中田翔選手がまた活躍しました。岡本和真選手から4番の座を奪って、好調を続けています。不祥事で日本ハムを追われてジャイアンツに入団した経緯から、なかなか本来の打撃と気持ちを取り戻せなかった中田選手ですが、以前よりテクニックもメンタルも成長した姿を見せてくれています。
改善された打撃
日本ハム時代から中心選手として活躍していた中田選手ですが、打率3割を超えたことは1回しかなく、通算打率は2割5分の選手でした。過去2年間は打率1割台と不調に苦しんでいます。しかし今年は大幅に打撃を改造して、打率は現在.289と改善しています。特に7〜9月までは、毎月打率3割を超えており、安定した成績を残しています。
年 度 | 打 席 数 | 打 数 | 安 打 | 本 塁 打 | 打 点 | 四 球 | 三 振 | 打 率 | 長 打 率 | 出 塁 率 |
2009 | 38 | 36 | 10 | 0 | 1 | 1 | 15 | 0.278 | 0.333 | 0.289 |
2010 | 230 | 210 | 49 | 9 | 22 | 15 | 61 | 0.233 | 0.395 | 0.291 |
2011 | 572 | 527 | 125 | 18 | 91 | 31 | 133 | 0.237 | 0.408 | 0.283 |
2012 | 606 | 547 | 131 | 24 | 77 | 50 | 101 | 0.239 | 0.42 | 0.307 |
2013 | 459 | 407 | 124 | 28 | 73 | 45 | 77 | 0.305 | 0.55 | 0.381 |
2014 | 602 | 531 | 143 | 27 | 100 | 58 | 89 | 0.269 | 0.456 | 0.344 |
2015 | 611 | 539 | 142 | 30 | 102 | 64 | 120 | 0.263 | 0.479 | 0.339 |
2016 | 624 | 569 | 142 | 25 | 110 | 47 | 126 | 0.25 | 0.431 | 0.308 |
2017 | 542 | 472 | 102 | 16 | 67 | 61 | 103 | 0.216 | 0.367 | 0.31 |
2018 | 599 | 540 | 143 | 25 | 106 | 43 | 81 | 0.265 | 0.463 | 0.316 |
2019 | 514 | 450 | 109 | 24 | 80 | 55 | 83 | 0.242 | 0.449 | 0.329 |
2020 | 506 | 440 | 105 | 31 | 108 | 55 | 109 | 0.239 | 0.491 | 0.32 |
2021 | 150 | 135 | 26 | 4 | 13 | 14 | 31 | 0.193 | 0.304 | 0.273 |
2021 | 106 | 91 | 14 | 3 | 7 | 14 | 29 | 0.154 | 0.297 | 0.274 |
2022 | 314 | 280 | 81 | 19 | 56 | 27 | 56 | 0.289 | 0.521 | 0.355 |
通算 | 6473 | 5774 | 1446 | 283 | 1013 | 580 | 1214 | 0.25 | 0.444 | 0.321 |
ファームで調整中に長嶋茂雄さんに打撃指導を仰ぐなどして、努力を重ねてきた結果が33歳にして実った形となっています。
バットも少し短く持ち、構えも従来とは全く違う形です。打点王を3回も獲得している打撃を、ここまで大きく変えるのは勇気が必要だったと思いますが、復活したい気持ちが勇気を与えたのかもしれません。
持ち前のフルスイングは今も衰えを見せませんが、追い込まれた時にはコンパクトなスイングで粘る姿勢も見えており、チームの勝利に対する執念が見えています。日本ハム時代のおおらかなバッティングでも、昨年のようなどこか委縮した様なバッティングではなく、プライドを捨てて打撃改造に取り組んだ、中田選手の意地が見えるバッティングです。
人間的な成長がみえる中田選手のインタビュー
日本ハム退団の経緯から、神妙な発言を繰り返してきた中田選手ですが、インタビューの様子を見ていると、いい意味で地金が出てきたかもしれません。日本ハム時代はやんちゃなイメージが強かった中田選手ですが、今はすっかりその面影はありません。不祥事の経緯もあるのでしょうが、大変な境遇の中でアスリートの本分であるプレーで努力の結果を見せ、インタビューでは驕ることなく優等生の発言を繰り返していくうちに、本当の意味で人間の中身が成長したのではないでしょうか。今は優等生的なインタビューの受け答えが、本心から出ている様で、ファンとしても心から復活した”中田翔”の活躍を喜べるようになりました。これからも人間的な成長を試される場面が来るかもしれませんが、躓いた経験を糧に立ち直った人間の強さを見せてほしいと思います。そして次に躓いて立ち直れない選手がいた時に、支えになれる選手になってほしいと思います。
アスリートの素晴らしさ
有名人で躓いた場合、なかなか復活することが難しい世の中です。俳優やお笑い芸人の場合は事件のイメージが強くなりすぎて、復活が難しくなります。特にお笑い芸人の場合は、事件の影響で笑えなくなってしまうことが有り、他の職業よりは難しいといえるでしょう。一般社会でも一度不祥事を起こしてしまえば、同じ業界での復活はとても難しくなります。しかし、アスリートの場合は違います。真摯にプレーを続けることで、いつか復活ができる稀有な職業です。今回の中田選手の復活劇は、それを証明してくれる形になったと思います。
まだまだあの一件を許してくれない人たちが存在していることは、中田選手もわかっている様で、苦労は続くことともいます。しかしあの事件がなく、今年も日本ハムに残っていたら、きっと打撃の改善は見られなかったでしょう。また人間的な成長も、今のように大きくは成長できなかったと思います。
まだまだ今シーズンは続きます。また、中田選手の野球人生もまだまだ続くと思われます。昨年の不祥事は残念な出来事ではありましたが、今後の中田選手や中田選手を取り巻く人たちが、糧としていけるようになっていけばと祈っています。
がんばれ!中田翔選手!