復活できるか吉田輝星と根尾昂 生き残る道は何か 二人の共通点

日本ハムの2018年のドラフト1位、吉田輝星投手がオリックスにトレードされました。甲子園で大活躍した金足農業の吉田投手は、同学年の大阪桐蔭の根尾昂投手とともに、世代を代表する人気選手で、毎年飛躍が期待されていましたが、高卒5年を終えたところでトレードされました。

吉田光星投手の現在地

4年目の2022年に主にリリーフで63回3分の1を投げ、期待された2023年シーズンでしたが、今年はわずか3イニングで終わってしまい、期待を裏切った形になってしまいました。高校時代から伸びのあるストレートを投げることが特徴で、最速は152kmを高校時代とプロでも記録しています。

高校時代から体も大きくなり出力は上がっているようですが、成績が伴わなくなってしまっています。特に2023年シーズンはわずか3イニングで被安打5、その全てが本塁打という特異な結果になりました。

吉田投手は相変わらずスピンの効いた勢いのあるストレートを投げているのですが、そのストレートが低目でもなく高目でもないところに集まる傾向があるようです。スピンが効いているだけに反発が良く、ホームランを浴びる確率が高くなるのは当然のことかもしれません。

変化球に弱点

吉田投手のストレートは威力十分なのですが、変化球に弱点が有るようです。特にひねり玉では腕の振りが緩むことが指摘されており、プロでは通用しない一つの原因となっているようです。スピンを効かせたストレートと、ひねり玉は腕のふりを同じにするには難しい部分が有るので、スプリットやチェンジアップを磨いたほうが良いのかもしれません。

右本格派では難しい

吉田投手の理想とするピッチングは、上原浩治さんや江川卓さん、藤川球児さんなどに代表されるような、ホップするストレートを高目に投げて、三振を量産するタイプではないでしょうか。ただ3人に共通するのは、ストレートと出玉が同じに見える変化球を1つ自在に操ることが出来たことです。上原さんのフォークはあまりに有名ですし、江川さんのカーブも素晴らしいキレとコントロールでした。藤川さんもフォークがストレートとの相乗効果を上げていたと思います。上原さんのストレートとフォークは、投げた瞬間には同じに見えるとMLBで証言されていて、150kmに満たないストレートをメジャーリーガーがクルクル空振りするのを、現地の実況が驚きを持って伝えていたのが印象的です。変化球と高目のストレートが同じ軌道に見えるために、ある程度の身長が必要になるのではないでしょうか。上原さん187cm、江川さん183cm、藤川さん185cmといずれも高身長です。対戦相手の身長を考えると、江川さんの183cmはメジャーで活躍した上原さんの187cmに匹敵するものが有るでしょう。

吉田投手は175cmと3人に比べると身長が低く、スピンの効いたストレートと落ち玉で三振を量産するための軌道が確保しにくいと考えることが出来ます。

身長が低い右腕

左腕に比べて右腕の場合は、本格派で活躍する低身長の投手は少ない印象があります。中日で投手に転向した根尾昂投手は、同学年のライバルですが、身長177cmで今の時代では小柄な方に分類されるでしょう。日本ハムを引退した斎藤佑樹さんも、176cmで開花することが出来ませんでした。3人とも甲子園の決勝まで進出したアイドル的存在ですが、プロ野球の投手としては、現時点では誰も成功しているとは言えない状況です。身長という基礎的条件で目指す投球が実現できないとすれば、努力の方向を間違えてしまっていると言えます。”努力は過大評価され、判断が過小評価される”と言われるように、今回のトレードは目指すピッチングを考え直す良い機会なのかもしれません。

桑田真澄投手のピッチング

桑田さんは甲子園の優勝投手で174cmと小柄な投手です。しかしプロで173勝を挙げた大投手です。高校1年の時から抜群のコントロールを持っており、2年生の時に球速も大幅に伸ばしてきたと記憶しています。しかしプロ入り後はコントロールを武器にした総合力の高い投手で、球種も豊富でした。ストレートで三振を量産するタイプではなく、早くから円熟味の有る投手で成功したと言えます。

桑田さんはもちろん質の良いストレートと変化球を投げていましたが、コントロールの良さに裏打ちされた投球術で相手を抑えていきました。

大型化した選手の中で先発として成功した小柄な投手として、一番の目指すべきモデルなのではないでしょうか。

吉田輝星投手と根尾昂投手の目指すべきモデル

理想のピッチングはそれぞれの投手に有ると思いますが、それを実現してもプロで通用するかどうかは別問題です。吉田投手も根尾投手もストレートの威力は十分ですが、それがプロの打者に通用するかどうかを判断するべきときに来ていると思います。特に球速がこれ以上伸びる可能性は、低いと言わざるを得ません。コントロールを磨いてシュートを思い切って投げ込めるようになるとか、桑田さんのように総合力を磨くのか、違う方向へ努力をしなければならない時が来ているのではと推察します。

ストレートで三振が取れなくても、技巧派先発で勝ち星を積み重ねるほうが、可能性は高いのではと夢想します。

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