プロ野球名将の定義とは 誰が監督として優秀なのか 原監督の将来

プロ野球で名将とうたわれた人が何人かいる。古くは三原脩さんや川上哲治さん。野村克也さんや仰木彬さんなども名将と言われることが多い。最近では原辰徳監督が挙げられるだろう。昨年最下位から優勝した高津臣吾監督なども、名将と言われる人になるかもしれない。しかし名将と言われる監督を測る物差しは一つではない。数字で表すならば、優勝回数や勝利数にならざるを得ないのだろが。

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弱いチームを立て直す監督は名将

弱小チームを強豪にした監督は、勝利数とは別の角度で称賛される傾向にある。野村克也監督は資金力などで巨人には勝てないヤクルトで、ID野球を標榜して、互角以上の戦いをしてみせた。

ヤクルト・西武で優勝した広岡達朗さんも、弱小チームを常勝チームにした監督だろう。

しかし広岡さんの場合は長くは続かなかった。通算勝利数も498で32位に終わっている。

勝利数や優勝回数だけでは測れない要素も多いのは、誰もが気がつくところだ。広岡さんは後に球団のGMも務めていたが、監督とGMの相性も長期政権を維持する上では、大切な条件だろう。

31位の藤田元司さんも間違いなく名将

通算勝利数は516で日本―が2回の藤田監督も、名将と言われることが多い。野村克也さんが著書の中で、“投手出身の監督は精神野球で、本質からかけはなれている”と結論づけているが、”藤田さんを除いては“とわざわざ記していることは有名な話だ。実際に指導を受けた選手で藤田さんを慕う選手は多く、原監督もその一人であることは間違いない。実際に巨人で指揮をとったのは2期通算8年と長くはないが、勝利だけではなく人を育てたことでも実績を残した人だ。

“財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すを上とする”と政治家後藤新平の言葉を野村克也さんは大切にしていたが、野村さんも藤田さんも人を残した指導者だろう。

今年のジャイアンツの首脳陣は藤田チルドレン

原さんを筆頭に今年の巨人の首脳陣は藤田さんに影響を受けた人が多い。

ジャイアンツのエースナンバーの後継者 桑田真澄投手

投手コーチの桑田真澄さんは、藤田さんに最も影響を受けた選手だろう。エースナンバー18の先輩である藤田さんには、指導者としてだけではなくエースとしての影響も受けている様だ。桑田コーチが現在背負う73番は、藤田さんが監督時代につけていた番号だから選んだことは、広く知られている話だ。

ジャイアンツから初めてFAで移籍した名球会選手 駒田三軍監督

三軍監督でジャイアンツに久しぶりに戻ってきた駒田徳広さんも、”藤田さんを愛しすぎてしまった”とコメントするように、藤田さんに影響を強く受けている。駒田さんは自分のような性格の人間を上手く使ってくれた藤田さんの、指導者としての器量を、感謝の気持と伴に受け継いだ人のようだ。技量不足の3軍選手を、駒田監督がどの様に指導していくか、ファンにとっても楽しみな人事と言える。

自己犠牲の世界記録保持者 川相昌弘

川相昌弘ファーム総監督も、藤田監督に重用された選手だ。“川相のような選手が揃ったらチームは強くなる”と藤田監督は現役時代の川相総監督を評していた。その川相さんをこのタイミングで起用した原監督は、藤田監督時代の結束やチームと選手を思う気持ちを、取り戻したいと思っているのではないだろうか。

原辰徳全権監督が目指す将来像

通算勝利数で川上監督を超え、今年中に星野監督を超えて10位までいくであろう原監督の目指すところは、単なる監督の目指すところではない。今や編成も含めた全権監督であり、組織の編成についても、ある程度自由にできる立場になっているようだ。GMと監督は別人が行うことが通常である。GMの責任範囲はとても広く、現場の監督と両方の責任を取ることは、かなり難しいことと考えてよいだろう。

楽天の石井監督がGMと兼任しているが、その責任範囲が何処まで有るのかは定かではない。原監督の場合も責任範囲が一般に明らかにされているわけではないが、巨人との長い関係を考えると、原監督の責任範囲の方が広いと考えるほうが、正しいと思われる。

原監督が全権監督としてGMの責任範囲までをカバーして日本一に輝いたのであれば、新しいタイプの名将と考えてよいのではないだろうか。

個人的には将来原監督には球団社長やプロ野球のコミッショナーになれるほどの、経験と実績をこれから積んでいってもらいたいと思います。

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