終盤戦を迎えるペナントレースですが、ジャイアンツの失速が止まりません。この様な状況はもう此処のところ毎年のことで、年々失速の時期が早くなっています。これはもう戦力が足りないということで、一過性のものとして処理するわけにはいかないと思います。
崩壊した投手陣
今年は育成に力を入れるとしてきましたが、あまり成果は出ていません。数字にも顕著に出ており、防御率は1チームだけ4点台と、大きく引き離されての12球団ワーストです。桑田真澄コーチがチーフとなった初めての年ですが、大きく悪化させてしまいました。育成のために若手に舵を切ったからと言えば聞こえは良いですが、力のあるベテランを使わずにあえて若手を登用したわけではありません。むしろベテランから中堅に至る投手陣が全く整備できずに、しかたなく若手を登用したと言っても良いかもしれません。開幕から先発ローテーションで回れているのは、戸郷翔征投手だけです。メルセデス、シューメーカーの2人の外国人を頼りにしている状況で、若手を登用できているとは言えない状況です。育成も含めれば55人もの投手を抱えていますが、ファームで目立った成績をあげている投手は無く、ファームで十分な実績もないまま1軍で試してみるという状況が続いています。
打者育成は時間がかかる
投手よりも打者は更に育成に時間がかかる傾向にあるので、育成に舵を切ったからといっても1軍で出番を与えられるだけの力がある野手がいません。期待がかかる2年目の秋広優人選手は、ファームで打率.262と1年目の.229から成長を見せていますが、未だ時間がかかるようです。3年目の菊田拡和も打率.247で、1軍で試すレベルには来ていないという判断でしょう。結局今年は、増田陸選手と中山礼都選手が、控えとしての存在感を出すに留まってしまったと言っていいでしょう。
今年は育成の年という本気度
結局力のある若手を登用するだけならば、それは育成にシフトしたとはいえません。力のある若手との併用ではなく、ベテランの起用をやめて若手を使い続けなければ、“育成”は看板倒れと言っていいでしょう。チーム事情により中島宏之選手が1軍から外れているようですが、その代わりに中田翔選手を使っていては、本当の意味での育成は出来ないでしょう。結局のところ今は中途半端な“育成”が続いており、チーム低迷の言い訳に“育成”がされていると疑われる状況です。
ファンは耐えられるのか
マスコミ球団であるジャイアンツは、テレビの視聴率を非常に気にします。以前は新聞の売り上げにも影響したようですが、最近の新聞発行部数の激減ぶりを見ていると、もはやジャイアンツの影響度は少ないと言っていいでしょう。アフターコロナがいつまでもやってこない日本では、プロ野球人気も陰りが見えています。今年のペナントレースの展開では、興味が半減したと言っても良いかもしれません。そんな状況下で原監督は、育成に舵を切れるのでしょうか。CS狙いだと言って最後までベテランに頼るようでは、来年はさらにチーム力は低下します。育成能力で他球団に劣ると思われるジャイアンツに、FAや外国人頼みの戦力強化は麻薬と一緒でしょう。
この時期に来ればジャイアンツは、育成に大きく舵を切らなければなりません。しかし質の落ちた試合で視聴率が低下したとき、親会社は耐えられるのでしょうか。さすがの原監督も人気が低迷すれば、その座は守れません。チケット販売に陰りが出て、視聴率が下がってしまえば、球団も判断せざるをえないでしょう。
果たしてファンは育成に舵を切って、質の低い試合を続けるジャイアンツを見続けることができるのでしょうか。
「育成に力を入れろ。」「若手を使え。」とファンは言いますが、その時球場の入が悪くはならないのでしょうか。
弱くて駄目なジャイアンツを応援する
選手がインタビューの最後に、「応援よろしくお願いします。」と、決まり文句のように言いますが、本当はヒーローになった時ではなく、駄目になった時に応援が必要なのだと思います。育成に舵を本当に切ったときに、ファンが離れない事、それが応援するということではないでしょうか。