バブル崩壊後に日本人の給与が上がっていないということが指摘されます。
日本は加工貿易を主な収入源としている日本経済は、製造業に置いては東南アジアや中国などの安い労働力との競争にさらされて、企業の収益が上がりにくくなりました。
JTB投資ができない製造業大企業の経営者
日本の大企業の経営者は大部分が失敗を避ける気質に有り、企業の存続のため日本人従業員の給与を上げることを置き去りにし、海外に生産設備を出すことによって、企業の存続を優先させました。そのため国内の従業員は海外の安い労働力や、技能研修生と言われる、海外からの留学生と競争させられることになり、給与が上がらない構図となってしまいました。
本来であれば日本人従業員の給与を上げることが、重要な経営者の責務であるにも関わらず、新規事業に乗り出す勇気もアイデアもないため、雇用を守ることを理由に日本人従業員の給与を抑えてきました。海外への進出に限界が来ると、今度は内部留保を積み上げていくという体たらくです。製造業においてはこの様な状況で、日本人の給与は抑えられてきました。
非製造業の実質賃金は上がっている
非製造業の給与も絶対額は上がっていません。高給といわれている金融機関や商社などは、収益はあがっていますが、製造業とのバランスも有り、過去30年の給与は上がっていません。退職金の制度や福利厚生制度などの改悪によって、実質給与も下がっているケースもあります。
しかし実質の時給というところに着眼すると、非製造業の場合は必ずしも下がっているとは言い切れません。むしろ実質的には上がっている企業も多いのではないでしょうか。
労働時間の減少が大きい
バブル崩壊前の金融機関の労働実態は、凄まじいものが有りました。程度に濃淡はあると思いますが、労働時間の長さは今では想像もできない程です。
セブンイレブンと揶揄される様に、朝7時から夜11時まで働くことは珍しく有りませんでした。金融機関の場合は、月末には日付が変わっても帰途につけないことがざらにありました。夜中の12時過ぎに支店長から課長に業績報告を求められたことも、記憶にあります。月の残業時間は36協定のため公式には抑えられ、サービス残業を強いられていたのは、当然の成り行きでした。例えば朝8時から夜10時まで就業すれば、6時間が残業時間になります。月に20日残業すれば、それだけで120時間になってしまいます。当時は土曜日や日曜日の自主的な出勤や、取引先へのイベント参加などをカウントすれば実態はもっと悪化します。毎日の就業時間を7時間とすれば倍近くは働いていたこととなります。
バブル前は休日も取得できなかった
最近は厚労省の努力の結果、夏休みを1週間取ることができたり、その他にも休暇が充実したりしています。更には有給休暇も以前は殆ど取れなかったが、最近は有給の消化率も厳しく管理されるようになり、格段に取得しやすくなっています。
その上最近は育児休暇なども充実してきています。企業の負担は確実に増えてきています。
夜の時間も仕事に取られなくなった
かつては退社後に上司と飲みに行く事はとても多く、拒否することは難しい時期が有りました。また、取引先の接待も深夜まで続くことも当たり前のように有り、当然残業など給付されるわけが有りません。休日はゴルフやバーベーキュー、釣りや山登りなど、取引先のお誘いには喜んで参加させてもらいました。これらを労働時間にカウントすれば、とんでもない時間を仕事に捧げていたことになります。
給与は倍近くになっているのではないか
単に労働時間だけのことを考えれば、時給が倍近くになっているのではないかと思います。かつては家で夕飯を食べられることが月に数日だった社員が、今は寄り道さえしなければ毎日食べられるのではないでしょうか。
深夜の出費もなくなった
最近は夜の接待は大幅に縮小され、あっても食事だけで終わることが多くなりました。時には自腹を切っていた飲み代や、タクシー代などは使うことがめっきり減りました。
上司との飲み会や強制参加の宴会なども減り、出費は確実に減っています。
上司も部下と呑みに行けば、部下の分も多めに出費することが多いので安くは上がりません。毎月恒例の飲み会ともなれば、居酒屋で開催される1次会だけでも1万円は出さざるを得ないことになってしまう管理職も少なくありませんでした。
幸せになれる人はどんな人?
現在の人たちが決して恵まれているとはいえませんが、かつての会社員と比べるとダブルワークができるほど時間に余裕があるのではないでしょうか。 週休3日や副業解禁などがトレンドとなりつつある最近は、会社員も上がらない給与を嘆くのではなく、変化に対応した人が幸せをつかめるのではないでしょうか。
副業などを考える時期に来ていると思うんですよね。
企業を頼るのは、難しい時期に来ていますよね。