が大きいと言われています。投手のリードから相手のベンチの動きの察知、守備位置の指示など、捕手はグランド上の監督と言われている由縁でしょう。しかし、ピッチコムが導入されれば、捕手の役割は激減します。守備位置はレシーバーを持っている二遊間の選手が、自分で把握して変えることができます。MLBの場合外野手は、予め打者によって決められているので、捕手が細かく指示することはありません。

もともと捕手のリードを重要視していないMLBなので、捕手の役割は後にそらさないことと、盗塁を刺すこと、そして打つことになるでしょう。

今の日本のキャッチャーは、評価が激変することになるでしょう。

そして3年後にWBC優勝を目指すならば、時代にマッチした捕手を育成しなければなりません。捕手も確実に打たなくては評価されない時代が来ると思います。

日本プロ野球の間違ったおごり

ベースボールと野球は違うということがよく言われます。

考え方や戦略などが自分の体力に合わせて組み立てられることは、とても重要だと思います。たしかに以前のアメリカの選手と日本の選手では体格差がありました。しかし、大谷選手やダルビッシュ選手の例を出すまでもなく、日米の選手の体力差は確実に無くなってきました。このあたりは考え直さなければなりません。

また日本の野球には、アメリカの野球にはない緻密さがあるということも言われます。キャッチャーの配球などはその最たるものでしょう。

しかし、それは同じルールで競技することが前提です。

ルールが違ってしまえば、それは違う競技となってしまいます。

様子を見ている時間はない

セ・リーグのDH制導入でまだ揉めている日本球界ですが、アメリカを含む世界の野球はどんどん進化していってしまいます。日本だけが古き良きものを大切にして、時代に取り残されてしまうのは、NPBの勘違いも甚だしいものと考えます。古き良きものは伝統芸能や伝統工芸で大切にすれば良く、スポーツは絶対に時代に取り残されてはいけません。

残念ながら政治でも経済でも、日本はルール作りに関与できる地位にありません。であるならば従うのみです。ピッチクロックやピッチコムは、3年後のWBCには導入される可能性が強いでしょう。そうなった時、日本でプレーする全選手は、果たして対応できるのでしょうか。

ベンチから長いブロックサインを出していたら、打者は構え遅れることはないのでしょうか。投手は自ら配球を、考えることができるのでしょうか。ぼやぼやしていたら日本の投手の配球はデータ取りされて、アメリカに簡単に読まれてしまうかもしれません。

やってみなければわからないことが多いはずなのに、まだ海の向こうのこととのんびりしているのは、球団やマスコミの感度の鈍さが問題なのではと思います。

NPBをガラパゴスにするな

日本社会には、古いものを大切にするという美点があります。

しかし、時代に乗り遅れる傾向にあることも事実です。

あれほど優秀だった日本の携帯電話は、規格競争に負けてしまいました。

このままでは日本の選手は体力的には優秀になってきたにも関わらず、規格外の選手となり、必要な能力がなく、要らない能力だけが充実した、日本でしか通用しないガラパゴスの選手になりかねません。

ベースボールというスポーツの垣根をなくそうとしているのに、ルールだけに垣根があることの矛盾に早く気がついてください。

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