菅野智之投手が6勝目を挙げて、ソフトバンクの3タテを阻止しました。8回を無失点で抑えた見事な投球は、いろいろな意味で菅野投手の成長を見せつけることとなりました。
菅野投手の投球内容
防御率 | 投球回 | 打者 | 被安打 | 被本塁打 | 奪三振 | 与四球 | 与死球 | 失点 | 自責点 | 投球数 |
2.77 | 8 | 31 | 5 | 0 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 123 |
1番から6番まで左の巧打者が続くソフトバンク打線は、今シーズン左打者に被打率.309と打ち込まれていた菅野投手には、難敵であったと思います。この日は150Km超を記録することはあまり有りませんでしたが、ストレートでカウントを整えることができ、勝負球にも選ぶことができていました。左打者にも3安打で抑えることができ、フォアボールも柳田悠岐選手への2つを含めて3つのみでした。奪三振は全盛期に比べると少なめで、昨年まではあまり使わなかったツーシームを使うなど、打たせて取るピッチングのレベルが上がったようです。
意地にならない大人のピッチング
以前であればすべての打者を力で抑えることができた菅野投手ですが、体のコンディションなどから20代の様なピッチングは、シーズンを通してはできなくなりました。打線が不調でもあることから初回から窮屈なピッチングが昨年あたりから目立ちますが、昨日は長いイニングを投げきるために、ワンランク上のピッチングができたと思います。
ソフトバンク柳田悠岐選手への1球
6回表のソフトバンクの攻撃で、ワンアウトから柳田悠岐選手を迎えて、3-2からの9球目に渾身の150Kmのストレートを内角高めに投げて、フォアボールを出したところにそれが現れたと思います。ここで小林誠司捕手と選んだストレートはわずかに外れましたが、ここは意地にならずに勝負を避けたようにも見えました。このままストライクゾーンで勝負をしても柳田選手を振り切れる雰囲気がなく、いたずらに力を使うよりも、ボール球を振らせにいって、歩かせても問題ないという判断があったと思います。ボールに外れた後のバッテリーの表情を見ても、納得の雰囲気が出ていたように見えました。次の右打者のグラシアル選手をきっちり併殺に仕留めたところまで、ある意味計算ができていたのではないかと思います。
ジャイアンツ坂本勇人選手の離脱による菅野投手の成長
坂本選手は菅野投手が、唯一精神的に頼れる野手だと思います。坂本選手が離脱後は内野陣の守備が安定せずに、連敗の大きな原因となりチームの雰囲気を悪くしていました。しかし中山礼都選手がスタメンで出場するようになり、吉川尚輝選手が復帰して内野陣は急激に守備力を回復しました。昨日のグラシアル選手の併殺も、内野の守備を信頼していたからこその投球であり、併殺完成後に菅野投手が真っ先に中山選手をねぎらったところに、菅野投手の精神的な成長を見たと思います。バックを信頼して投球を組み立て、それを結果につなげ、若い中山選手を称賛することで、チームの雰囲気は格段に良くなることと思います。チームリーダーとして、エースとしてワンランク上に成長した今シーズンではないでしょうか。
菅野投手へのさらなる期待は捕手の養成
今日は小林誠司捕手との見事な組み立てで、新しい投球スタイルを見せてくれました。しかし欲張りな自分は、菅野投手にはもう一つ上のレベルに行ってもらいたいと思います。かつてダイエーの王監督は、工藤公康投手に城島健司捕手を一人前にしてもらうべく、バッテリーを組むように依頼していました。城島捕手の素材が優秀であったために、王監督は工藤投手に依頼し、工藤投手も快諾したと思います。その後城島捕手も期待に答えようと、かなり苦労したようですが、名捕手の一人になったことは事実として残っています。
今のジャイアンツにそこまで目をかけることが出来る捕手の素材があるかわかりませんが、菅野投手には若手捕手を育てることが出来るようなコントロールと投球術が、既にあるのではないかと思います。ジャイアンツも菅野投手が健在のうちに、次代の捕手を決めて教育して貰う必要があるのではないでしょうか。その過程において、菅野投手の200勝への可能性が広がり、将来の指導者としての資質も上がってくると期待します。