FAが機能しない理由 アメリカと日本の違い ドラフト改革

今年ほどFA戦線が静かな年も珍しいだろう。オフのプロ野球の話題といえば、契約更改と移籍やトレードだが、今年はニュースになるような移籍は少なく、全国的な話題は鈴木誠也選手のMLB移籍ぐらいかもしれない。それさえも新型コロナの影響で、不透明な部分も多く大きく取り上げられることはしばらく無いだろう。

大きな話題と言えば日本ハムによるノーテンダーぐらいだが、言葉を変えればただの自由契約で、一般社会で言えばリストラに他ならない。

契約のリストラクチャリングと言えば、言葉通りの結果かもしれない。

何故FA市場は活性化しないのだろうか。

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日本のFAは権利取得まで期間が長過ぎる

MLBでは6年でFAとなるのに、日本では高卒で8年、大卒・社会人で7年と長い。高卒では最初から1軍登録されることは少ないので、殆どの選手が30歳以上で権利獲得となり、選手としてのキャリアが下り坂になりつつある場合が多い。もともとリスクを取りたがらない傾向にある日本人は、その権利を行使しなくなる傾向にあるのは、当然かも知れない。

使いづらい日本のFA MLBは自動的にFAとなる

日本ではFA権を行使するか否かで話題となるが、MLBでは時期が来れば自動的にFAとなる。そもそも選手側の立場に立っている制度なのだ。FA権を行使することが踏み絵のような状態となることが多い日本球界とは、大きな違いだ。最近では選手の権利として認知される傾向が強いが、かつてのジャイアンツはFA宣言をすること自体が、引退後にまで影響するように見える傾向にあった。今回、駒田徳広3軍監督が初めてFAで球団を去った経験のある人材として、巨人の首脳陣として登用された。上原浩司さんや、高橋尚成さんに声がかからない事や、未だに松井秀喜さんの巨人復帰が出来ないことは、これらのことと一定の関係があるといえるだろう。FA宣言して残留した槙原寛己さんも、一つの例かもしれない。

人的補償の必要性

MLBでは人的補償など無い。そのため日本のようにFAに伴う暗いイメージがない。ジャイアンツでは長野久義選手や、内海哲也選手の流出について大きな話題となった。FAで加入した丸佳浩選手や炭谷銀仁朗選手からすれば、なんとも皮肉な制度で、凝りが残りやすく使いづらい制度だ。

NFLではRFAという制度が有り、一定の制限が掛けられるが、人的補償などではなくドラフト権との引き換えだ。しかもRFAは3年で発生し、制限のないFAは4年で発生する。

こうしてみると日本のFAは自由度がアメリカと比べて低く、フリーとは言いづらい状況だ。

幅広い選手に恩恵のある契約形態が、これからは必要とされるのではないだろうか。

ドラフトとの関係性を改善するべき

選手会の力や、ストの有無など日本とアメリカを単純には比べられない。しかし総じて日本のプロ野球は、アメリカと比べた場合、球団側に有利な制度になっていると言えるだろう。日本の場合のFAは一部の一流選手だけのものであり、その恩恵に預かる選手の数はとても少ない。ドラフト制度ではすべての選手に制限がかかるので、ドラフトとFAが不整合となっている。もっと使いやすいFA、もしくは一定年数で自動的にFAとならないならば、ドラフト指名は1巡12名だけで、残りはすべてドラフト外として自由競争にしたらどうだろうか。

球団格差も解消されつつ有り、環境は整った様に見える。

事件や不祥事の原因となりうる現在のプロ野球契約制度

たとえば球団や環境に馴染めない中で、8年間も忍耐を強いられるのは、とても人間的な環境とは思えない。自由度が失われる環境の中で、力を発揮できなかったり、精神的に追い詰められたり、犯罪に手を染めてしまったりすることがあれば、それは選手会が戦うべきだと思う。一般の社会人より遥かに自らの行動の自由度が低い今の制度は、改善の余地が大きいと思うのだが、どうだろうか?

プロ野球と言えど、一般社会とかけ離れた環境や制度は、選手の病気や不祥事に繋がりかねないのではないでしょうか?転校や転職の権利がない状況は、現代社会では考えられません。

2020年に厚生労働省が発表したデータによると、大卒の32.8%、高卒の39.5%が3年以内に離職している。そろそろ大きな制度改革を必要とする時期だと考える。

プロ野球の選手は閉鎖された環境の中で、酷い状況に有ると思うのですが、考えすぎでしょうか?

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