原監督は既に監督として実績を残し、今なおジャイアンツを強くすることに意欲が衰えていないと思います。正々堂々とクリーンなイメージが有る原監督にもいろいろと失敗が有り、公私共に清廉潔白ではないと思います。しかし原監督が残した足跡には、他の人では替えがたい物があり、日本球界としては大切にしなければならない人材であると思います。
長嶋茂雄さんと王貞治さん
巨人のV9を支えた長嶋さんと王さんは、他の球界OBとは別格の存在です。選手としての実績はもちろんのこと、現役引退後の功績も非常に大きいのは議論の余地がないと思います。お二人共国民栄誉賞を受賞しており、プロ野球界の発展のために貢献してきたことが、評価されています。プロ野球ファンに留まらない人気があると言っていいと思います。長嶋さんはジャイアンツの終身名誉監督として、今でも抜群の存在感を維持しています。王さんはソフトバンクの会長として、球界の盟主の座をジャイアンツから奪い取る勢いです。
しかし残念なことにお二人共球界全体を見渡した視点に立つことは、あまり多くはありません。お二人共全日本の監督や特別顧問を務めましたが、あくまでも現場の代表と言う立場でチームを支えるというスタンスであったと思います
二人に共通しているのは年俸などで揉めることがなく、プロ野球界の選手の年俸が一時期伸び悩んだのは、最高年俸をもらうはずの長嶋茂雄選手と王貞治選手が、年俸のアップに固執しなかったためではないかという事も言われることがあります。
落合博満さんは他の選手のためにも適正な年俸を得ると主張して、日本人初の年俸調停を行ったこととは対照的ですね。
原監督のDH制導入の主張
原監督はDH制の導入を長らく主張しています。当初日本シリーズや交流戦で負け続けるセ・リーグの弱体化の原因がDH制にあるとして、導入を主張していたと見られていました。しかし、最近のコメントではプロ野球の発展、もしくは野球界全体の発展を促す策としてのDH制の導入をコメントしています。アマチュア野球でも守備の苦手な選手や守備の得意な選手の活躍の場があれば、レギュラーが一人増えることになります。夏の高校野球の参加校が2021年は3603校なので、単純に言えばレギュラーが3603人増えることになります。この事により野球人口の裾野を広げる効果があるとコメントしています。
球界の発展を望む原監督のアプローチ
原監督は女子野球の活性化も目指しています。また支配下人数の制限なども無くして、自由にすることも主張しています。しかしDH制の導入と同様に資金力に劣るチームから反対があるようです。FA人的補償の撤廃も主張していますが、これも年俸アップに繋がる可能性があり、反対されています。FA人的補償の撤廃は選手のためでもあり、単にジャイアンツの補強をやりやすいようにという意見ではないという見方もできます。この様に原監督には長嶋さんや王さんには無かった、プロ野球の制度を変えて発展させたいという視点があります。しかし今、原監督の周りには原監督と同じ視点で球界を変えようとしている人がいません。原監督もDH制の導入などはあきらめたとコメントしています。監督会議の中でも全権監督で球団の組織改革も提案できる立場にある原監督と、その他の監督の立ち位置の違いが有り、同じ目線での話し合いができないのは当然のことかもしれません。
コミッショナーに担がれてほしい原監督
プロ野球も楽天やソフトバンクなど革新的な新しい球団が入ってきており、長嶋さんや王さんが監督をやっていた時とは状況が変わってきました。プロ野球のコミッショナーはオーナー会議で決められており、あまり実権を振るうことは有りませんでした。そのため親会社の意向が強く、なかなか球界の発展が進まない事情があります。オーナー会議も勢力図が変わってきたので、プロ野球を発展させる方向に導けるコミッショナーを誕生させることが出来るようになる時が来るかもしれません。その時に原監督が担がれてくれればいいのではないかと想像してしまいます。その時には球界発展を望む各親会社からブレーンをきちんとつけて欲しいものです。