ジャイアンツの岡本選手が不調に喘いでいます。もともと好不調の並が大きくその波長が長い岡本選手ですが、その傾向は、今年はかなり強くなっています。昨夜は通算150本塁打を達成し、史上10位の年少記録を達成しました。しかしジャイアンツファンや首脳陣からの期待は大きく、岡本選手の表情も冴えない日が続いています。
坂本勇人選手の離脱による岡本選手の責任の重さ
5月に坂本選手が故障による離脱をしてしまい、チームリーダーを欠いてしまった事は岡本選手の負担が大きくなったと思われます。その上チームを引っ張っていた攻守の要の吉川尚輝選手もデッドボールにより欠場し、ジャイアンツの内野陣は破綻してしまいました。昨年ゴールデングラブ賞を受賞し、守備力も評価されていた岡本選手ですが、若い内野陣を引っ張る形になり、自身のリズムを崩してしまったと考えられます。
ただ岡本選手もレギュラーとなって5年目のシーズンで、経験は十分の選手です。坂本選手や吉川選手が離脱したとしても、内野のリーダーとして責任を果たしてもらいたいと思ってしまいます。ピンチのときに若い中山礼都選手が投手に声をかけているのを見ると、中山選手が頼もしく見えるのとともに、岡本選手にはもっとそういった姿勢を見せて欲しいと思います。なかなか打撃が上がらずに余裕がなく、敗戦の責任も背負ってしまっているのかもしれません。しかし凡退しても守備に影響が出てしまうようでは、チームリーダーとしては注文がついてしまうのではないでしょうか。
4番としての打撃成績
2年連続の二冠王で岡本選手はジャイアンツの不動の4番として、チームの勝敗を背負っています。特に昨年同様5番打者の成績が悪く、4番の岡本選手としては苦しい状況が続いています。ここまで不調が続く過程の中では、チャンスに勝負してもらえないケースが多く、ボール球に誘われる打席が多くなっていました。やはり本塁打や打点が欲しい岡本選手には、我慢の打席が続いていたと思います。あまり勝負してもらえなければ、ボール球に手を出すことも必然的に多くなり、調子を崩した可能性は小さくないと思います。
チームバッティングを心がける4番の弱点
岡本選手は4番であるにも拘わらず、チームバッティングを考える選手です。ランナーが得点圏にいる時の打撃は長打を狙わず、打率もそれほど悪く有りません。ただ岡本選手の弱点である走力のなさが、岡本選手のセンター返しを基本としたバッティングに悪い影響を与えているかもしれません。得点圏のランナーが居るときでも1・2塁や満塁などの併殺の可能性が高い時に、成績が極端に悪くなっています。二遊間にゴロが転がった時に、走力が弱点の岡本選手は併殺になる可能性が高く、本来のバッティングができていないのかもしれません。
2018年 | 2021年 | 2022年 | |
無し | 0.303 | 0.266 | 0.192 |
1塁 | 0.28 | 0.239 | 0.222 |
2塁 | 0.263 | 0.209 | 0.375 |
3塁 | 0.429 | 0.231 | 0 |
1・2塁 | 0.357 | 0.366 | 0.167 |
1・3塁 | 0.412 | 0.389 | 0.375 |
2・3塁 | 0.5 | 0.333 | 0.571 |
満塁 | 0.286 | 0.143 | 0.167 |
得点圏 | 0.342 | 0.290 | 0.302 |
しかし岡本選手はチームの4番であり、同じ勝敗を背負わせられるならば併殺を恐れずに本来のバッティングをしてもらいたいと思います。
最強の4番打者長嶋茂雄
ジャイアンツの最強の4番打者であった長嶋茂雄さんは、チャンスに強い選手の代表でした。しかし、同時に併殺の多い選手でした。通算で190盗塁を決めている脚の早い長嶋さんでしたが、併殺王になったことが5回もあります。岡本選手は昨年の16個が最高ですが、長嶋さんは24個を最高に15個以上が10回もあります。チャンスに併殺打を打ってファーストベースを懸命に駆け抜けた後に、天を仰ぎながら減速する長嶋さんは、絵になっていました。ジャイアンツファンは大きなため息を尽きながら、次に期待したものです。
岡本選手も併殺を打って絵になるような、チャンスに強い打撃を目指してほしいともいます。ランナー2塁や1・3塁、2・3塁の時のような打撃を心がければ、打率が3割に乗るのは難しいことではないと思います。打率3割を記録した2018年は、併殺の危険性がある時の打率は悪く有りません。また走者なしの場面でも打率が3割を超えていたのも、特徴的なデータかもしれません。