これまで育成能力が無いことを指摘されてきたジャイアンツですが、原監督の球団改革で徐々に改善されつつあると思います。昨年坂本勇人選手が離脱したときに、取って代わる選手が力不足でチームは明らかに失速していきました。外野手も守備力が極端に劣る二人を同時に使わざるをえないほど、人材が枯渇して、1軍レギュラーのレベルで使える選手が不足していたと言わざるを得ないでしょう。
ベースボールスクールポルテ原監督の球団改革でジャイアンツの育成力が向上
これまで戦力補強の柱だったFAが制度の不備から活性化されず、球団の戦略が変わってきたことは、明らかでした。いままで他球団が先行してきたところに、漸くジャイアンツも手がまわり始め、その豊富な資金力で一気に戦略を推し進めたと言って良いと思います。
スカウト陣の強化
2021年10月に水野現スカウト部長が就任してから、明らかにドラフトでの成果が上がり始めています。2021年のドラフトでは大勢投手を指名して大きな成果を上げました。そしてスカウト部長就任後1年が経過して迎えた2022年ドラフトは、本当の水野部長体制の成果だと言えるものだと思います。1位の浅野翔吾選手はもとより、3位以下の選手が即戦力として活躍できる可能性を見せ始めています。また育成で指名した選手たちも評判の良い選手が多く、楽しみが増えています。これは2020年6月に全国で21名のOBスカウトと契約するなど、スカウト部門の組織強化を行った球団の戦略と、無関係であるとは思えません。
また2023年の新外国人は、2021年6月に導入した米国OBスカウトの成果があったと思われ、レベルの高い選手が獲得できているのではと、期待できる顔ぶれです。
ファーム育成部門の充実
昨年二岡智宏2軍監督、駒田徳広3軍監督が就任し、若手の育成が例年になく進んだのではないでしょうか。2年目の19歳代木大和選手は、秋を越えて大きく成長しています。また、中山礼都選手も昨年とは見違えるパワーを身に着け、力強い打球が増えて、課題を克服したように見えます。
ある程度までは行くけれど、突き抜けない選手が多いジャイアンツの若手陣でしたが、大きく雰囲気が変わってきたようです。今までは使いたくても1軍レベルに達していない選手が多かった印象が強かったのですが、今年は使いたい選手が一気に増えた印象です。
ポジションが足りない状態
シーズンを前にして、原監督は嬉しい難題にぶつかっているようです。昨シーズンまでは力のある若手が少なく、使ってみても技術が足りなかったり、体力が足りなくて失速していく野手が多かったと思います。しかし今年は内外野ともに若手の台頭が目立ってきました。
レギュラーで使いたい門脇誠選手と中山礼都選手
昨年までのオープン戦では開幕が近づくに連れて失速する若手野手が多かったのですが、今年は様相が変わってきました。侍ジャパンのためレギュラーの岡本和真選手が離脱していたので、例年よりも出場機会の多かった若手内野手ですが、門脇選手と中山選手はパフォーマンスが落ちません。開幕が近づくと同時に各球団が本気モードに近くなっていますが、二人は良い当たりや好守備を連発しています。若手の抜擢が好きな原監督にとっては、坂本勇人選手が現われたときのように、開幕から使いたいはずですが、ポジションがありません。体力的に常時出場が不安視される坂本選手ですが、現状ではレギュラーを剥奪することは難しいと思います。ここは開幕からの坂本選手のパフォーマンスとコンディションを見ながらの併用が適用されると思いますが、二人の控えを使うのは原監督と言えどもマネジメントが難しくなるでしょう。オープン戦では全く経験のないであろう中山選手を、ファーストで使いましたが本番では難しいでしょう。
”実力が同じならば若手を使う。”と公言している原監督が、チームの世代交代をどの様に行うのか注目の一年だと思います。
オコエ瑠偉選手と萩尾匡也選手
現役ドラフトとドラフト2位でジャイアンツに今年から加わった両選手ですが、今のところ明暗が分かれています。萩尾選手は1軍で試したい選手ですが、2年目の岡田悠希選手の成長もあり、1軍に席がなくなってしまいました。昨年までとは大きな違いですが、これも嬉しい誤算と言えるでしょう。レベルが落ちているとはいえ六大学の三冠王が、このまま2軍で燻ることは考えにくく、ここでも原監督のタクトが注目されます。長野久義選手など人気選手も抱えた中で、どのような起用を考えているのでしょうか。オコエ選手のパフォーマンスが落ちて来た時に、チャンスを掴めるかどうかがターニングポイントになりそうです。
2軍レベルでは無い山瀬慎之介捕手
大城選手のWBC出場でチャンスの多かった山瀬捕手が、存在感を十分に見せました。2軍に合流している山瀬捕手が、この時期イースタン戦で調整を続けるのは、開幕後に投入されるローテーション投手と実戦を重ねるためかもしれません。
今の1軍捕手陣は大城捕手以外は打力が伸び悩みで、打力が上がった山瀬捕手に期待が集まるのは当然かも知れません。
2年連続で本ドラフトで捕手を指名しなかったのは、山瀬捕手の存在があったからだと、勝手に推測しているのですが、それだけの将来性が感じられる存在になってきたと思います。
ここまで昨年とは激変したと思える若手野手陣ですが、レギュラー陣も怪我やパフォーマンスの低下が許されない雰囲気にやっとなってきました。今年ほんとうの意味で、1軍で育てながら勝つ原監督の理想が、実現するのではないかと期待が膨らんでいます。そうなればポストシーズンはチーム力が上げ潮になり、昨年までとは全く逆の展開が期待できるのではないでしょうか。